1962年生まれの私にとって、アメリカは思春期のころから「憧れの国」だった。 親近感が漠然とした疑問に変化したのは、ドナルド・トランプ大統領が登場してからだ。選挙期間中から感じていたのは「この男が大統領になったら大変なことになる」ということだった。そして、それが現実のものとなってからは、大きな違和感を抱くことにもなった。 当然ながら、違和感の根源は、自分の気に入らない相手を感情的に嫌い、自分に都合の悪い報道を「フェイク・ニュース」と断言するトランプの幼児性だ。 やがて1つのことに気づくことにもなった。アメリカ中西部の「ラスト・ベルト」に多いといわれるトランプ支持層の存在だ。彼らがいるからこそトランプは当選したわけだが、それは、かつての自分が憧れたアメリカのイメージとは大きくかけ離れたものだった。 だが、『ファンタジーランド: 狂気と幻想のアメリカ500年史』(カート・アンダーセン 著、山田