東京進出を果たし、フリースブームで快進撃を続けるユニクロは、柳井正を取り囲むように続々と集い始めた新しい才能たちの手で動き始めた。柳井が掲げていた社長中心主義からプロ集団への脱却である。その一方で、慌ただしいブームと急成長のただ中で居場所をなくしたのが古参幹部たちだった。ノンフィクション『ユニクロ』(杉本貴司著)より、その「成長痛」の内幕を紹介する。(文中敬称略) 「岩村君。俺はもう辞めようと思うちょるんや」 ちょうど柳井が信頼するクリエイターのジョン・ジェイが「新しいユニクロ」を伝えるCMの作成に取り組んでいるただ中の1999年8月のことだ。ユニクロにとって最古参となる浦利治が、やはり古くから柳井を支えてきた岩村清美にこう打ち明けた。 浦は柳井がまだ小学生だった頃から住み込みでメンズショップ小郡商事で働き始め、柳井が店を継ぐようになると、たった2人で出発した。柳井にとっては社員というより
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