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ブックマーク / himaginary.hatenablog.com (23)

  • 三線都市物語 - himaginary’s diary

    ここで紹介した中国住宅ブームのピークアウトに関する論文を書いたケネス・ロゴフ(Kenneth S. Rogoff、ハーバード大)とYuanchen Yang(IMF)のコンビが、その続きとも言うべき表題のNBER論文(原題は「A Tale of Tier 3 Cities」)を上げている(IMF版)。以下はその要旨。 This paper provides new estimates of the housing stock, construction rates and price developments by city tier in China in order to understand where excess supply might be concentrated, and the implications of any significant contraction.

    三線都市物語 - himaginary’s diary
  • コロナ疾患が労働者に与える影響 - himaginary’s diary

    というNBER論文が上がっている。原題は「The Impacts of Covid-19 Illnesses on Workers」で、著者はGopi Shah Goda(スタンフォード大)、Evan J. Soltas(MIT)。この論文は既にWSJ日版や日経で紹介されているほか、タイラー・コーエン経由で要旨も邦訳されている。 著者のうちSoltasは高校生の時から経済学ブロガーとして活躍しており、ブログでも10年前に取り上げたことがあるが、そのSotlasがツイッターで論文を解説しているので以下に紹介してみる。 New short paper with @ipogadog: We estimate that Covid-19 illnesses have reduced the US labor force by ~500,000 workers & provide the fir

    コロナ疾患が労働者に与える影響 - himaginary’s diary
  • クルーグマン「日本はまだオワコンではない」 - himaginary’s diary

    既に日のツイッターで話題になっているが、クルーグマンが安倍元首相の死に寄せて連ツイを投稿している。 OK, one more shock: the assassination of Japan's former Prime Minister Abe. I have zero to say about what might lie behind it and what it means. But I can talk about my meeting with Abe in 2016; he was a complicated and interesting leader, not easy to characterize 1/ As many have noted, he was an apologist for Japan's war crimes — not forgivable —

    クルーグマン「日本はまだオワコンではない」 - himaginary’s diary
  • 量的緩和が効く理由 - himaginary’s diary

    以前ここで紹介した論文の掲載が決まったとのことで、著者の一人のエガートソンがツイッターでスレッドを立てて同論文を解説している(H/T タイラー・コーエン)。 Bernanke famously quipped that “The problem with Quantitative Easing (QE) is that it works in practice but not in theory”. My paper with Bhattarai and Gafarov on how QE can work in theory is forthcoming in the Review of Economic Studies. A thread: First, on QE not working in theory: I think Bernanke had in mind QE2 and

    量的緩和が効く理由 - himaginary’s diary
  • コロナ禍での財政刺激策と商業銀行貸し出し - himaginary’s diary

    というNBER論文が上がっている。原題は「Fiscal Stimulus and Commercial Bank Lending Under COVID-19」で、著者はJoshua Aizenman(南カリフォルニア大)、Yothin Jinjarak(ヴィクトリア大学ウェリントン)、Mark M. Spiegel(SF連銀)。 以下はその要旨。 We investigate the implications of extra-normal government spending under the COVID-19 pandemic for commercial bank lending growth between 2019Q4 and 2020Q4 in a large sample of over 3000 banks from 71 countries. We control

    コロナ禍での財政刺激策と商業銀行貸し出し - himaginary’s diary
  • クルーグマン「コアインフレ理論を注視せよ、ただしブルウィップ効果に気を付けよ」 - himaginary’s diary

    デロングが、インフレについて考察したツイート*1で、プーチンのウクライナ侵攻はサマーズの懸念するインフレスパイラルの可能性をデロングの主観確率にして5%から40%に高めた、と述べたところ、クルーグマンはそれについては同意できない、として以下のようにツイートしている。 This is part of a very thoughtful thread about stagflation risks, but this particular point is one I disagree with 1/ To start with what *does* worry me, it's mainly labor markets. High wages are good, but unsustainably high wage growth isn't 2/ This looks like an o

