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ブックマーク / realsound.jp (17)

  • プラモ愛好者が驚愕した『Nintendo Labo』の“説明”ーー「わからないとは言わせない」任天堂の気迫

    『Nintendo Labo』の説明はあまりに「懇切丁寧」過ぎた 4月20日に発売された『Nintendo Labo』。おれも早速買ってひとしきり遊んでみた……と言いたいところなのだが、5月1日現在、「つり」だけを作ってそのままとなっている。理由は、『Nintendo Labo』が怖くなってしまったからだ。 『Nintendo Labo』では、段ボールの板を部品ごとに切り離し、自分で折って加工して部品を作って組み合わせ、Toy-Conというコントローラーを作成する。これに『Nintendo Switch』のJoy-Conを取り付けることでjoy-Con内部のセンサーが動作し、様々な反応を引き出すことができるというものである。 なので、『Nintendo Labo』で遊ぶ際には、まずこのToy-Conを組み立てる必要がある。この組み立て方の説明が怖い。「懇切丁寧」という概念に手足が生えて、棍

    プラモ愛好者が驚愕した『Nintendo Labo』の“説明”ーー「わからないとは言わせない」任天堂の気迫
  • “96年のメタラー”は何を意味する? 『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』のメッセージ

    『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』(17年)はスクール・カーストを題材にした映画だ。ゲームの中に入った高校生が、冒険の中で当の自分と向き合い、他人を尊重することを学んでゆく。既に各所で言われている通り、作は青春映画の古典『ブレックファスト・クラブ』(85年)を下敷きにしている。『ブレック~』は異なるタイプの少年少女らが補習授業を通じて互いを理解し合う話で、『ジュマンジ』はそのアクション・アドベンチャー版だと言えるだろう。 しかし、私は作を観て別の映画を思い出した。ダーレン・アロノフスキー監督、ミッキー・ローク主演の『レスラー』(08年)だ。『レスラー』は落ちぶれたプロレスラーが、病を抱えたまま最期のリングへ立つまでを描いた作品だ。劇中、彼は自身が絶頂期だった80年代のハード・ロック/ヘヴィ・メタルのバンド名を挙げて懐かしむ。「モトリー・クルーにガンズ・アンド・ローゼズ。それ

    “96年のメタラー”は何を意味する? 『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』のメッセージ
  • ライムスター宇多丸は新時代のタモリになる? ラジオ『アトロク』開始を機にその才能を考察

    TBSラジオでは、約11年間続いた『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』(毎週土曜夜10時から2時間の生放送)が3月31日に最終回を迎えた一方、4月2日から同じく宇多丸がパーソナリティである『アフター6ジャンクション』(月~金、夕6時から3時間の生放送)がスタートした。週末の夜から平日夕方へ。しかも、65年も放送してきた野球中継を終了した枠での新番組。これと似た抜擢を過去に探すなら、初期にはマニアックな芸風で夜のイメージが強かったタモリが、昼間のテレビの帯番組『笑っていいとも!』に起用された例に近いだろうか。 『ライムスター宇多丸の映画カウンセリング』 サングラスをかけたどこか怪しい雰囲気で、時にはきわどいふざけかたもする。それでいて関心領域が広く、独自の批評眼を示す。そんな宇多丸のキャラクターは、若い頃のタモリを連想させる部分がある。タモリはジャズ、宇多丸はヒップホップという

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  • 菊地成孔の『シェイプ・オヴ・ウォーター』評:ヴァリネラビリティを反転し、萌えを普遍的な愛に昇華した、見事なまでの「オタクのレコンキスタ」は、本当にそれでいいのか?

