木屋といえば、包丁の老舗中の老舗である。創業は寛政4(1792)年だから、今から219年前のことだ。江戸後期で、徳川家斉が寛政の改革を行っていた頃になる。 現在の木屋は、東京・日本橋三越の斜め向かいにある「コレド室町」という近代的なビルの一階に本店を構えている。 店内の中央にはカウンターのような流し台が設けられている。ここで、前掛けをかけた職人さん(木屋の社員)たちが、数人並んで包丁を研いでいた。シュシュとリズミカルな音が聞こえる。壁際のケースには、何十種類もの包丁やナイフが並んでいる。 今回の調査目標である「包丁の研ぎ方」を教えてくれるのは、石田克由さん。包丁を研いで42年というベテランだ。 石田さんの実演を、生活なんでも調査隊の3人は、カウンター越しに見守ることにした。研ぐ包丁は、ステンレス製の三徳包丁である。日本の家庭で最も多く使われているものだ。 石田さんは、「1回や2回で、研げる