    クルーグマン「コアインフレ理論を注視せよ、ただしブルウィップ効果に気を付けよ」 - himaginary’s diary
  • クルーグマン「総需要の鈍化は既に始まっている可能性が高い」 - himaginary’s diary

    ここで紹介したインフレに関する3/18ツイートの補足のようなツイートをクルーグマンが3/28に呟いていたので、以下に紹介しておく。 So, this really is a very tight labor market. Yesterday in New Jersey 1/ But with all the talk about being behind the curve on inflation, I wonder whether people are now getting behind the curve on a likely slowdown in aggregate demand. The real interest rates that matter for investment are rising fast 2/ And as I keep arguing, the

    クルーグマン「総需要の鈍化は既に始まっている可能性が高い」 - himaginary’s diary
  • ゴロドニチェンコとウクライナ - himaginary’s diary

    マンキューがウクライナへの想いを述べたエントリを前回紹介したが、後続エントリで彼は、ゼレンスキー大統領の演説と、Yuriy Gorodnichenkoの2/25付けのエントリに、それぞれ「A powerful speech by Ukraine's president.」「A heartfelt plea from economist Yuriy Gorodnichenko.」というコメントを添えてリンクしている。後者については冒頭部分をhicksianさんが経済学101で邦訳されているので、それ以降の部分を以下に紹介してみる。 It is a test for all of us. Will the United Nations follow the fate of the League of Nations that helplessly observed the world spir

    ゴロドニチェンコとウクライナ - himaginary’s diary
  • ソビエトの1932-33年の大飢饉の政治経済的な原因 - himaginary’s diary

    一昨年に映画も製作された*1ホロドモールを取り上げた表題のNBER論文が上がっている(cf. 昨年9月時点のWP、タイラー・コーエンの紹介、Mostly Economicsの紹介)。論文の原題は「The Political-Economic Causes of the Soviet Great Famine, 1932–33」で、著者はAndrei Markevich(ニューエコノミックスクール), Natalya Naumenko(ジョージメイソン大)、Nancy Qian(ノースウエスタン大)。 以下はQianの研究紹介サイトでのまとめ。 We document several new facts about the Soviet Great Famine, 1932–33: i) there was no aggregate food shortage; ii) regional m

    ソビエトの1932-33年の大飢饉の政治経済的な原因 - himaginary’s diary
  • 発展途上国における停電:卸売電力市場の役割 - himaginary’s diary

    というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「Blackouts in the Developing World: The Role of Wholesale Electricity Markets」で、著者はAkshaya Jha(カーネギーメロン大)、Louis Preonas(メリーランド大)、Fiona Burlig(シカゴ大)。 以下はその要旨。 Blackouts impose substantial economic costs in developing countries. This paper advances a new explanation for their continued prevalence: unlike in high-income countries, where regulatory mandates require utilit

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  • ワクチンの確保と接種の遅れが招いたこと - himaginary’s diary

    アレックス・タバロックが9/3付けMRブログエントリで、豪州のロックダウンは行き過ぎ、という主旨のアトランティック記事を紹介している(タイラー・コーエンもその少し前に「Has Australia gone too far?(豪州はやり過ぎたのか?)」というコメントを添えて同記事にリンクしている)。タバロックは、「今や豪州は世界で最も専制主義的な国の一つになった(Australia is now one of the most authoritarian states in the world)」というやや刺激的な文でエントリを書き出している。 アトランティック記事では、豪州の今の政策はもはや自由民主主義国のものとは言えないのではないか、と疑問を呈するとともに、自由の制限もワクチンを確保する間の一時的なものならまだ擁護の余地はあったが、実際には豪州はワクチン政策も失敗している、として以下のよ

    ワクチンの確保と接種の遅れが招いたこと - himaginary’s diary
  • ベトナムの低予算COVID-19対策の成功 - himaginary’s diary