    菊地成孔の『シェイプ・オヴ・ウォーター』評:ヴァリネラビリティを反転し、萌えを普遍的な愛に昇華した、見事なまでの「オタクのレコンキスタ」は、当にそれでいいのか? オタクに市民権を!(いつの叫びだ) 特に監督と音楽が際立って素晴らしい作は、ゴールデングローブ(以下GGA)と米国アカデミー(以下AA)の双方に於いて綺麗なまでに監督賞と作曲賞を受賞しているが(両賞が映画における最高権威とは全く思わないが(菊地成孔の『スリー・ビルボード』評:脱ハリウッドとしての劇作。という系譜の最新作 「関係国の人間が描く合衆国」というスタイルは定着するか?)、北米における映画産業内政治、並びに、それでも動かすことができない、政治力を超えた力のあり方を明確に示す、という点に於いて、合衆国観察という点で重要な2トップであることは間違いない)、アレクサンドル・デスプラ(56歳)が、現代の超ミッシェル・ルグラン(8

    菊地成孔の『シェイプ・オヴ・ウォーター』評:ヴァリネラビリティを反転し、萌えを普遍的な愛に昇華した、見事なまでの「オタクのレコンキスタ」は、本当にそれでいいのか?
  • クリストファー・ノーランの到達点『ダンケルク』を観る前に復習しておきたい、00年代以降の「スペクタクル大作」10選

    クリストファー・ノーランの到達点『ダンケルク』を観る前に復習しておきたい、00年代以降の「スペクタクル大作」10選 クリストファー・ノーラン監督の最新作、『ダンケルク』の公開が近づいてきた。第二次世界大戦におけるダンケルクでの攻防と撤退を描いた作は、海外ではノーラン・ファンが過去最高レベルの大賛辞を送っているだけでなく、これまでノーラン作品に対して、主に好き嫌いを理由に煮え切らない評価を下してきた一部の批評家たちをも問答無用にノックアウトした。 出世作『メメント』(2000年)以降、ノーラン作品で最もコンパクトな106分という上映時間で展開される、史実に沿ったエモーショナルなストーリー。銃声や爆撃機のこれまで他の映画で聞いたことがないリアルな音響&音圧。盟友ハンス・ジマーの手がけたネクスト・レベルと言うべき荘厳な劇伴。フィオン・ホワイトヘッド、ワン・ダイレクションのハリー・スタイルズとい

    クリストファー・ノーランの到達点『ダンケルク』を観る前に復習しておきたい、00年代以降の「スペクタクル大作」10選
  • 『ベイビー・ドライバー』E・ライト監督インタビュー 「『ラ・ラ・ランド』と比較されるのはすごく不思議」

    『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』のエドガー・ライト監督最新作『ベイビー・ドライバー』が8月19日より公開されている。作では、子供の頃の交通事故が原因で“耳鳴り”に悩まされ続けている、天才的なドライビング・センスを持つ組織の運転手ベイビーが、恋人デボラのため、自ら決めた“最後の仕事”に挑む模様が描かれていく。リアルサウンド映画部では、メガホンを取ったエドガー・ライト監督にインタビューを行い、象徴的に使われるiPodや出演しているミュージシャンなど音楽的な話を中心に話を訊いた。 「10年前にこの作品を作る自信が僕にあったとは思えない」 ーー早速映画とは関係ない話になってしまいますが、週末(※取材日は8月1日)はフジロックでCorneliusやLCD Soundsystemのライブを楽しんでいる様子を自身のTwitterにアップしていましたね。 エド

    『ベイビー・ドライバー』E・ライト監督インタビュー 「『ラ・ラ・ランド』と比較されるのはすごく不思議」
  • 怪獣映画はここまで“進化”したーー真正面から“戦い”を描く『キングコング:髑髏島の巨神』の革新性

    巨大な怪獣たちがうじゃうじゃと生息しバトルを繰り広げる、世にもおそろしい島が南洋にあった。『キングコング:髑髏島の巨神』は、1933年の伝説的怪獣映画『キング・コング』を基に、超巨大な猿が神として崇められる、恐怖の孤島に降り立ってしまった人間たちの決死の脱出を描く怪獣映画である。 作を鑑賞しながら、そういえば私が幼少期、怪獣映画を大好きだったものの、唯一、気に入らないことがあったのを思い出した。怪獣と直接関係のない、恋愛や家族愛などの人間ドラマや主題歌を長々と歌い上げるなどの部分である。もちろん、そこには作り手の哲学や製作上の都合なども含まれていることを、大人になった今なら理解できるのだが、そういうことは子どもには関係ない。とにかく怪獣が暴れる光景以外のものは必要なかったのだ。『キングコング:髑髏島の巨神』は、そんな怪獣が暴れまくるシーンばかりで構成されている、まさに当時の夢を叶えてくれ

    怪獣映画はここまで“進化”したーー真正面から“戦い”を描く『キングコング:髑髏島の巨神』の革新性
  • 『けものフレンズ』はなぜアニメファンの心を掴むことができたのか?

