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ブックマーク / caorenqi.hatenablog.com (20)

  • カルロ・ゴルドーニ『珈琲店・恋人たち』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    珈琲店・恋人たち (岩波文庫) 作者: ゴルドーニ,平川祐弘出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/06/15メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見る 「なんでまた他人の事を年中喋りまくるのだろう。」 「それはあの方はお頭がごくごく小さいから、自分の事は考えられない。それで年中他人の事ばかりお考えになるのです。」(「珈琲店」、42ページ) 「珈琲店」はその名の通りコーヒー店に集まる人々が巻き起こす騒動を描いたコメディ。 賭博にのめりこむ御曹司、彼から金を巻き上げる偽貴族、身分を隠して現れ彼らを正道に引き戻そうとするたち、偽貴族と交際中の踊り子(彼が帯者であるとは知らない)、噂好きの紳士、コーヒー店の店主らが登場し、どたばた騒ぎを繰り広げる。 身を滅ぼしそうな若旦那と、彼をい物にしようとする連中、逆に彼を救おうとする人々――という構図だけ見ると単純だが、登場人物に

    カルロ・ゴルドーニ『珈琲店・恋人たち』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう
  • R.A.ラファティ『昔には帰れない』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    昔には帰れない (ハヤカワ文庫SF) 作者: R.A.ラファティ,R.A. Lafferty,伊藤典夫,浅倉久志出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2012/11/01メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 32回この商品を含むブログ (27件) を見る わかりきったペテンに手もなくひっかかるのは不信心な人間だけさ。(68ページ) 最高のSF作家ラファティの短編集。ハヤカワ文庫では四冊目になる。二部構成になっていて、第一部はシンプルなショートコント、第二部は長めでやや複雑な構成の短編を収めている。 読書ブログなどを検索してみると評判の高い「素顔のユリーマ」は、クレイジーな発明家が世界征服をたくらむに至るまでの軌跡を描く。マッドサイエンティストを創り出すのは人の性質か、周囲の環境か。 「ぴかぴかコインの湧きでる泉」は不死と尽きぬ富を手に入れた男の話。しかし、尽きぬ富にも条件があって……

    R.A.ラファティ『昔には帰れない』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう
  • 2月刊行予定の海外文学チェックリスト - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    お待ちかね、岩波文庫リクエスト復刊の季節がやってきたわけだが、今回けっこう赤帯多い。ここには入れてないが緑帯も多く、文芸好きなら楽しみで仕方ないところだろう(何冊読めるかはおいといて)。 あと河出が予定してるチェコの作家の小説が気になる。 岩波書店 バルザック『艶笑滑稽譚 第三輯』 バルザック『海辺の悲劇 他三篇』(以下復刊) 『増補 ギリシア抒情詩選』 『対訳 コウルリッジ詩集』 トルストイ『懺悔』 バルビュス『地獄』 プーシキン『ジプシー 青銅の騎手 他二編』 『訳注 楚辞』 アイヒェンドルフ『大理石像 デュランデ城悲歌』 イエイツ『アイルランド童話集 隊を組んで歩く妖精達 其他』 ジッド『パリュウド』 ヴォーヴナルグ『不遇なる一天才の手記』 レスコーフ『魅せられた旅人』 ヘッベル『ユーディット 他一編』 ワーグナー『さすらひのオランダ人 タンホイザア』 筑摩書房 グウィン『コンパス・

    2月刊行予定の海外文学チェックリスト - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう
  • 11月刊行予定の海外文学チェックリスト - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    そういや私はリョサの小説をきちんと最初から最後まで読んだことがない。『緑の家』はついていけなかったし……というわけで今月岩波から出る『アンデスのリトゥーマ』は買ってみようかと思ってる。岩波文庫のほうのルカヌス『内乱』も楽しみ。 あとダレルの『アヴィニョン五重奏』刊行開始だが……『アレクサンドリア四重奏』も積んでるんだよなあ。 平凡社の朝鮮近代文学選集の『三代』は植民地時代の家族小説のようだが、ウェブサイトの紹介文を見た感じではなかなか読みごたえがありそう。 岩波書店 リョサ『アンデスのリトゥーマ』 バルザック『艶笑滑稽譚 第一輯 』 ルーカーヌス『内乱(上)』 シラー『ヴァレンシュタイン』(以下復刊) ノサック『短篇集 死神とのインタヴュー』 カーリダーサ『シャクンタラー姫』 沈復『浮世六記』 『プラトーノフ作品集』 平凡社 廉想渉『三代』 白水社 トマ『王妃に別れをつげて』 国書刊行会

