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  • 東京・春・音楽祭、ワーグナー「ワルキューレ」演奏会形式 - CLASSICA - What's New!

    ●7日は東京・春・音楽祭のワーグナー・シリーズvol.6「ワルキューレ」演奏会形式(東京文化会館)。例年は平日1公演の後に週末1公演だったと思うけど、今年は先に4日に週末公演があった後での平日公演。火曜日の15時開演だがお客さんはよく入っている。4日は満席で評判も上々だった。 ●オケはヤノフスキ指揮N響、コンサートマスターにライナー・キュッヒル。第1幕冒頭からひきしまった強靭なサウンド。外形上の熱いドラマや情感の豊かさを排して、音楽の純度や強度を高めた結果、むしろ雄弁なワーグナーになったというか。ひりひりとした緊迫感に貫かれた筋肉質の「ワルキューレ」。すばらしい。速めのテンポも吉。歌手陣で盛大な喝采を受けたのはフリッカ役のエリーザベト・クールマン。キャサリン・フォスター(ブリュンヒルデ)、エギルス・シリンス(ヴォ―タン)、ワルトラウト・マイヤー(ジークリンデ)、ロバート・ディーン・スミス(

    東京・春・音楽祭、ワーグナー「ワルキューレ」演奏会形式 - CLASSICA - What's New!
    eulewald
    eulewald 2015/04/08
    "CG画像が二昔前のゲームソフトみたいな解像度で、どうしてもセガサターンで遊んだ「ミスト」とか懐ゲーを想起してしまうのは避けられない" あはは。
  • 巨匠的予防接種 - CLASSICA - What's New!

    ●ふと通りかかった近所の医者に「インフルエンザ予防接種 2500円」の貼り紙が掲示されていた。そうだ、今年はまだ予防接種を打っていなかったのだ。しかしこんなところに医者があったとは。行きつけの内科は4000円なのにずいぶん安いなあ。思い立ったが吉日でいま打ってしまえと、思い切って見知らぬ医者に足を踏み入れた。「コンチワ!」 ●入ってみると案外中は広い。広すぎて寒々としている。建物は古い。人はいない。空いていて助かった。受付で尋ねると、すぐに打ってくれるという。名前を呼ばれて診察室に入ると、そこにいた先生は80歳は超えていると思われる腰の曲がったお年寄りであった。 ●えっ、この先生が打つの? 一瞬ひるんだが、なにをとまどっているのだ、自分は。自分の知っている80代の老人を思い浮かべてみよ。ロリン・マゼール、ニコラウス・アーノンクール、ピエール・ブーレーズ、ベルナルト・ハイティンク……。みんな

    巨匠的予防接種 - CLASSICA - What's New!
    eulewald
    eulewald 2013/12/06
    "自分の知っている80代の老人を思い浮かべてみよ。(snip)みんなバリバリと働いている。働いているどころかジェット機で世界中を飛び回ってパワフルに指揮している。スクロヴァチェフスキなんて90代だ。"
  • コーラの味 - CLASSICA - What's New!

    ●巨大コングロマリットに飼われる羊のごとくコーラ好きなワタシであるが(きっとあなたも)、そういえば「コーラの味」とはなにか、などということを考えたことがなかった。コーラって……コカ? コカインの味? いやいや、そんなわけないし。なにかの植物なのか。血を舐めればコーラの味がするっていうくらい、コーラのお世話になっているのに、あれがなんの味だかわからない。 ●という疑問をスパッと氷解させてくれたのが、デイリーポータルZの秀逸な記事「コーラってそもそも何味なの? メーカーに聞いた」。メーカーといってもコカコーラやペプシコーラがそんな質問にとりあってくれるはずもなく、静岡県島田市にある木村飲料(緑茶のコーラとか発売しているところ)の社長さんが、ぶっちゃけて教えてくれている。どんな経緯で日にコーラが上陸したか、この黒船に対して日のジュース屋さんはどうバトルしたかのか、またその歴史の副産物のように

    eulewald
    eulewald 2013/11/08
    "で、結論なんすけど、コーラってバニラとシナモンの味だっていうんすよ" "酸味料が必要で、酸っぱくないとコーラの味にならない" へえぇ。
  • 国語に関する世論調査でオノマトペー! - CLASSICA - What's New!