    について論文が書かれ、著者の一人Hong Kong NguyenがProject Syndicateにその概要を寄稿している(H/T Mostly Economics)。以下はそこからの引用。 Perhaps most remarkably, unlike South Korea, which has spent considerable funds on aggressive testing, or Singapore, which has established strong epidemiological surveillance, Vietnam has followed a budget-friendly approach that has proven equally effective. Despite expectations of high rates of transm

    ベトナムの低予算COVID-19対策の成功 - himaginary’s diary
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    facebooook 2020/04/13
    “市民は自発的に、NCOVIという政府が立ち上げたアプリに個人の健康情報を上げた。ITプラットフォームを通じたコミュニケーションと一般市民への教育、および、病原体保持者の体系的な追跡”
  • パンデミックの長期的影響 - himaginary’s diary

    というNBER論文が上がっている(文も読める)。原題は「Longer-run Economic Consequences of Pandemics」で、著者はÒscar Jordà(SF連銀)、Sanjay R. Singh(UCデービス)、Alan M. Taylor(同)。 以下はその結論部。 Summing up our findings, the great historical pandemics of the last millennium have typically been associated with subsequent low returns to assets, as far as the limited data allow us to conclude. These responses are huge. Smaller responses are fou

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  • 供給ショックが需要不足につながる時 - himaginary’s diary

    について書かれた論文をクルーグマンが激賞している。論文のタイトルは「Macroeconomic Implications of COVID-19: Can Negative Supply Shocks Cause Demand Shortages?」で、著者はVeronica Guerrieri(シカゴ大)、Guido Lorenzoni(ノースウエスタン大)、Ludwig Straub(ハーバード大)、Iván Werning(MIT)。クルーグマン自身も3月末に同様の点について考察した小論を上げているが、こちらの論文の方がより深く緻密に考察している、としている。 論文の一つの結論は以下の図に集約されている。 以下はその図についての説明。 Figure 1 illustrates this logic for two sectors, 1 and 2, where sector 1 ge

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  • マンキュー「パンデミックに寄せて」 - himaginary’s diary

    マンキューが「Thoughts on the Pandemic」というブログ記事を上げ、箇条書きで以下のようなことを述べている。 景気後退の可能性は高く、おそらくそれが最適である(望ましい、という意味ではなく、この状況下で我々ができる最善の行動という意味で)。 医療危機の緩和が最優先課題。ファウチ博士が要求するものはすべて与えよ。 財政当局は総需要ではなく社会保険に重点を置くべし。ファイナンシャル・プランナーは、6ヶ月の生活費を予備費として確保しておけ、と人々に説くが、残念ながら、多くの人がそうしていない。当に困っている人を特定するのが難しいこと、およびそうした特定に付き纏う問題を考えると、手始めにすべての米国人に1000ドルの小切手を可能な限り早急に送るのが良いだろう。この状況下では給与税減税にはあまり意味はない。というのは、働けない人には何ら恩恵がないからである。 政府債務の拡大を懸

    マンキュー「パンデミックに寄せて」 - himaginary’s diary
    facebooook
    facebooook 2020/03/14
    “医療危機の緩和が最優先課題。すべての米国人に1000ドルの小切手を可能な限り早急に送るのが良いだろう。トランプ大統領はその減らず口を閉じろ。”
  • 価格だけでは話が済まなくなる時 - himaginary’s diary

    2012年にロイド・シャープレーと共にノーベル経済学賞を受賞したアルヴィン・ロスが、ミネアポリス連銀のRegion誌インタビューの中で、マッチング市場と通常の市場の違いについて説明している(H/T Conversable Economist)。 Well, it might be easiest to first talk about commodity markets because they are markets where we think price does do all the work. It takes a lot of design to make something into a commodity market. Take wheat, for example. God makes wheat, but the Chicago Board of Trade make

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  • 右派のピケティ批判の貧困 - himaginary’s diary

