戦後76年が経過したこの8月。例年ならばこの季節に放送される、太平洋戦争に関するドキュメンタリー番組が極端に不調だった。東京五輪・パラリンピックの放送の余波で、報道番組の放送枠そのものが大きく減ってしまったことが背景にある。くわえて内容的にも、これというものが見当たらなかった。 そうしたなか、現在も日本社会に大きな影を落としている「感染症」という観点で太平洋戦争をとらえ直した番組が目を引いた。旧日本軍が推進していた“ワクチン開発”と効果を知るための“人体実験”などの知られざる事実を提示したドキュメンタリー番組だった。