まだ成長期を迎えていなかった学生時代の前半、いつもクラスで前から二番目か三番目くらいだった僕にとって、プリンスは「背が低くてもいいよね!?」と自分を肯定するためのアイドルでした。 もう少し大人になって、音楽をちゃんと聞くようになってから、はじめてプリンスの「曲の凄さ」に気づきました。 いや……曲というよりも、「音」? プリンスの曲は、好き嫌いを超えて全作名曲でした。 その秘密は「音」にあると思います。音の一つ一つを丁寧に扱い、そのためには自ら全楽器を手にとって納得いくまで弾き録音する、そんな風に地道に作られた精緻極まる楽曲は、ド派手で格好いい曲も、最初は「地味だな」という印象を持つ曲も、聴けば聴くほど、まるで滋養のように身体全体に柔らかく温かく染み渡りました。 プリンスの曲は、まるであたりめみたいでした。噛めば噛むほど味が出る。ちなみにあたりめも大好きです。昨夜も噛んでました。 プリンスは