少し前に読んだ本、『渦森今日子は宇宙に期待しない。』はヤバイ。何がヤバイって、徹底してライトな文調で構成されているというのにそこに確かな牙が存在していること。そもそも僕はあんまり砕けた言葉遣いの小説が好きではなく、それは例えるなら、初期衝動という言葉に安易に甘えたロックバンドに覚える同族嫌悪、に近いものを感じるからです。本を書くならそれなりのスタイルが必要だ。と常々思っていたのです。 しかし、この本にはかなわない。言葉の選び方に詩人としてのボキャブラリーがある時点で負ける(当然ですが、素人がプロに勝てるも負けるもないだろうなどという意見は生ゴミだ)。日本語の最大の武器であるところの、ひらがな・カタカナ・漢字の組み合わせを縦横無尽に操って、かつ女子高生の視点と偽りつつも主人公は宇宙人なのでそれはメタ視点そのものといった語り口(だけど作者最果タヒは地球人であることも垣間見える)で、現代の若者で