タイトルからは何の本かわからない。『静かなる変革者たち』(ペンコム)。副題に「精神障がいのある親に育てられ、成長して支援職に就いた子どもたちの語り」とある。それを見て内容の想像がつく。まさにその通りのことが実例とともに報告されている。 逆境をバネに支援者になる 本書の主たる編著は、横山恵子さんと蔭山正子さん。横山さんは看護師で、埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科・大学院保健医療福祉学研究科教授。蔭山さんは保健師で、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻公衆衛生看護学教室准教授。 この二人のコンビではすでに『精神障がいのある親に育てられた子どもの語り』(明石書店)を出している。18年1月、BOOKウォッチで同書を紹介したところ、長期にわたってランキングのトップを続けた。反響の大きかった本だ。 本書では4人の実例が登場する。精神保健福祉士の坂本拓さん、精神科看護師の林あおいさん、精神科訪問看護