ところで、連載第30回(1月14日号)で示したように、ipadの原価構成に占める組立工賃(製造コスト)の比率は3%弱でしかない。仮に(フォックスコンが行ったように)2割引き上げ、かつ引き上げ分をすべてアップルに転嫁しても、製造原価は0・6%上昇するにすぎない。アップルにとっては、信頼性のある生産と、納期に正確に間に合わせられる体制のほうがはるかに重要だろう。 もちろん、賃金引き上げのすべてをアップルに転嫁することはできないだろうから、利益率は下がる。実際、フォックスコンの現在の利益率は2〜3%だが、かつては、10%を超えていた。だから、かなり低下したことになる。 重要なのは、日本のメーカーがスマートフォンを作る場合、独自のOSがあるのならともかく、それなしに製造工程に固執するかぎり、いくら頑張っても、2%程度以上の利益率はあげられないということだ。巨大EMSが、安い労働力を使って極端な