2005年に完全施行された「個人情報保護法」の見直し方針が相次いで伝えられている。法改正によって何を整備し、どのような効果をもたらすか。ITや法曹関係者へのインタビューを通じて論点整理をしていく。第一回は、慶応義塾大学総合政策学部の新保史生教授に、参議院で先日、可決・成立したマイナンバー法の意義や、それによって個人情報保護の枠組みがどのように変わってくるかを聞いた。 報道には、やや誤解されているところもあります。一番の誤解は、「共通番号」と呼ばれている点です。将来的な可能性はありますが、実際は共通番号ではなく「行政手続番号」でしかないのです。番号は社会保障分野、税分野、防災分野に利用範囲が限定されており、法律で定められている利用範囲以外での利用や提供の要求は禁止されています。しかも番号をキーにして個人情報が一元管理できる仕組みにはなっていません。現時点では民間利用も認められていません。 つ