    映画には、かつてプログラムピクチャーと呼ばれる上映番組ブッキングのシステムがあった。メインの大作・話題作興行に対して、二立て興行の空いた枠を埋めるために量産される低予算作品のことを指す。そのプログラムピクチャー下では多くの人気シリーズが生まれ、各映画会社の事業を支えていた。 プログラムピクチャーは質よりも量という側面があり、そのクオリティはピンキリであった。しかし中には、邦画史に残るような傑作も生まれた。 そうしたノウハウは後にビデオ作品のVシネに引き継がれ、さらに低予算化していったが、今度は黒沢清や三池崇史などの監督たちが、個性あふれる作品を作り上げていった。 プログラムピクチャーもVシネも、玉石混交の中から意外な傑作に出会うという面白みがあったが、プログラムピクチャーは消滅し、Vシネも下火になってしまった。 現在、量産の玉石混交から、予想だにしなかったユニークな作品に出会うことが

    『けものフレンズ』はなぜアニメファンの心を掴むことができたのか?
  • 横山克が語る、『ガンダム 鉄血のオルフェンズ』劇伴の音楽的実験と仕掛け 

    4月2日に最終回を迎えるアニメ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』(TBS系)。そのサウンドトラック『TVアニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」Original Sound Tracks II』が3月29日にリリースされた。劇伴を手がける横山克は、ももいろクローバーZやイヤホンズへの楽曲提供者としての活躍や、昨年だけでも映画『ちはやふる』やドラマ『砂の塔〜知りすぎた隣人〜』(TBS系)、『クローズアップ現代+』(NHK)、アニメ『ブブキ・ブランキ』(TOKYO MX)など、数多くの作品に引っ張りだこの人気音楽作家だ。今回リアルサウンドでは、横山が『鉄血のオルフェンズ』劇伴に込めた音楽的実験、ハリウッドと日の劇伴の違いなどについてインタビュー。マリアッチ、バルカンブラス、ストンプといった様々なジャンルの音楽や、Snarky PuppyにNew York Gypsy All St

    横山克が語る、『ガンダム 鉄血のオルフェンズ』劇伴の音楽的実験と仕掛け 
  • 『この世界の片隅に』と『マイマイ新子』に共通する“狂気”の正体ーー片渕監督の特異な手法に迫る

    観客の口コミやSNSでの拡散によって、異例のロングランを成し遂げ、ヒットを続けている『この世界の片隅に』。この作品によって、アニメーション界のみならず、日映画の表舞台に一気に躍り出たのが、片渕須直監督だ。まだまだ勢いが続く「片隅」旋風を受け、監督の前作『マイマイ新子と千年の魔法』が全国各地で再上映されるという事態まで起こっている。というのも、この作品は『この世界の片隅に』との共通点が多く、特異な演出スタイルを完成させたという意味でも、ファン必見の作品になっているからだ。「片隅」の成功は、すでにここで予告されていたといっていいかもしれない。今回は、その『マイマイ新子と千年の魔法』を中心に、片渕須直監督の作品づくりを考察しながら、その狂気を帯びた「すごさ」の秘密を明らかにしていきたい。 片渕須直監督の「作家力」と「アレンジ力」 片渕須直は、20歳を超えて間もない頃、TVアニメ『名探偵ホームズ

    『この世界の片隅に』と『マイマイ新子』に共通する“狂気”の正体ーー片渕監督の特異な手法に迫る
  • 『この世界の片隅に』ドイツでの反応は? “KAWAII”を超えた日本アニメへの関心

