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哲学に関するfutenrojinのブックマーク (56)

  • #90 あなたが真剣に恋愛をしたことがないのは、対人関係を避けてきたからです | 岸見一郎 25歳からの哲学入門

    【今回のお悩み】 「今まで一度も誰かと真剣な付き合いをしたことがありません。パートナーがほしいです」 これといった“欠点”はないはずなのに、なぜか自分にだけなかなか恋人ができない。一体何がいけないの? 哲学者の岸見一郎先生に聞いてみました。 「あとはお嫁さんだけ」といっていた人を知っています。今なお封建的な言葉を使う人がいることに驚きましたが、それはおいておくとしても、ほかの「もの」はすべて持っているのに、だけを「持っていない」といっているように私には聞こえました。 「結婚を考えている人がいるのだろうね」 「いや、そんな人はいない」 これまで誰とも一度も真剣に付き合ったことがないというのです。誰とも付き合わないで、いきなり結婚することは普通ないと思うのですが、今すぐにでも結婚できると自信満々であることに私は驚かないわけにいきませんでした。 外的な条件が整っていれば結婚できると考えていたの

    #90 あなたが真剣に恋愛をしたことがないのは、対人関係を避けてきたからです | 岸見一郎 25歳からの哲学入門
  • 「家族や恋人より友人中心の人生を送ろう」と呼びかけるフランス人哲学者 | “友情推し”マニフェストの新刊で激論

    家族や恋愛よりも親密な友情を中心に生活を築くことは、楽しく、また必要な反逆行為であり、諸国の政府は社会のあり方を根的に考え直すために「友情省」を設置すべきだと、フランスのある有力な哲学者が論じている。 哲学者のジョフロワ・ド・ラガヌリは、友情推進マニフェストともいえる新刊『3──外の世界への思い』(未邦訳)のなかで、作家のディディエ・エリボンとエドゥアール・ルイとの親密な友情について詳しく記している。 この3人は夕を共にし、一日に何度もしゃべり、毎日おやすみとおはようを言い合い、予定を互いに合わせ、会って長話しする友情の時を確実に優先しているのだ。この友情はそれぞれの生活の中心であり、「果てしなく長い話し合い」なのだとド・ラガヌリは表現する。 ド・ラガヌリはこの友情を、よき友情に投資することのラディカルな青写真のようなものとして提示し、家族構成や恋愛関係を優先すべきとする社会の「権威主

    「家族や恋人より友人中心の人生を送ろう」と呼びかけるフランス人哲学者 | “友情推し”マニフェストの新刊で激論
  • フレデリック・グロ「『戦争とは何か』をいま敢えて問うことで見えてくるもの」 | プーチンの心理的動機と、講和の可能性

    ロシアウクライナ侵攻により、突如として私たちの目の前にリアルな姿で立ち現れてきた「戦争」。しかし、その哲学的な定義や、人類史における意味が深く考察される機会は少ない。そして、「なぜ人間は戦争をするのか」という根的な問いも──。 21世紀のいま、それを改めて考える哲学者、フレデリック・グロに、仏「ル・ポワン」誌がインタビューした。 なぜ戦争をするのか?──。 まるで子供の質問のようだが、そんな書名のがフランスで出版された。もっとも著者のフレデリック・グロ(55)に言わせるなら、哲学とは、子供の質問のような問いに大真面目に取り組み、合理的に考えていくことが多いのだという。 平和の時代に人はなぜ平和なのかと問わない。では、なぜ人は「なぜ戦争をするのか?」と問うのか。グロは162ページのこの著書で、人間の闇の部分を含むこの謎に取り組んでいる。その筆致は濃密かつ明快。かのレイモン・アロンの大著

    フレデリック・グロ「『戦争とは何か』をいま敢えて問うことで見えてくるもの」 | プーチンの心理的動機と、講和の可能性
  • 偉大な哲学者たちの言葉に学ぶ「より良い人生を送るための10ヵ条」 | 歴史に名を残す賢人らが語る「知性的な徳」の身につけ方

    人間と他の動物の大きな違いは、複雑で抽象的な問題について考える能力にある。この並外れた能力によって、人間は多様な文化を育み、科学を発展させ、未来を想像し、そして(願わくは)過去よりも良い未来を作り上げてきた。 しかし、人間の不完全な心は恐ろしい過ちや危険なイデオロギーも生み出した。悪い考えと良い考えを区別する方法を知らなければ、私たちは信じるべきではないことを信じ、自分にも他者にも、果ては地球にも害を及ぼす行動をとってしまう可能性がある。 考えることの専門家といえば、もちろん哲学者だ。哲学は、誤った考えを避け、演繹的推論と帰納的推論、破綻した議論と正しい議論を区別するための形式的な方法だと考えられることが多い。 こうした役割が重要であることは確かだが、哲学は単なる技法と捉えるべきではない。「よく考える」ためには適切な態度を身につけ、効果的な習慣を育てる心構えが必要だ。そのような「知性的な徳

    偉大な哲学者たちの言葉に学ぶ「より良い人生を送るための10ヵ条」 | 歴史に名を残す賢人らが語る「知性的な徳」の身につけ方
  • ブルーノ・ラトゥール「人間のあり方が根本的に変わらなければ、現在の危機は解決できない」 | 「近代」を相対化し続けてきた思想家の「遺言」

    ブルーノ・ラトゥールの知識人としての人生には3つの面があった。まず、「科学」というものの新たな理解を展開した経験論的社会学者であった。そして、人類の根源的な問いを考え続けた哲学者でもあった。さらに近年は、「新気候体制」という概念を打ち出して気候変動を哲学的に理解しようと試み、知性で世界を救わんとしていた。 ワイン生産者の家に生まれたラトゥールは、大学で哲学と人類学を学んだ。そしてアフリカで、民族学的な研究を始めた。その経験から、彼のなかで革命的な発想が生まれる。この民族学的手法を、西洋社会の最も近代的な環境に適用できないだろうか? と考えたのだ。ラトゥールはカリフォルニアに渡り、科学的知識が生まれる過程について研究した『ラボラトリー・ライフ 科学的事実の構築』を、社会学者のスティーヴ・ウールガーと著した。 彼の提唱した「アクターネットワーク理論」の中心となるテーゼは、以下のようなものだ。

    ブルーノ・ラトゥール「人間のあり方が根本的に変わらなければ、現在の危機は解決できない」 | 「近代」を相対化し続けてきた思想家の「遺言」
  • フランス人哲学者アレクサンドル・ラクロワが説く「完璧なセックスに到達する方法」 | 愛を交わすときは哲学的にクリエイティブに

    「セックスをするのは自転車に乗るようなものだ」といわれるが、むしろ実際は運転免許を取るのに似ている。誰もがすぐ実践に飛びつきたがり、運が良ければ残りの人生ずっとそれをし続けるだろう。その一方で、理論的な部分にはたいして注意を払わないのだ。 フランスの哲学者アレクサンドル・ラクロワ(47)は、これを大きな間違いだと考えている。彼は、こうした問題を解決すべく『愛を交わすことを学ぶ』(未邦訳)を発表した。書はセックスをめぐるエッセイで、「完璧なセックス」に到達するための手がかりを示している。ラクロワは古典などから知識を取り入れ、彼自身が「フロイトポルノ」と呼ぶものにセックスが染まっている現代に、そうした教えをもたらそうとしている。 フロイトポルノとは、精神分析の父が確立し、ポルノ産業が強化した、単調で頑なな台(前戯、挿入、オーガズム)のことだ。これは、主にヘテロセクシュアルの恋人たちが無意識

    フランス人哲学者アレクサンドル・ラクロワが説く「完璧なセックスに到達する方法」 | 愛を交わすときは哲学的にクリエイティブに
  • 世界が一丸となるには、国家で分かれず「世界政府」を作るべきなのか? | 哲学者が語る「世界国家は破滅のはじまり」

