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前回述べたのは,「発話キャラクタ」や「役割語」という考えは,発話に対する我々の理解を深める上で有益だ,ということである。だが,「発話キャラクタ」や「役割語」が,発話の考察にかぎって有益というわけではない。これらは,文法を考える際にも役立つことがある。やはり前回と同様,断定の助動詞「だ」を例にとってみよう。(読者の混乱を防ぐため,今回はカギカッコ内でも文末に句点「。」を打つ。) たとえば「冷えると心配です。」「寒いと心配です。」などと言うように,条件を表す接続助詞「と」は動詞句(「冷える」)や形容詞句(「寒い」)には直接付く。だが,「雪と心配です。」とは言わず「雪だと心配です。」と言うように,名詞句(「雪」)に付くには助動詞「だ」を介する必要がある。 これは幅広い発話キャラクタについて成り立つことで,これが主節の末尾ならそうはいかない。たとえば『上品』な『女』なら,主節末尾では「雪です。」「
「役割語」なる概念を御存知でしょうか? たとえば、アニメやマンガの世界では「博士」と呼ばれる人たちは、高い確率で「~なのじゃ」という喋り方をします。しかし、現実の「博士」たち、たとえば今の東京大学の教授で「~なのじゃ」という言葉を使っている人は、まずいません。居たら、是非通報ください。この他、「おほほ」と笑い「~のことよ」と喋る「お嬢様」、「~アルよ」と喋る「中国人」など、実際にそんな風に喋っている人はほとんどいないのに、書き言葉や映画や演劇の世界では定着してしまっている言葉が日本語にはいっぱい有ります。 つい最近に金水敏という言語学者が、こうした言葉を「役割語」と命名しました。研究会も組織されて本も出ています。 (左から金水敏『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』岩波書店、金水敏編『役割語研究の地平』『役割語研究の展開』いずれも、くろしお出版) ごく大雑把にいえば、役割語は文芸の世界で大変に
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〈明海大学日本語学科卒業論文より〉 85 少女マンガにみる女ことば 相澤 キーワード:終助詞,女ことば,男女差,ジェンダー 真波(学籍番号 11970001) 1.はじめに 日本語にはことばの男女差がある。女ことば、男ことばと言われるもので、日本語の特色の一つと 言える。日本語の男女差には、大きく分けて二つのタイプがある。一つは、「医者」という職業を指 すとき、女性であるならば「女医」と表現したり、「大学生」の場合も女性だと「女子大生」となる ような表現差の場合がある。この場合、「男医」や「男子大生」となることはまずない。「女社長」 「女子アナ」「女性官僚」など“女性”ということを強調して示す場合がほとんどで、女性がその立 場や職業に就くことを特別視する捉え方が性差別であるとして、しばしば社会問題とされる。 本稿で言う「女ことば」「男ことば」とはもう一つのタイプで、例えば女性が話
要旨: 少年少女・男性・女性の読者を主な対象とする翻訳・翻案マンガ6作品における女性登場人物の言葉遣いを質的に分析し、女性ジェンダー標示形式の使用がどのような要因に動機付けられ、何を指標しているかを検証した。作品における女性ジェンダー標示形式の使用の効果は、作品全体が日常性を志向しているか否か、選択的使用が見られるか否か、選択の要因となっているものは何かなどの条件によって異なることが観察された。女性ジェンダー指標形式が全ての女性登場人物によって単一的に使用される作品、発話の中で好ましい属性を指標する作品など、伝統的に期待されてきたステロタイプを強化すると考えられるものもあるが、解釈的発話の中で批評的に用いられてステロタイプの価値を揺るがすように働く使用例を含む作品もある。フィクションの中の女性ジェンダー形式については、質的な面を検証することが重要である。 キーワード: 女性ジェンダー標示形
役割語(やくわりご)とは、話者の特定の人物像(年齢・性別・職業・階層・時代・容姿・風貌・性格など)を想起させる特定の言葉遣いである[1][2][3]。主にフィクションにおいてステレオタイプに依存した仮想的な表現をする際に用いられる。そのような表現が日本の文学作品等の会話文で発話者の人物像を表わす記号として多用されることを小説家の清水義範が指摘し、日本語学者の金水敏が役割語と命名した。日常会話で用いられない違和感のある表現であることばかりが金水敏の『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』以降の研究で強調される傾向にあるが、清水義範の『日本語必笑講座』が最初に指摘したように役割語は記号として理解すべきである。[独自研究?] 役割[編集] 様々な物語作品やメディア作品(外国語作品の翻訳も含む)、特に子供向け作品やB級作品において、老人は「そうなんじゃ、わしは知っとるんじゃ」、貴婦人は「そうですわ、わた
おまいら、ここでは「ツンデレ」というキャラクターを言語学的視点から捉えてみたいと思います。さて、どうなることやら。(こんなの書くよりも研究しろ、というツッコミ大歓迎。つか、誰か止めてくれ。) 取り上げる対象は、次のような発話およびそれを発話するキャラクター(属性)です。 (1) べ、別にあんたのことなんか何とも思ってないんだからねっ! (2) ぐ、偶然よ、偶然。たまたま帰り道が同じだけなんだからねっ! この例文を読んだだけで妄想の世界に飛んでいってしまったアナタは重症(俺もな)。 これらは、いわゆる「ツンデレ*1」と呼ばれるキャラクターに特徴的な表現です。というよりも、このような発話をさせることで発話者(話し手)に特定の属性を与えようという意図がある、と言い換えたほうがよいでしょう。(1)や(2)を発話すればツンデレ、あるいはツンデレであれば(1)や(2)のような発話をする、といったように
シンポジウム メディア・教育と役割語・発話キャラクタ 日時:2009年3月28日(土)15:30~17:30 場所:神戸大学百年記念館 文字化テキスト出典: 金水 敏(編)(2010) 『役割・キャラクター・言語―シンポジウム・研究発表会報告―』 科学研究費補助金 基盤研究(B) 「役割語の理論的基盤に関する総合的研究」 研究成果報告書(課題番号:19320060、研究代表者:金水 敏) 133-170頁 出演者: 金水敏(司会) 恩塚千代(江原大学日本学科招聘教授) 鄭惠先(長崎外国語大学外国語学部准教授)※(現・北海道大学留学生センター准教授) 太田眞希恵(NHK放送文化研究所研究員) 阿藤智恵(劇作家・演出家) 本浜秀彦(沖縄キリスト教学院大学准教授) (発言順) 日本語教科書における“ヴァーチャルリアリティ”のすすめ 金水:今から、シンポジストの皆さまを紹介いたしますが、壇上に出て
NHKの大河「龍馬伝」、考証があまりにデタラメだから見たくなんかないのに、時々のぞいてしまう。先日は黒船の頃の吉田松陰が出てきて、海岸でやたらと大声でわめいていたが、「僕は、僕は!」を連発する。一人称「僕」は、幕末から明治にかけて、薩長土肥の下層のサムライの間から流行ったといわれている。しかし本物の侍なら、「拙者」や「それがし」、または「身ども」などというはず。くだけて言うなら、西日本では「わし」が基本で、関東以北なら「俺」でいいだろう。では、彼ら勤皇の志士たちの正体は何なのか?は、陰謀史観でなら解明できちゃうけど、ここには書けません。 それにしても男の一人称って気になるよね。こうやってブログを書く時にも、一人称をどうするか?ちょっとだけ考えてしまう。「僕」と書くべきか、シモベじゃないから「ぼく」にしようかとか。しかしいいトシしたジジイが「ぼく」を使うのもヘンかな? かといって「自分」じゃ
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