    ドイツ西部の都市ケルンで1月28日(現地時間)、『この世界の片隅に』(英題: IN THIS CORNER OF THE WORLD)が映画祭「AKIBA PASS FESTIVAL」のプログラムのひとつとして上映された。『この世界の片隅に』のドイツ国内上映は同映画祭が初めての機会。さらに、昨年11月に海外配給が決定してから世界に先駆けた日国外上映となる。ドイツの観客はどのように観たのか、また上映作品として選ばれた理由を探りに現地を訪れた。 『君の名は。』にはないストーリーテリング AKIBA PASS FESTIVALは、日のアニメを専門としたドイツ語圏(ドイツ、オーストリア、スイス)向けのウェブサイト「AKIBA PASS」を運営する「peppermint anime」(ペパーミント・アニメ)が主催。『この世界の片隅に』は日のアニメ15作品と共に、1月21日のドイツ・ハンブルクを

    『この世界の片隅に』ドイツでの反応は? “KAWAII”を超えた日本アニメへの関心
  • 電気グルーヴが語る、楽曲制作の流儀「悲しみや怒りを無理やり同意させるのはカッコ悪い」

    3月1日、電気グルーヴがニューアルバム『TROPICAL LOVE』をリリースする。同作は、4年ぶりのオリジナルアルバムで、ゲストに夏木マリ、KenKen(RIZE、 Dragon Ash,、LIFE IS GROOVE)、トミタ栞らが参加した。 今回の制作にあたり、石野卓球とピエール瀧は3日間の合宿を行い、歌録り以外のほとんどを、Mac音楽制作ソフトGarageBandで作っていったという。そうして完成した『TROPICAL LOVE』は、電気グルーヴの“最高傑作”であると、以下のインタビューの中で石野卓球は語っている。2015年年末から2016年にかけて公開され、ファン以外からも大きな反響のあったドキュメンタリー映画『DENKI GROOVE THE MOVIE? 〜石野卓球とピエール瀧〜』を経た、今の電気グルーヴのモードとは。ふたりに話を訊いた。(編集部) 「間違いなく最高傑作だと

    電気グルーヴが語る、楽曲制作の流儀「悲しみや怒りを無理やり同意させるのはカッコ悪い」
  • 『シン・ゴジラ』脚本から見えた“もう一つの物語” 『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』徹底考察

    第90回『キネマ旬報』ベストテンが1月10日に発表された。2016年の日映画ベストワンには『この世界の片隅に』(16年)が選出され、監督賞には同作を監督した片渕須直が選ばれた。ベスト2位に選出された『シン・ゴジラ』(16年)の庵野秀明監督は脚賞を受賞。片淵監督は『魔女の宅急便』(89年)で演出補を務め、庵野監督は『風の谷のナウシカ』(84年)の原画担当からプロとしてのキャリアをスタートさせたことで知られているが、奇しくも宮﨑駿と縁深い監督たちが、監督賞・脚賞を受賞したことになる。 さて、脚賞を受賞した『シン・ゴジラ』だが、昨年末に発売された製作資料集『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』(株式会社カラー)に脚が収録されたことで、活字で目にすることができるようになった。しかも、この大冊には関連の図版、関係者インタビューはもとより、複数の初期プロットから、準備稿、決定稿、完成した映画から

    『シン・ゴジラ』脚本から見えた“もう一つの物語” 『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』徹底考察
  • 東京国際映画祭ディレクターが語る、日本映画界の課題「多様性が失われているのでは」

    スペースシャワーTVの高根順次プロデューサーによる連載「映画業界のキーマン直撃!!」第10回は、東京国際映画祭(以下、TIFF)にて作品選定ディレクターを務める矢田部吉彦氏にインタビュー。TIFFの社会的な役割から、日映画界が抱える問題点や、昨今のアニメ映画の流行についてまで、忌憚のない意見を語ってもらった。(編集部) 「日らしい文化が映り込んでいることが期待されてしまう」 ーー矢田部さんは元銀行員なんですよね? どんな経緯で東京国際映画祭(以下、TIFF)のプログラミングを? 矢田部:映画仕事がしたいと思い始めたのは、銀行の社内留学制度を利用してイギリスのロンドン郊外にある大学に留学したのがきっかけです。大学キャンパス敷地内の映画館は良いプログラムが組まれていて、とても面白かったんですけれど、ほとんどの作品は日未公開だということに改めて気付いてしまったんです。そこで、もし海外