    ブラジルの哲学者で政治活動家のロベルト・マンガベイラ・アンガー教授が、新著『世界政府なしで世界を統治する』(未邦訳)を上梓した。混迷を極めるこの時代に世界がひとつになるには、どうすれば良いのだろうか。米メディア「ノエマ」がインタビューした。 「ひとつにまとまる」ことは災難のはじまり ──近著のなかで、あなたは「グローバリズム」(国家という枠組みを超えた政府の実現を信じること)に頼らず、いかに世界的な公共財を生産すべきかを論じていますね。 主権国家の存在が国内政治や国際関係の基盤であることは明らかです。しかしこの「国家主権」によってグローバルな協力関係が妨げられ、さらには(環境破壊などによる)地球の居住可能性が脅かされていることもまた、否定できません。 こうしたさまざまな要素のせめぎ合いを前に、私たちはどうするべきでしょうか? アンガー グローバル・ガバナンス(世界に影響を与える問題を解決す

    世界が一丸となるには、国家で分かれず「世界政府」を作るべきなのか? | 哲学者が語る「世界国家は破滅のはじまり」
    futenrojin
    futenrojin 2023/02/16
    この哲学者の方は、たしかルーラ政権に近いということだったと思う。
  • #02 「働く意味」を考えることで、あなたの毎日は幸せになる | 岸見一郎 25歳からの哲学入門

    アフター5に全力を注ぎ込み、次の週末の予定に頭を巡らせながら1週間をやり過ごす。それでも楽しい休みは一瞬で過ぎ去り、日曜日の夜からだんだん憂になってくる……。 そうやって日々を過ごすこともできるけど、それではあまりにもつらすぎる。この負のサイクルから抜け出すためには、いったいどうしたらいいのか。岸見一郎先生に聞いてみました。 今回は次の相談を取り上げながら、さらに働くことについて考えてみましょう。 「仕事が嫌すぎて、終業後と週末だけが生きがいです。転職するほどのスキルも勇気もありません。これからどうすればよいのでしょうか」 選択肢は三つ この人が何ができるかを考えてみましょう。相談者はこれからどうすればよいのかとたずねているので、現状に満足しているわけではないことはわかります。選択肢は三つです。 一つは、現状に不満なのであれば、転職することです。「転職するほどのスキルも勇気もありません」

    #02 「働く意味」を考えることで、あなたの毎日は幸せになる | 岸見一郎 25歳からの哲学入門
  • 哲学者ホセ・アントニオ・マリーナ「人々が『自身の幸福』の内に閉じ込められていくことは惨事だ」 | 私たちは知的に再武装しなければならない

    行動は、欲望、情熱、恐怖、つまり情動によって引き起こされます。明確な欲望に動かされて決断を下す人物たちがいて、彼らが他者を巻き込むと、集合的な欲望が形成されます。それが歴史を変える要因となるのです。 たとえばロシアのプーチン大統領は、欲望に衝き動かされてウクライナ侵攻を決断しました。権力を行使したいという欲望、自分の金とロシアの偉大さを守りたいという欲望、西側に復讐したいという欲望──何でもいいですが、とにかくそれは「欲望」であり、論拠はそのあとに生まれます。 プーチンは演説のなかで、戦争を正当化するために西側に対する恐怖と、ロシアの偉大さを取り戻す必要性、そして彼が望む徴兵の必要性をロシア国民のうちに目覚めさせようとしました。論拠だけで人々を徴兵することはできません。論拠が欲望と結びつく必要があるのです。権力は、最大の欲望の一つです。そしていかなる権力も、国民が服従しなければなりません。

    哲学者ホセ・アントニオ・マリーナ「人々が『自身の幸福』の内に閉じ込められていくことは惨事だ」 | 私たちは知的に再武装しなければならない
  • #93「死」を意識するから、今日という日を丁寧に生きられるのです | 岸見一郎 25歳からの哲学入門

    【今回のお悩み】 「平穏な日々を過ごすことができて満足しています。でも、この幸せがいつまで続くのかと思うと怖いです」 幸せだからこそ、その幸福を失いたくなくてふと不安になることはないでしょうか? 同じ状態が永遠に続くわけではないとわかっているから、怖くなる。けれど、哲学者の岸見一郎先生はそれを恐れる必要はないといいます。 今平穏な日々を過ごせるのは何よりです。そのことに満足できているのであれば、この幸せがいつまで続くのかを考えて恐れる必要はありません。なぜ恐れる必要がないのか考えてみましょう。 ローマ皇帝のマルクス・アウレリウスは、子どもとの死別を何度も経験しました。 14人の子どもの多くは夭折し、成人したのは娘5人と息子一人だけでした。そこで、アウレリウスはこんなことをいっています。 「『子どもを失うことがありませんように』という人がいる。お前はいう。『失うことを恐れないように』」(『自

    #93「死」を意識するから、今日という日を丁寧に生きられるのです | 岸見一郎 25歳からの哲学入門
  • 哲学者マーサ・ヌスバウムが説く「恐怖は必ずしも悪いものではない」 | 問題は、政治の背後に「どのような感情があるか」

    世界有数の影響力ある哲学研究者となる以前、マーサ・ヌスバウムは俳優であった。ギリシャ悲劇の上演に特化した、ある劇団の一員だったのだ。 その経験は、彼女が「公的な知識人」という役割を演じるうえで間違いなく助けとなってきた。「哲学者には、大衆に語りかけ、大衆の関心に貢献する責任があります。そして私は、教壇に立つのと同じぐらい文章を書く才能があるので、その役割にふさわしいのです」。彼女は謙虚さを装うことなくそう認める。 ヌスバウムは、哲学的観点から多岐にわたるテーマを分析してきた。道徳心理学、政治、経済、フェミニズム、文学と哲学の関係──数多の賞に加えて、65の大学から名誉学位を受けるという栄誉にもあずかっている。また、ヌスバウムはこれまでに500を超える論文と27冊の著書を発表してきた。さらに2023年1月には28冊目となる『動物のための正義──私たちの連帯責任』(未邦訳)を刊行予定だ。 ス

    哲学者マーサ・ヌスバウムが説く「恐怖は必ずしも悪いものではない」 | 問題は、政治の背後に「どのような感情があるか」
  • #91「そこそこ」好きなのであれば、その人を「本当に」好きになるのはそれほど難しくありません | 岸見一郎 25歳からの哲学入門

    【今回のお悩み】 「そこまで自分が夢中になっていない相手でも、好きになろうと『決心』すれば当に好きになれるのでしょうか?」 人を好きになるのも、嫌いになるのも、自分が決めていることだと岸見一郎先生は常々説いています。それでは「なんとなくいいかも」と思っている人でも、自分が心を決めさえすれば気で好きになることができるのでしょうか? 岸見先生に聞いてみました。 誰かを好きになる、あるいは嫌いになるときにはまず決心があって、そのあとその決心を後押しする理由を作り出す。これが原則です。 誰かステキな人に出会ってたちまち恋に落ちると思っている、あるいは、そんな恋愛に憧れているという人にとって、好きになろうと「決心」するのだといわれてもどういうことか少しもわからないでしょう。 なぜ恋愛が決心から始まるといえるのか。相手を好きになった理由が嫌いになった途端に、その人が嫌いな理由になるからです。たとえ

    #91「そこそこ」好きなのであれば、その人を「本当に」好きになるのはそれほど難しくありません | 岸見一郎 25歳からの哲学入門
  • ウィリアム・マッカスキル「ビーガンになるより寄付するほうが気候変動には有効だ」 | 若き哲学者が提唱する「効果的な利他主義」の威力

    若き哲学者が提唱する「効果的な利他主義」の威力 ウィリアム・マッカスキル「ビーガンになるより寄付するほうが気候変動には有効だ」 ウィリアム・マッカスキル。1987年、イギリス生まれ。オックスフォード大学の哲学准教授で、科学的なデータに基づいた効率のよい寄付・慈善活動を進める効果的な利他主義の提唱者でもある Photo: SamDeere / Wikimedia Commons

    ウィリアム・マッカスキル「ビーガンになるより寄付するほうが気候変動には有効だ」 | 若き哲学者が提唱する「効果的な利他主義」の威力
  • イーロン・マスクも魅了、気鋭の哲学者が語る「効果的な利他主義」の未来 | ウィリアム・マッカスキル「この暗い世界の先にあるもの」

    戦争で世界が破滅する可能性は、正確にはどれくらいあるのか──そんな計算をしながら、米マンハッタンのミッドタウン地区で哲学者と昼をとる姿は通常なら奇異に映るだろう。 だが、いまは平時ではない。ロシア国営テレビに出演した論客は、イギリスが核攻撃を受ける可能性があると平然と言った。ウクライナ南部ザポリージャ原子力発電所の周辺では戦闘が勃発し、中国台湾近辺で大規模な軍事演習をおこなった。 今日のランチの相手であるウィリアム・マッカスキルは、普通の学者の枠には収まらない。グラスゴー出身ですきっ歯の彼は、7年前に28歳という若さでオックスフォード大学哲学科の准教授になった。いまは著名な知識人であり、イーロン・マスクなど、シリコンバレーの巨人たちも彼への支持を表明する。 「効果的な利他主義」についてTEDで講演するウィリアム・マッカスキル。1987年、イギリス生まれ。オックスフォード大学の哲学准教

    イーロン・マスクも魅了、気鋭の哲学者が語る「効果的な利他主義」の未来 | ウィリアム・マッカスキル「この暗い世界の先にあるもの」
  • 壮大な景色に感動するほど、人はより「善良な人間」になる | 感動体験が心身の健康に及ぼす影響

    壮大な自然や音楽を前にして圧倒され、鳥肌が立つような気持ちになること。自分の存在がちっぽけなものに思えて感動すること──そうした経験を「オウ(Awe/畏怖の念)体験」と呼ぶ。 この「オウ体験」は、ただ人の心を揺さぶるだけではない。なんと性格にも影響することが研究で明らかになっているという。 人は小さなものにも「畏敬の念」を覚える 数年前、私は一人でランサローテ島に出かけてウォーキングを楽しんだ。初日に海岸沿いの坂道を歩いていて出くわした光景は、いまだに夢に見る。 巨大な黄土色の山々が空を貫いていた。黒砂のクレーターと不気味な緑色のラグーンが点在するさまは、まるで火星のよう。思わず鳥肌が立った。つかのま、私は心地よいほどちっぽけな存在になっていたのだ。休暇のあいだ、一週間毎日「オウ(Awe/畏怖の念)散歩」に出かけ、意図的に周囲に注意を向けて、未知のディテールに驚嘆するに身を任せた。 この数

    壮大な景色に感動するほど、人はより「善良な人間」になる | 感動体験が心身の健康に及ぼす影響
  • 三島由紀夫の『太陽と鉄』を読んで「身体の言語」を学んだ | 鍛えることで「自分が身体の主」になる

    「疑わしげな横目で自らの行動を眺めつつ、彼は自分の身体と少し距離をとって生きていた」 孤独な日常生活に浸る人物、ダフィについて、作家のジェイムズ・ジョイスはこのように描写している。ダフィとは、アイルランドの中流階級を描いた『ダブリン市民』に収録された短編集に登場する人物だ。彼は思想をともに育む仲間を切望する人物として描かれている。 このダフィは多くの点において、博士課程の最終年を過ごしていた私とそっくりだ。論文を書いていたあの頃、もっと健康に気を使わないと体を壊すと周囲に言われたことも思い出す。執筆を始めてから約3ヵ月後、どれだけ長時間、自分が座って(そしてタバコを吸って)いるかにはたと気づくまで、ほとんどの忠告を無視したものだ。 論文を執筆するという作業にあたって注目されないことの一つは、筆者が着席している膨大な時間だろう。執筆を始めたばかりの数週間は、カフェや図書館の中のどこで、どのよ

    三島由紀夫の『太陽と鉄』を読んで「身体の言語」を学んだ | 鍛えることで「自分が身体の主」になる
  • #76 仕事が嫌でも、その「すべて」をやりたくないわけではないはずです | 岸見一郎 25歳からの哲学入門

