わたくしは本屋さんで本を買うのが好きである。書物という形状にパッケージングされたそれの放つオーラで本を買う。いわゆるジャケ買い人間である。視覚的に実存状態でないと好きな本のにほひがどうもつかめない。つまりネット買いが出来ない体質であるので昨今は困ることが多い。なんせ島には本屋さんと言っても文具屋さんと一緒になったちびっこなのしかなく、流行本しか置いてない。だから東京にいるときにチェックしておく。 例えば、オルハンパムクの『私の名は紅』とか高行健の『霊山』やピーター・ラストフの『山羊の島の幽霊』はジャケ買いである。当たりだった。今年は本屋さんに行く暇もあまり持てなかったのでじっくり本屋で峻別出来なかったのだが、どうしても気になる本が一つだけあった。それが今回紹介する『ペルディード・ストリート・ステーション』である。 ペルディード・ストリート・ステーション (プラチナ・ファンタジイ) 作者: