クリス・ミラーは米タフツ大学の国際歴史学准教授。『半導体戦争 世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防』(ダイヤモンド社)の著者としても知られる。 台湾GDPの10%を一社が占める ──マイクロチップはなぜ、地政学的問題になったのですか。 スマートフォンやパソコン、データセンターなどのプロセッサで使用されている最先端チップは、90%が台湾製です。世界で年々増加しているコンピュータ処理能力も、3分の1以上が台湾によるものです。 全世界で使われている技術という点で、台湾の重要性はまさにずば抜けています。台湾がこれほどの地位を獲得するうえで大きく貢献したのが、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー (TSMC)という一企業です。1987年に創業されて以来、その成長はとどまるところを知りません。半導体チップメーカーとしては、世界最先端で世界最大でもあります。 ──TSMCが他の