    雑誌The Bafflerのブログ「Zero Tolerance」でKathleen Geier*1が保守派のピケティ批判をまとめたのを受けて、デロングがProject Syndicate論説で右派の批判を分析した(同論説を表題の自ブログにも転載している;原題は「Over at Project Syndicate: The Poverty of Right-Wing Piketty Criticism」)。 デロングによると、ピケティの主要な論点は以下の5点だという: 社会の年間所得で基準化した富は、純貯蓄率を成長率で割った水準にまで増加(もしくは縮小)する。 時間の経過と偶然の結果により、富は「富裕層」と呼ばれる比較的少数の集団に必然的に集中する。 経済の成長率は、工業化で即座に得られる果実を収穫した後は、減速する。その一方で、累進税率の後退や、20世紀前半の混乱と崩壊の終結や、富裕層

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  • サッチャーの功績 - himaginary’s diary

    昨日に引き続きクリス・ディローのサッチャー評の紹介。昨日の紹介から分かるように、ディローは決してサッチャーのファンではないが、死去の直後のエントリだということもあり*1、ここではサッチャーの良い点を挙げている: 実用主義 左右両派は彼女が公共支出を削減したという神話を語りたがるが、それは事実ではない。GDPに占める公共支出の割合の低下幅はニューレイバーの初期よりも小さかったし、今後数年に予定されている低下幅よりも小さい。また1964-70年の労働党政権下よりも支出は大きかった。 彼女は国民保健サービスを大きく改革することはしなかった。 上記の二点に関し、彼女はイデオロギーよりは実用主義を重んじた。 政治家が抜的な変化をもたらすことができるという認識をもたらした サッチャー時代に、人々が許容する公共政策の範囲(Overton window)はシフトした。 その理由は、彼女のイデオロギーが勝

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  • サッチャーの失敗した成功 - himaginary’s diary

    クリス・ディローが、意図しない形で成功を収めたサッチャーの功績として以下の3つを挙げている。 1980-81年の景気後退による労組の弱体化 この時に政策として採用されたマネタリズムは別に英国経済への体罰を意図したものではなく、インフレはもっとスムーズに低下するはずだった。しかし豈図らんや、失業とインフレのトレードオフはマネタリストの予想に比べ峻烈で、失業者は300万人に達した。 ただ、その結果として労組の交渉力は弱まった。そのため、利益率や予想利益やアニマル・スピリットは高まり、1980年代の投資を促進した。 確かにサッチャーは労組の弱体化を約束していたが、彼女は失業ではなく法の支配を通してそれを実施するつもりだった。 80年代初頭の信用統制の緩和 彼女が経済の自由化の一環として考えていたその緩和は、予想を超えた大きな経済的インパクトをもたらした。即ち、消費者主導の社会と経済を生み出した。

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  • 大恐慌時の金本位制と現在のユーロとの違い - himaginary’s diary

    についてアイケングリーンがProject Syndicateに書いている(Economist's View経由)。以下は彼の挙げる当時と現在の相違点で、これらの違いによりユーロは金位制と同じ運命を辿らずに存続できるかもしれない、と彼は言う。 単一の中央銀行 考え方の異なる中央銀行が足並みを揃えて金融政策を実施するのは言うは易し、行うは難し。一方、ECBはその気になればユーロ圏全体をリフレートできる。問題はその意思があるかどうかだが…。 失業保険の充実 最近の社会保障制度の削減にも関わらず、現在の失業給付は当時よりも多い。そのため、ユーロを放棄せよというポピュリスト的な圧力も当時より弱い。 政治環境の良好化 当時はドイツの再軍備に対するフランスの不信があり、中欧金融危機の対処への協力をフランスは拒否した。オランド大統領就任後に独仏関係が緊張するとしても、当時の緊張関係はその比ではない。 ま

    大恐慌時の金本位制と現在のユーロとの違い - himaginary’s diary