    11月刊行予定の海外文学チェックリスト - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう
  • 8月刊行予定の海外文学チェックリスト - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    ソローキン来た! あと白水社のエルサルバドルの作家のも気になる。 岩波書店 アレイヘム『牛乳屋テヴィエ』 カロッサ『美しき惑いの年』 フランス『シルヴェストル・ボナールの罪』(復刊) 『杜牧詩選』(復刊) 筑摩書房 シェイクスピア『トロイラスとクレシダ』 白水社 モヤ『無分別』 国書刊行会 ホッグ『悪の誘惑』(以下新装復刊) ロッシ『普遍の鍵』 マチューリン『放浪者メルモス』 プイグ『リタ・ヘイワースの背信』 早川書房 バチガルピ『シップブレイカー』 河出書房新社 ソローキン『青い脂』 フランコ『パライソ・トラベル』

    8月刊行予定の海外文学チェックリスト - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう
  • ■ - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    『バーナード・ショー名作集』復刊。 しかし、なんで『ピグマリオン』の単行または文庫は出ないのかね? 岩波書店 ペルシウス,ユウェナーリス『ローマ諷刺詩集』 ヴァレス『子ども(上)』 ボルヘス『ブロディーの報告書』 筑摩書房 ラブレー『ガルガンチュアとパンタグリュエル 5』 ブラッドベリ『お菓子の髑髏』 蒲松齢『聊斎志異』 平凡社 アッタール『鳥の言葉』 白水社 『バーナード・ショー名作集』 国書刊行会 キローガ『野生の蜜』 チャドボーン『ワールズ・エンド』 マフフーズ『夜明け』 早川書房 シェリー・プリースト『ボーンシェイカー』 東京創元社 マキリップ『アトリックス・ウルフの呪文書』 光文社 アシス『ブラス・クーバスの死後の回想』

    ■ - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう
  • 4月刊行予定の海外文学チェックリスト - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    『ラーマーヤナ』新訳刊行始まるよ! 今度こそ最後まで行ってほしいものだ。 あとはピンチョンとか。 岩波書店 ボルヘス『汚辱の世界史』 ビュトール『心変わり』(復刊) 平凡社 『新訳ラーマーヤナ(1)』 白水社 ハーディング『ティンカーズ』 早川書房 モーゲンスターン 『夜のサーカス』 光文社 ワイルド『サロメ』 ウェルズ『タイム・マシン』 新潮社 ピンチョン『LAヴァイス』

    4月刊行予定の海外文学チェックリスト - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう
  • 3月刊行予定の海外文学新刊チェックリスト - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    このあいだ二月のリストをアップしたばっかりなのに、もう三月か。 岩波書店 パヴェーゼ『祭りの夜』 ゲーテ『ヘルマンとドロテーア』(復刊) 筑摩書房 『トーベ・ヤンソン短篇集 黒と白』 早川書房 メルシエ『リスボンへの夜行列車』 ヘミングウェイ『日はまた昇る』 マーティン『七王国の玉座』上下 河出書房新社 ダンテ『新生』 アディーチェ『明日は遠すぎて』 光文社 トルストイ『コサック』 現代企画室 フエンテス『澄みわたる大地』

    3月刊行予定の海外文学新刊チェックリスト - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう
  • 2月刊行予定の海外文学チェックリスト - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    もうじきには三月の分をアップする予定。 ……定期的に巡回してくれてた方などには申し訳ない。まあぼちぼち続けますよ。 岩波書店 ジオノ『丘』 パヴェーゼ『流刑』 ジャム『三人の乙女たち』 レッシング『賢者ナータン』(以下復刊) ローデンバック『死都ブリュージュ』 スティヴンソン『旅は驢馬をつれて 他1篇』 バニヤン『天路歴程』上下 『ビアス短編集』 ボーヴォワール『人はすべて死す』上下 クライスト『ペンテジレーア』 ジャム『散文詩 夜の歌』 白水社 『パウル・ツェラン詩文集』 蘇童『河・岸』 国書刊行会 マフフーズ『欲望の裏通り』 東京創元社 カダレ『夢宮殿』 河出書房新社 董啓章『地図集』 タブッキ『時は老いを急ぐ』 研究社 ウォルポール/バーク『オトラント城/崇高と美の起源』 水声社 クノー『きびしい冬』

