本書『形式論理学と超越論的論理学』(1928年発表)は中期フッサールの代表作である。1891年に『算術の哲学』でデビューし(これについてはジャック・デリダ『フッサール哲学における発生の問題』みすず書房、で詳しく論じられている)、1900年と翌年に刊行した『論理学研究』第1巻と第2巻は、フロイト『夢判断』ともども、20世紀とともに生まれ、20世紀の学問・思想を方向づける書となり(『論理学研究』第2巻に触発されてデリダは『声と現象』を書きあげた)、1910年代には「現代哲学の原点」といわれる『イデーン』を、晩年の1930年代には『デカルト的省察』および、「ヨーロッパ的学問の危機」を中心に近代の認識論批判と当時の時代状況の中で現象学の在り方を訴えた『諸学の危機と超越論的現象学』を書きあげ、1938年に世を去ったフッサールの学問的歩みと本書の意義については、膨大な未刊の論文ともども、むろんここに書