    ●オノマトペー!と思わずのけぞってしまった、「平成24年度 国語に関する世論調査の結果について」を見て。注目すべきはp18にある、「きんきんに冷えた」「さくさく動く」など5つの言い方を聞いたことがあるか、という問い。 ●なんと、「パソコンがさくさく動く」という言葉を聞いたことがない人が6割もいて、目を疑う。聞いたことがないのだから意味も通じないわけだ。うーん、そうだったのか。パソコンに限らず、スマホのアプリでも、サクサク動いてほしいわけだが、「さくさく」は6割の人に通じない。じゃあ、仕事をサクサク進めるは? 麻雀でサクサク打つってのは? ウチのPCは購入当初はギュンギュンと動いていた。動画がぬるぬる動く。しばらくしても、サクサク動いていたものの、やがてもたもた動くようになったので、メモリを足したりするなどして、ゴリゴリ動かしたりもしたが、今はもそもそ動いている。 ●「ざっくりとした説明」も

    eulewald
    eulewald 2013/09/26
    へえぇ!
  • 「レナード・バーンスタイン ザ・ラスト・ロング・インタビュー」(ジョナサン・コット著/山田治生訳) - CLASSICA - What's New!

    ●読了、「レナード・バーンスタイン ザ・ラスト・ロング・インタビュー」(ジョナサン・コット著/山田治生訳/アルファベータ)。これはバーンスタインでなければ成立しなかったであろう特別なインタビューだ。著者は初対面で午後の2時から午前2時までバーンスタインと過ごし、12時間をかけてインタビューしている。たった1回のインタビューから1冊のを作ったのだから、恐ろしく効率がいいわけだが、しかし12時間のインタビューなどというものも普通はありえない。常人は1時間も話したらネタも燃料も尽きる。 ●亡くなる一年前のバーンスタインが語ったことに、いくつもの興味深い話が散りばめられているのはもちろんだが、なによりインパクトが強いのはその百科全書的饒舌ぶり。あたかもトマス・ピンチョンの小説でも読んでいるのではないかと錯覚するほど、文脈から自由に言葉がほとばしり、次々と新奇な対話の情景を見せてくれる。バーンス

  • 「読んでいない本について堂々と語る方法」(ピエール・バイヤール著/大浦康介訳/筑摩書房) - CLASSICA - What's New!

    ●「げげ、そろそろ夏休みが終わるのに、まだ読書感想文を書いていないし、課題図書も読んでいない!」。8月も終盤に突入、そう頭を抱えている生徒の皆さんも多いのでは。大丈夫、安心してよい。当ブログを読んでくれている中高生諸君のためにステキすぎる一冊を紹介しよう。「読んでいないについて堂々と語る方法」(ピエール・バイヤール著/筑摩書房)。これがあればなど読まずして、すいすいと感想文を書ける。そればかりか、読書について、あるいは批評について、見識を深めることができる。まれに見る読書家オスカー・ワイルドは一冊のを読むのに適した時間は10分だと書いた。ポール・ヴァレリーは自分がをほとんど読まないことを公言し、むしろ読書の危険性を指摘して「作品も作者も必要としない」という批評概念を披露した。 書物にたいするヴァレリーのこの不信感は、まずは伝記類に向けられている。ヴァレリーは、文学批評の領域では、広

    eulewald
    eulewald 2013/08/26
    わはは。「読書感想文」とは『今日的意義』(乱暴にいえば「為になること」)を読書から見いだせ、という訓練だというのが、私の持論。なので、為になることを本から適当にでっち上げるといいと思うよ。
  • 平日夜の19時開演 - CLASSICA - What's New!

