菅義偉首相が宣言した温室効果ガス実質ゼロの実現を理由に、前面に出そうなのが原発の推進だ。石炭火力発電の削減という優先課題に対処せず、東京電力福島第一原発事故後、政府が表立って議論してこなかった原発の新増設へ動きだしかねない。 首相が原発に触れたのはわずか15文字だった。それでも、「安全最優先で原子力政策を進める」という表明に、大手電力会社の幹部はわずかな変化を感じ取った。「省エネ、再生エネ、原発の3つを強調した。いよいよ原発の新増設を視野に入れているのでは」と話す。 前の安倍政権は、原発を「脱炭素化の選択肢」という表現にとどめていた。再稼働と小型原子炉など新技術の開発支援を進めてきたが、原発の新増設への言及を避け続けた。しかし菅政権が原発を脱炭素化の「柱」に据えれば、くすぶってきた新増設が現実味を帯びる。
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