    2月刊行予定の海外文学チェックリスト - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう
  • 1月刊行予定の海外文学チェックリスト - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    目玉はもちろん河出のブルガーコフ『犬の心臓』復刊。岩波文庫の赤帯もなかなか充実。『わたしの名は赤』は早くも新訳登場&文庫化。白水社から出るシモンも気になる。あと、平凡社ライブラリーがなぜかポルノに走ってるが、この先もそうした作品を出していくのだろうか。 岩波書店 フォークナー『アブサロム、アブサロム!(下)』 ゴールドスミス『ウェイクフィールドの牧師』 『フランシス・ジャム詩集』 ヴィットリーニ『シチリアでの会話』(復刊) 平凡社 サド『ジェローム神父』 クリーランド『ファニー・ヒル』 白水社 ギンズブルグ『マンゾーニ家の人々』上下 シモン『農耕詩』 国書刊行会 ウッドハウス『ジーヴスとねこさらい』 早川書房 パムク『わたしの名は赤』上下 河出書房新社 ブルガーコフ『犬の心臓』 ソンダグ『夢の賜物』 クンデラ『出会い』 光文社 ブラックウッド 『秘書綺譚 ブラックウッド幻想怪奇傑作集』

    1月刊行予定の海外文学チェックリスト - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう
  • 8月刊行予定の海外文学新刊チェックリスト - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    <東欧の想像力>シリーズ第七巻来るよ! この先もぜひ長く続けてもらわねば。 あとは古屋でもあまり見かけないクライストの短編集の復刊、これはおさえておかないと。 岩波書店 ジェイムズ『ワシントン・スクエア』 ヘッセ『シッダルタ』 サンド『フランス田園伝説集』(復刊) 筑摩書房 シェイクスピア『アントニーとクレオパトラ』 白水社 ウィンターソン『灯台守の話』 ハージ『デニーロ・ゲーム』 東京創元社 バラード『殺す』 マキリップ『風の竪琴弾き(イルスの竪琴3)』 河出書房新社 クライスト『チリの地震』 松籟社 コシンスキ『ペインティッド・バード』 光文社 T.マン『詐欺師フェーリクス・クルルの告白(上)』

    8月刊行予定の海外文学新刊チェックリスト - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう
    florentine
    florentine 2011/08/01
    「<東欧の想像力>シリーズ第七巻来るよ! この先もぜひ長く続けてもらわねば」激しくハゲシク同意!!
  • ウンベルト・エーコ『バウドリーノ』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    バウドリーノ(上) 作者: ウンベルト・エーコ,Umberto Eco,堤康徳出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/11/11メディア: ハードカバー購入: 6人 クリック: 103回この商品を含むブログ (43件) を見るバウドリーノ(下) 作者: ウンベルト・エーコ,Umberto Eco,堤康徳出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/11/11メディア: ハードカバー購入: 6人 クリック: 20回この商品を含むブログ (31件) を見る 「でもそれは、幻覚を望むことと同じだ」 「でもぼくは、その願望を二度と失いたくなかった。それは、人生を捧げる価値のあるものだったから」(上巻、123ページ) 天性の嘘つきバウドリーノが、ビザンツの史学者ニケタスにその半生を語る。ふとしたことからフリードリヒ赤髯王の養子となったバウドリーノは、パリで学んでは余計な知識と友人を得、皇帝

    ウンベルト・エーコ『バウドリーノ』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう
    florentine
    florentine 2011/03/30
    「間テクスト性」の点においてもエンタメ志向で純粋に読む愉悦にひたれる名作だと思う。なにしろ故郷(アレッサンドリア)の話でもある。けどわたしは『フーコーの振り子』がいちばん好き(前日島よんでないっ汗)。
  • G.K.チェスタトン『四人の申し分なき重罪人』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    四人の申し分なき重罪人 (ちくま文庫) 作者: G.K.チェスタトン,西崎憲出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2010/12/10メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 37回この商品を含むブログ (22件) を見る しかし、わたしは言う。庭にはつねに禁断の樹を植えるべきだと。生活のなかに、つねに手を触れてはいけないものを持つべきだということを。それが永遠に若く幸福である秘訣だ。(179ページ) 新聞記者ピニオン氏は、放埓な行状で知られるマリラック伯爵のスキャンダルを追ううちに、伯爵の友人である四人の男と出会う。マリラックと四人の男は『誤解された男のクラブ』を結成していた。四人はかつて誤解を受けた自らの行為について語る。 ……というプロローグと、「穏和な殺人者」「頼もしい藪医者」「不注意な泥棒」「忠義な反逆者」の四つの中篇からなる作品集。 どの話も「誤解された男」たちが為した犯罪と、

    G.K.チェスタトン『四人の申し分なき重罪人』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう
    florentine
    florentine 2011/02/02
    近いうち読む~☆
  • 海外文学初心者向け岩波文庫まとめ - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    http://blog.livedoor.jp/goldennews/archives/51586752.html このまとめを見ていて、岩波文庫へのイメージが古いまんまな人が多いように感じたので、90年代以降に出た、比較的とっつきやすそうな岩波文庫を羅列してみる。赤帯オンリー。 というかこういうスレが立つこと自体が岩波文庫ファンとしては悲しい。そもそも初心者向けとか言われるリストが70年代くらいから変わってないのが悪い。もっと新しい時代向けの(≠新しい)を見て欲しい。*1 正直このブログを見てる海外文学廃人さんには不要かもしれないと思ったりするけど、書きかけたので書く。 岩波は重版も多いし、この年代のものはそれなりの古屋へ行けば簡単に手に入る場合も多いので、現時点で品切れしてるものも入れておくよ。 聊斎志異〈上〉 (岩波文庫) 作者: 蒲松齢,立間祥介出版社/メーカー: 岩波書店発

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  • ジャン・ジュネ『女中たち/バルコン』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    お久しぶり。書き方忘れてしまったよ。 女中たち バルコン (岩波文庫) 作者: ジャン・ジュネ,渡辺守章出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/12/17メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 45回この商品を含むブログ (18件) を見る そうとも、冗談なんか言ってもらっちゃ困るね。声を立てて笑おうものなら、いいえ、にやっとするだけで、何もかも台無しだよ。薄笑いがあるというのは、疑いがある証拠よ、お客様はね、厳粛な儀式を求めている。(「バルコン」、182ページ) 女中姉妹が夜ごと興じる「奥様と女中」ごっことその末路を描いた「女中たち」、売春宿でコスプレにいそしむ連中が外の革命騒ぎに終焉をもたらす「バルコン」の組み合わせ。どちらも作中人物が何かを演じており、それと作中の実際の事象とが話の展開にしたがって関わってくるという複雑なメタ構造を持っている。 「女中たち」は、屋敷の住み込み

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  • ジャン・パウル『陽気なヴッツ先生』『シュメルツレの大用心』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    ドイツの古典小説を読むのは久しぶり。最近は現代劇ばかり読んでいたからなー。 陽気なヴッツ先生 他一篇 (岩波文庫) 作者: ジャンパウル,Jean Paul,岩田行一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1991/03/18メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 58回この商品を含むブログ (8件) を見る 彼は子供のころすでにいささか子供じみていた。(『陽気なヴッツ先生』、8ページ) この岩波文庫唯一のジャン・パウルのは、田舎の小学教師のささやかな楽しみに満ちた生涯を語る『陽気なヴッツ先生』と、小心者の牧師が心配ごとに満ちた珍道中を語る『シュメルツレの大用心』の中篇二つを収めている。 作風は『トリストラム・シャンディ』+『失われた時を求めて』、といった感じ。プルーストを思い起こさせる、読点読点でえんえんとつなげられた長い文章をもって、スターンふうに脱線を繰り返しながら物語を語っている

    ジャン・パウル『陽気なヴッツ先生』『シュメルツレの大用心』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう
  • トマス・ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    競売ナンバー49の叫び (ちくま文庫) 作者: トマス・ピンチョン,志村正雄出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2010/04/07メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 63回この商品を含むブログ (46件) を見る 「あなた、ズボンの前があいてます」(259ページ) これ、最後から二番目のページにあるセリフである。結末間近の緊迫した場面でこれかよ。 女主人公・エディパは、かつての愛人で大実業家であるピアス・インヴェラリティが、自らの死に際して彼女を遺産管理執行人に任命してきたことを知らされる。ピアスの遺言の意図が分からず、また彼の事業の巨大さを考え途方に暮れるエディパ。とりあえずピアスの拠点であるサン・ナルシソ市へ行って遺産の調査を始めるエディパの前に、アングラな郵便組織「トライステロ」の影がちらつき始める――とあらすじはこんな感じ。 ピンチョンの長編小説の中ではとっつきやすいと評