    ●平日夜のコンサートの開演時間は19時。多くの公演がそうなっている。これについて「もう少し遅ければ間に合うのに……」という言葉を、これまで何度耳にしたかわからない。ビジネスマンにとって、19時開演は厳しい。少なくとも20年以上前からそういう声はあるし、かつては自分もそう思っていた。しかし、その割には19時より開演を遅くしてお客を増やしたという話もあまり聞かない。むしろ、世間の人々はもっと開演を早くしてほしいと思っているのではないかとすら感じる。特に最近、終演時にカーテンコールを最後まで待たずにダダッと席を立つ人も多いわけで、みんな全般に急いでいる。 ●と言うと「終電そんなに早いんですかね?」とかいう話になりがちなんだけど、終電なんて眼中にないと思うんすよ。電車はあるんだけど、夜遅くなるのが困るのかな、と。NHKの「日人の生活時間2010」によれば、平日の場合、日人の半数は23:30まで

    eulewald
    eulewald 2013/07/09
    名古屋・広島の開演時刻は、演奏会会場が公営ホールだというのが関係してるんではないかな? 公営ホールの職員さんたちが早く帰られるように、早い時間に終演して欲しい→開演が早くなる、の流れ。
  • 雪だるまオブセッション - CLASSICA - What's New!

    今日の東京は雪。とんでもなく雪。朝からボタ雪が降りはじめて、これは積もるなと思ったら、延々とそのまま降りつづけて積雪8cm。「なんだ、たったの8cmか」と思われる方も多いだろう。雪国でどれだけ雪が降るものかはよく知っている。が、東京の場合、街も車も人もすべてにおいて雪対応力がゼロに近い。なので、体感的に東京の積雪8cmは雪国の80cmくらいの怖さ。 ●なんで怖いかっていうと、雪が積もってるのに、なにもしなくても普段と同じようにできるっていう前提でみんな動くから。タイヤもも道も電車も。が、その一方で、雪だるまは懸命に作る。憑かれたように作る。それが東京人の雪対応。「未知との遭遇」でみんなが山を盛るのと同じくらい、雪を丸める。

    eulewald
    eulewald 2013/01/15
    「体感的に東京の積雪8cmは雪国の80cmくらいの怖さ。/ ●なんで怖いかっていうと、雪が積もってるのに、なにもしなくても普段と同じようにできるっていう前提でみんな動くから。」テレビで見てアホかといつも思う。
  • 「ファジル・サイ ピアニスト・作曲家・世界市民」(ユルゲン・オッテン著) - CLASSICA - What's New!

    ●つい先日の来日公演は行けなかったのであるが、来日に合わせて刊行された「ファジル・サイ ピアニスト・作曲家・世界市民」(ユルゲン・オッテン著/アルテスパブリッシング)を読んだ。ファジル・サイ、初のバイオグラフィー。サブタイトルに「ピアニスト・作曲家・世界市民」とあるが、特におもしろいのは「世界市民」としてのサイの姿。なるほど、トルコに生きるアーティストにはこんな軋轢が待ち構えているのかと多くを知った。つい先日、ファジル・サイがTwitter上でイスラム教の価値観を侮辱したということでトルコで起訴されたというニュースが流れたが、そこに至るまでの経緯、さらに大きな背景としてトルコにおける世俗主義とイスラム主義の対立が芸術家にどう影響するか、といったあたりがわかる。 ●個人的にはファジル・サイはワーナー系レーベルで世に出た頃の印象が鮮烈で、その後活動の幅が広がってからは関心を失っていたこともあり

  • 金色の円環 - CLASSICA - What's New!

    ●天候に恵まれたさわやかな春の一日。早起きをして、朝日を浴びてすがすがしい気分になる。小鳥のさえずりに耳を傾け、青空を見上げて深呼吸する。おいしい空気を体の隅々にまで浸透させたところで、室内に戻り、PCの前に向かう。Photoshopを起動し、まずは適当な正方形で新規ファイルを作成し、ブラックで塗りつぶす。描画色に明るい雲色、背景色に暗雲っぽい色を適当に選び、描画フィルタから雲模様を選択して全面に適用、わずかにフェードをかけたものを背景とする。新規のアルファ・チャンネルに円を描く。続いてそのアルファ・チャンネルをコピーし、変形コマンドで円をわずかに縮小させる。最初の円と小さい円の差分を取り、円環を作り新規チャンネルとして保存する。背景上から円環のアルファ・チャンネルを選択して、色相・彩度を調節し、明るい環を作る。さらにこの円環を新規レイヤにして効果コマンドから光彩(外側)を選び、パラメータ

    eulewald
    eulewald 2012/05/22
    わはは
  • 広島交響楽団~「地方都市オーケストラ・フェスティバル」 - CLASSICA - What's New!