    今回のお悩み 「やりたくない仕事にどうやって向き合えばいいでしょうか」 希望した会社に入っても、念願の職種に就けたとしても、そのなかで「やりたくない仕事」というのは多かれ少なかれ、誰にでもあるでしょう。憂な気分になってしまうタスクに対して、どうやって折り合いをつけたらいいのか。 哲学者の岸見一郎先生に聞いてみました。 「やりたくない仕事はしない」というのが一番簡単です。しかし、こんなことをいうと、やりたくない仕事であってもしなければ生活できないという人は多いです。 実際その通りなのですが、最初から身も蓋もない話をしてしまうと、「この仕事はやりたくない」と思ったとき、その「やりたくない」という思いは、少なくとも「積極的にはこの仕事をしないでおこう」と決心するために作り出しているのです。 けれど、そんなふうに「やりたいくない、でも仕事をしないと生きていけない」と思って一日の大半を過ごすのは辛

    #76 仕事が嫌でも、その「すべて」をやりたくないわけではないはずです | 岸見一郎 25歳からの哲学入門
  • #79 常に新しい工夫をしていれば、「今の仕事には将来性がない」と思い煩う必要はない | 岸見一郎 25歳からの哲学入門

    今回のお悩み 「自分が好きだと思える仕事についています。けれど、将来性がないので今後どうしていくべきなのか悩みます」 テクノロジーが目覚ましい発展を遂げるなか、自分の仕事がいつまで存在するのか、このまま稼いでいくことができるのか、不安になることがあるかもしれません。 哲学者の岸見一郎先生に、そんな将来の悩みを聞いてもらいました。 職場も職種も変わらないとしても、仕事の内実が十年一日まったく変わらないということはありません。仕事の仕方は日に日に変わっているはずです。正確にいえば、変えていっているのです。何も変わらないという人がいれば、仕事に取り組む姿勢にどこか改善の余地があります。 今は仕事でキーボードを打つ人は多いでしょうが、いつまでも上達しない人はいます。速く打てるようになるためには練習するしかありませんが、もっともらしい理由をつけて練習しないのです。 音声入力ができるようになれば、キー

    #79 常に新しい工夫をしていれば、「今の仕事には将来性がない」と思い煩う必要はない | 岸見一郎 25歳からの哲学入門
  • #03 「怖い上司はあなたが作り出している」 | 岸見一郎 25歳からの哲学入門

    仕事が遅い」とどなられて、「あれはどうなっているんだ」とつめられて、挙句の果てには「当に使えないやつだな」と人前でなじられる……。こんな会社に入ったつもりじゃなかった。こんな上司さえいなければ、もっと仕事もやりやすいのに。 こんな経験をしたことがある人は、実は少なくないのでは? “教育”という名のもとに、部下をどなり散らす上司への対処法を、岸見一郎先生に教えてもらいましょう。 今回は次の相談を取り上げながら、働くことについて考えてみましょう。 「私がやることにいちいち嫌みをいったり、どなったりする上司に耐えられません」 嫌みをいったり、どなったりする上司に耐えられる人はいないでしょうが、「なぜ上司がそのような態度を取るのか」また、部下のほうも「そのような上司と接するときになぜ耐えがたいと思うのか」を考えてみなければなりません。 ここでの「なぜ」というのは、目的のことです。 まず、上司

    #03 「怖い上司はあなたが作り出している」 | 岸見一郎 25歳からの哲学入門
  • #78 50代からも、変わらず楽しい人生を送ることはできます | 岸見一郎 25歳からの哲学入門

    今回のお悩み 「どうしたら、50代以降を今まで以上に楽しく生きられますか?」 人間の寿命は延びるのは嬉しいことであるけれど、だからこそ長い将来のことが不安になってくる。 20代を謳歌しすぎて、年を重ねた今、自分にはお金も家族もキャリアもないことに気がついた──そんな風にならないために、今から何ができるでしょう? アドラー心理学に詳しい岸見一郎先生に聞いてみました。 今までの人生を楽しく生きてきた人であれば、50代になっても何ら変わりはなく楽しく生きることができます。ただし、どう生きることが「楽しく生きる」ことなのかは考えてみなければなりません。 年を重ねても、若い人が漠然と想像しているような大きな変化が起きるわけではありません。50代であれば、「若い者には負けない」などという人はいないでしょう。このようなことをいう人は、すでに自分が若くはないことを自覚しているのです。 それでも、若いときと

    #78 50代からも、変わらず楽しい人生を送ることはできます | 岸見一郎 25歳からの哲学入門