    トマス・ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう
    florentine
    florentine 2010/05/24
    いま読んでる。照れ屋なのよね、ピンチョンって。
  • トルクァート・タッソ『エルサレム解放』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    タッソ エルサレム解放 (岩波文庫) 作者: トルクァート・タッソ,A.ジュリアーニ,鷲平京子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/04/17メディア: 文庫 クリック: 35回この商品を含むブログ (14件) を見る 三たびにわたり騎士が女に抱きついて締めつける、 あの逞しい両腕で。そしてやはり三たびにわたり 執拗に絡みつくその腕から女は身を振りほどく、 愛してくれる男ではなく荒々しい敵のその腕から。(311ページ) 第一回十字軍を題材とする叙事詩(ただし、内容は史実とは離れている)。低地ロレーヌ公ゴッフレードは十字軍を率いてエルサレム奪還に向かう。しかしコーカサスのアルガンテ、女戦士クロリンダ、ニケーアの王ソリマーノらイスラムの猛将たちの抵抗と、地獄の悪魔たちの妨害により苦戦を強いられる。しかも十字軍の英雄の一人タンクレーディは敵方のクロリンダに恋焦がれてしばしば奇行に走り、

    トルクァート・タッソ『エルサレム解放』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう
    florentine
    florentine 2010/04/28
    「カルヴィーノによるアリオスト『狂えるオルランド』の簡約本もあり、そちらの翻訳も近々刊行されるとのこと。」それは楽しみすぎるv
  • プロスペル・メリメ『シャルル九世年代記』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    シャルル九世年代記 (岩波文庫) 作者: メリメ,石川剛,石川登志夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1988メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る その返事はお前の答じゃないぞ。(70ページ) サン・バルテルミの虐殺を扱った歴史小説。新教の若き貴族ベルナール・メルジーは、新教の大将であるコリニー提督に助力するためパリに上り、パリの風習を見聞し、恋と決闘を体験する。また旧教に改宗した兄のジョルジュと会う。やがてサン・バルテルミの虐殺が勃発、兄と愛人の助けを借りてからくもパリを逃れたメルジーは、ラ・ロシェルの新教軍に加わる。 話がさくさくと進んでいくので退屈はしないけど、歴史ロマンスとしてはかなり物足りない。若く情熱的な弟と冷静で理知的な兄、そして敵味方に分かれる兄弟、という図はいまやメロドラマとしては定番すぎて何の新鮮さもない。何のいわれもなく主人公

    プロスペル・メリメ『シャルル九世年代記』 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう
  • 世界文学オタが非オタの彼女に世界文学世界を軽く紹介するための10作 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう

    アニオタが非オタの彼女にアニメ世界を軽く紹介するための10 便乗。ツッコミどころ満載。 まあ、どのくらいの数の世界文学オタがそういう彼女をゲットできるかは別にして、 「オタではまったくないんだが、しかし自分のオタ趣味を肯定的に黙認してくれて、その上で全く知らない文学の世界とはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持ってる」 ような、ヲタの都合のいい妄想の中に出てきそうな彼女に、世界文学のことを紹介するために見せるべき10を選んでみたいのだけれど。 (要は「脱オタクファッションガイド」の正反対版だな。彼女に世界文学を布教するのではなく相互のコミュニケーションの入口として) あくまで「入口」なので、時間的に過大な負担を伴う5分冊、10分冊の作品は避けたい。 できれば1巻、長くても上中下三巻にとどめたい。 あと、いくら文学的に基礎といっても古びを感じすぎるものは避けたい。 古典好きが『イリアス』は

    世界文学オタが非オタの彼女に世界文学世界を軽く紹介するための10作 - 書物を積む者はやがて人生を積むだろう
    florentine
    florentine 2009/12/16
    面白かったです~! いきなりソコなのも素敵v これから読みます/「彼氏に」で書けるかなって考えたけど、元の文のテンプレを活かすのが自分にはキツイなあ。
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