    ●昨晩はすみだトリフォニーホールの「地方都市オーケストラ・フェスティバル」の秋山和慶指揮広島交響楽団へ。エルガーのチェロ協奏曲(独奏は首席チェロ奏者のマーティン・スタンツェライト)、ブリテンのイギリス民謡組曲「過ぎ去りし時……」 、ブリテンの「シンフォニア・ダ・レクイエム」というイギリス音楽プロ。アンコールにエルガー「威風堂々」第5番。イギリス音楽好きが集まる雰囲気と、広島県人会的なノリが交錯していて、こういう混沌は結構好き。前日のOEK東京定期にも県人会ノリはあって観光パンフが配られたりしていたが、広響はさらに強力でロビーで広島物産展が開かれ、い物系が大人気。これから「シンフォニア・ダ・レクイエム」を聴いて平和に思いを寄せようとするも、もみじ饅頭や天ぷら詰め合せが信じられない吸引力でひきつけるのであり、ワタシの足は帝国軍デススターのトラクタービームに捕捉された小船のように物産展へと向か

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    eulewald 2012/03/28
    「もみじ饅頭や天ぷら詰め合せが信じられない吸引力でひきつける」HAHAHA! :-D 「もし広島に住んだら? きっと広響に通うだろう。」嬉しいねぇ。
  • 「新訳 フィガロの結婚 付『フィガロ三部作』について」(ボーマルシェ/鈴木康司) - CLASSICA - What's New!

    ●「新訳 フィガロの結婚 付『フィガロ三部作』について」(ボーマルシェ/鈴木康司訳・解説/大修館書店)読書中。おもしろい。 ●「フィガロ三部作」といえば、ロッシーニがオペラにした「セビリアの理髪師」があって、次にモーツァルトの「フィガロの結婚」があって、そしてあまり知られていない「罪ある母」が続く。「罪ある母」というのは、アルマヴィーヴァ伯爵夫の息子が実は伯爵夫人とケルビーノの不倫で生まれた子であったりとか、かなりトンデモ度の高い話で、ワタシも読んだり見たりしたことはない(ミヨーがオペラ化しているというが未見)。初演当時も酷評されたそうなんだが、どうしてボーマルシェはそんな話を書いたのか、書の解説を読むとその背景を知ることができる。 ●この「新訳 フィガロの結婚」はモーツァルトのオペラのダ・ポンテ台の訳ではなく、原作であるボーマルシェの戯曲の訳。当然のことかもしれないが、セリフの分量

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    eulewald 2012/03/26
  • 「都市と都市」(チャイナ・ミエヴィル著) - CLASSICA - What's New!

    ●気になっていた「都市と都市」(チャイナ・ミエヴィル著/ハヤカワ文庫)を読了。世界幻想文学大賞、ヒューゴー賞、ローカス賞等々を総なめにした上に、帯に「カズオ・イシグロ絶賛!」の惹句。そりゃ読むしか。 ●舞台設定のアイディアが秀逸。ヨーロッパ(おそらくバルカン半島)に位置する架空の都市国家ベジェルとウル・コーマが舞台となるのだが、この両都市は物理的には同じ領土を共有しているんである。というと東ベルリンと西ベルリンみたいな感じかと思うが、壁で分断されているのではなく、モザイク状に土地を共有しているのだ。同じストリートのこの建物はベジェルに属するけど、こっちの建物はウル・コーマに属するとか、複雑に入り組む。 ●で、ベジェルの住民はウル・コーマに属する建物や人を「見ない」ように法律で義務付けされ、見てはいけないものは「見ない」ように子供の頃から訓練付けられている(ウル・コーマ側も同じようにベジェル

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    eulewald 2012/01/23
  • 「ラテンアメリカ五人集」「砂の本」(ラテンアメリカの文学/集英社文庫) - CLASSICA - What's New!

