イスラエルに対するアカデミック・ボイコットについて 役重善洋(やくしげ よしひろ 日本中東学会員、京都大学大学院) 50日間にわたったイスラエルのガザ地区に対する大規模攻撃によって、2000人以上の尊い人命の喪失に加え、ガザの人々の生活を支える基本的インフラが徹底的に破壊された。とりわけ、イスラミック大学やUNRWAの学校など、多くの教育・研究機関が壊滅的な被害を受けた。そうした中、イスラエルの大学・研究機関に対するアカデミック・ボイコットの動きが加速している。8月上旬にはロジャー・オーウェン、ラシード・ハーリディ、イラン・パぺ、長沢栄治など、100名以上の中東研究者および司書が連名で対イスラエル・アカデミック・ボイコットを呼びかけた[1]。また、トルコでは128の大学の学長が、虐殺に抗議の声を挙げないイスラエルの大学との関係断絶を宣言する声明に署名した[2]。 本稿では、こうした動き