    東京国際映画祭ディレクターが語る、日本映画界の課題「多様性が失われているのでは」
  • 宮台真司の『シン・ゴジラ』評:同映画に勇気づけられる左右の愚昧さと、「破壊の享楽」の不完全性

    「行政官僚制の日常」と「破壊の享楽」 『シン・ゴジラ』(7月29日公開/庵野秀明監督)は想像外に興味深い映画でした。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(2012年)以降の庵野秀明監督の不発ぶりに加え、特撮監督が『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(2015年)で味噌をつけた樋口真嗣氏なのもあって、期待水準を高く設定していなかったこともあるかもしれませんが、間違いなくエキサイティングでした。 作は従来のシリーズと違って、ゴジラに主題的な重心がなく、かと言ってヒーローに焦点が当たる訳でもない。敢えて言えば「日の行政官僚制」が主人公で、そのパフォーマンスに焦点が当たります。その話は後で題にするとして、僕がこの作品を見る前に、どこに注目しようと思っていたのかについて話しましょう。キーワードは「破壊の享楽」になります。 この夏休み、僕の3人の子供たちは、AppleTVで利用できる定額制

    宮台真司の『シン・ゴジラ』評:同映画に勇気づけられる左右の愚昧さと、「破壊の享楽」の不完全性
  • 松江哲明の『シン・ゴジラ』評:90年代末の“世界認識がグラグラする”映画を思い出した

    『シン・ゴジラ』を観て、まず最初に、僕が90年代末に感じていた“日映画の面白さ”を思い出しました。たとえば、押井守監督の『パトレイバー』や金子修介監督の『平成ガメラ』シリーズ、あるいは三池崇史監督の『DEAD OR ALIVE 犯罪者』とか『漂流街』などがそうだったんですけれど、誰かにおもねることなく、作り手が面白いと思うものを打ち出している感じがしたんですね。80年代は“洋画の時代”で、言ってみれば日映画は若者にとってダサいものだった。人情話や動物モノが多くて、僕も全然かっこいいとは思わなかったんです。でも、90年代に入ると、様々な制約がある中でもすごく面白いものを作る人達が出てきた。観客に媚びることなく、センスで観せる監督が出てきたんです。正直、観客を呼べていたかというと、そうではなかったんだけど。ただ、ここから新しい日映画が生まれるんじゃないか、という機運はあったんです。 とこ

    松江哲明の『シン・ゴジラ』評:90年代末の“世界認識がグラグラする”映画を思い出した
  • 初代ゴジラの“呪縛”から逃れた『シン・ゴジラ』 モルモット吉田が評する実写監督としての庵野秀明

    公開3週目を迎えても『シン・ゴジラ』の勢いは依然、衰えを見せない。IMAX、MX4D、通常上映と、毎回環境を変えて観ていたが、この原稿を理由にまた劇場に足を向けてしまった。高圧縮の情報量、現実の反映、オマージュ、トリヴィア、語られないまま終わった謎への解釈など、まるで20年前の『新世紀エヴァンゲリオン』テレビシリーズ放送終了後から翌年の劇場版公開にかけての熱狂が再現されているようだ−−と言っては言いすぎだろうか。いずれにせよ、繰り返し観ることで細部を語る魅力が増す作品であることは間違いあるまい。 マイナスをプラスにさせる庵野秀明のアレンジ ここでは、〈庵野秀明にとってのゴジラ〉から話を始めてみたい。というのも、特撮好きなエヴァの監督というイメージから誤解されがちだが、これまで庵野はウルトラマンほどの熱狂をゴジラには見せていなかったからだ。『シン・ゴジラ』の原点となる第1作の『ゴジラ』(54

    初代ゴジラの“呪縛”から逃れた『シン・ゴジラ』 モルモット吉田が評する実写監督としての庵野秀明
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