    ●昨年集英社文庫で「ラテンアメリカの文学」として何冊か新装されたので。 ●短編集「ラテンアメリカ五人集」。パチェーコ、バルガス=リョサ、カルロス・フエンテス、オクタビオ・パス、アストゥリアスの5人の作品が収録されている。パチェーコとバルガス=リョサがすばらしすぎて、この2作だけのために買っても損はない。 ●パチェーコの「砂漠の戦い」は、40年代末のメキシコを舞台に、友達の母親に恋をした少年を描く。子供が友達の家に遊びに行ったら、そこのお母さんがステキな人でときめいたという他愛のない話のはずなんだけど、当時のメキシコ社会の背景や、後になって知る事の顛末が物語に奥行きを与えている。いたく切ない。年老いた主人公の回想として語られるという点も秀逸。そんな話の題が「砂漠の戦い」なんだから、もうこれは。 ●バルガス=リョサの「小犬たち」も名作。これはクソガキたちの世界、最初は。ガキどもの中に転校生がや

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    eulewald 2012/01/23
  • 映画「ピアノマニア」 - CLASSICA - What's New!

    ●まもなく公開される映画「ピアノマニア」を一足先に見せていただいた。調律師とピアニストを巡るドキュメンタリー。題材も大変おもしろく、カメラワークも優れていて、見ごたえ大。1月21日~新宿シネマート他、各地で公開。 ●主役となるのはスタインウェイ(ハンブルク)の技術主任を務める調律師シュテファン・クニュップファー(いいキャラの持ち主だ)。そして彼とともに理想の音を求めるピアニストたち、ピエール=ロラン・エマール、ラン・ラン、ティル・フェルナー、アルフレート・ブレンデル他が登場する。 ●で、このドキュメンタリーの中心となっているのが、調律師シュテファンとエマールが二人三脚でバッハ「フーガの技法」(DG)のレコーディングに挑む部分。早くも録音の1年前からエマールとシュテファンの打ち合わせが始まる(エマールは忙しい)。妥協を知らないエマールは完璧なピアノを求めて、次々とシュテファンにリクエストを出

  • ニューヨーク・フィルのマーラー9番携帯電話事件 - CLASSICA - What's New!

    ●11日(水)はオペラシティでフライブルク・バロック・オーケストラ公演へ。この公演についてはまた日を改めて書くつもりだけど、すばらしい演奏会だった。バッハの管弦楽組曲を4曲全部。聴衆の集中度も高くて、熱心な人たちばかりが来てるんだなあという実感があった。でもいつもこんなふうにはいかない。 ●火曜夜ニューヨークで開かれたアラン・ギルバート指揮ニューヨーク・フィルのマーラー/交響曲第9番の公演で起きた携帯電話事件が波紋を呼んでいる。よりによってマーラー9番の終楽章終盤で、ケータイの着信音が鳴り出した(iPhoneのマリンバ)。アラン・ギルバートは演奏を止めて客席に向かって着信音を止めるように言ったという。 ●その場にいた人たちのブログやTwitterなどをざっと見た限りでは、事態の展開はこんな感じだった模様。着信音は最前列のあたりから鳴り出した。鳴った瞬間はまだオーケストラの音量の大きな部分だ

  • 「小澤征爾さんと、音楽について話をする」(小澤征爾、村上春樹) - CLASSICA - What's New!

    ●あっという間に読んだ。「小澤征爾さんと、音楽について話をする」(小澤征爾、村上春樹著/新潮社)。とんでもなくおもしろい。村上春樹による小澤征爾のロングインタビューということなんだけど、なにしろ一年の間に世界のあちこちで語り合ったというもので、密度も濃ければ量も多い。知らなかったエピソードも山ほどあっておもしろいし、小澤征爾の音楽に対する率直な考え方もうかがえる。 ●すぐれた小説と同じように、すぐれたインタビューも重層的に読んで味わえるものなんだな、と感じた。つまり、まず一次的には話される内容が興味深い。村上春樹はすごくよくクラシック音楽を聴いているし、感じ方とか見方はほとんど完璧にワタシらのよく知るクラシック・ファンというか「クラヲタ」のセンスと一致しているんすよ。質問もいい。小澤征爾も相手が音楽関係者ではなく、以前より交友のあった作家であるからこそ、これだけオープンに話してくれたにはち

  • 「スターバト・マーテル」(ティツィアーノ・スカルパ著/河出書房新社) - CLASSICA - What's New!

