野外に出かけて気分転換できたという経験は多くの人にあるだろう。だが野外で思考が明晰になり、記憶力までアップしたという経験はあるだろうか? 英紙「ガーディアン」が、環境神経科学という新分野の研究を紹介する。 どんよりした11月のある日、雨が優しく潮だまりの水面にポツポツと模様をつくっている。ここ英イーストサセックス州の自然保護区に観るべきものはあまりない。岸辺にカモメが数羽、カイツブリが1羽、サギが1羽いるだけだ。 それでも私の呼吸は、浜に打ち寄せる水のリズムに合わせてゆっくりになり、私の両肩は下がり、穏やかな気持ちに浸っている。 現代生活に対する解毒剤を自然のなかに見出しているのは、私ひとりではない。 「私の心がしんと静まるのは、野外にいて、周りにある野生のものに注意を払っているときだけです」と言うのは、英ノーサンプトンシャー州に暮らす環境学者のジェームズ・ギルバートだ。 ギルバートが「メ