    ●ようやく読んだ、「スターバト・マーテル」(ティツィアーノ・スカルパ著/河出書房新社)。ヴィヴァルディが登場する小説として、翻訳前から話題になっているのをチラッと見かけて気になっていた。読んでみてびっくり。こんなスタイルの小説だったとは。やや長めの中篇程度なのですぐに読める。 ●舞台はあのピエタ養育院。ヴェネツィアにあって孤児たちの少女に音楽教育を施し、少女たちの何人かは楽団を作って演奏した。主人公はヴィヴァルディではなく、ピエタ養育院で特にヴァイオリンの才能に秀でた少女。少女の独白という形で養育院が描かれる。あるとき、養育院に新任の司祭がやってくる。彼は前任者とまったく違った驚くべき音楽を書いた……それがヴィヴァルディ。 ●著者スカルパはかつてピエタ養育院の中にあったというヴェネツィアの病院で生まれている。そしてヴィヴァルディを敬愛するというのだから、書くべくして書かれた小説なんだろう。

  • 「ラヴェル その素顔と音楽論」(マニュエル・ロザンタール著/マルセル・マルナ編) - CLASSICA - What's New!

    ●もう品切になっている古いだが、必要があって手に取った、「ラヴェル その素顔と音楽論」(マニュエル・ロザンタール著/マルセル・マルナ編/春秋社)。これは実に良く書けている。音楽家の評伝を魅力あるものにするのは真正さではなく文才であると常々感じているんだけど、その点でこれは秀逸。ロザンタールの著書ということになるが、たぶん彼に取材してマルセル・マルナという評論家が執筆をしている。その手腕が鮮やか。ロザンタールからおもしろい話を次々と引き出す。 ●ラヴェルはベートーヴェンでもバッハでもなく、モーツァルトを愛した。これはわかる。それに加えてウェーバーとシューマンを尊敬していた。さらにショパンの「舟歌」をあらゆる音楽でもっともすばらしい作品の一つだと考えていたという。ロザンタールの見立てでは、ラヴェルは自分に恵まれなかった才能をこれらの作曲家に見出していたのだと。つまり、「メロディを作る才能」を

    eulewald
    eulewald 2011/07/13
    エネスコにびっくり。 「エネスコは最高のピアニストであり、オルガンもチェロも達者で、指揮者としての才能もあって、作曲家としても名を残し、それでいて伝説のヴァイオリニストでもあったわけだ。」 って、私もエ
  • 「ラヴェル その素顔と音楽論」その2 ~ モテないラヴェル - CLASSICA - What's New!

    ●先日ご紹介した「ラヴェル その素顔と音楽論」(マニュエル・ロザンタール著/マルセル・マルナ編/春秋社)について、さらに。古いで品切中のようだが、ならばなおさら。 ●「ボレロ」についてラヴェルとトスカニーニが対決したという話はあちこちで目にしたことがあるだろう。トスカニーニのテンポが速すぎたので、ラヴェルがなぜそんなテンポで振るのかと問いただすと、トスカニーニは横柄に「あなたのテンポで演奏したら決して成功しません」と答えた、というようなエピソード。著者ロザンタールによれば、それは「でっちあげ」なんである。事実はむしろ逆で、ロザンタールがラヴェルに「もっとゆっくり演奏してほしいと言ったのですか」と尋ねると、ラヴェルは「もちろん違うよ。あの晩、トスカニーニは、このうえもなくすばらしい手さばきで、『ボレロ』を演奏したんだからね。あんなふうに演奏するなんて誰にもできない」と大指揮者を絶賛したとい

    eulewald
    eulewald 2011/07/13
    「プロフェッショナルな女性とは大っぴらに、そして盛んに楽しんでいた。」ええーっ! 私もゲイ説を信じてたよ。
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