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ブックマーク / dictionary.sanseido-publ.co.jp (41)

  • 第85回 なぜ「演繹」というのか | 「百学連環」を読む(山本 貴光) | 三省堂 ことばのコラム

    西先生は、ミルの新しい論理学のポイントを、このように説明します。 其改革の法たる如何となれは induction なるあり。此の歸納の法を知るを要せんには、先つ以前の deduction なるものを知らさるへからす。演繹とは猶字義の如く、演はのふる意、繹は糸口より糸を引キ出すの意にして、其一ツの重なる所ありて種々に及ほすを云ふなり。 (「百學連環」第37段落第4文~第6文) induction、deductionの左側には、それぞれ「歸納の法」「演繹の法」と添えられています。では、訳してみましょう。 その改革の方法とはどのようなものかといえば、induction というものがある。この帰納という方法を知ろうと思えば、まずそれ以前の deduction というものを知らなければならない。演繹とは、その字義のように、「演」は「のべる」という意味、「繹」は「糸口から糸を引き出す」という意味であり

    第85回 なぜ「演繹」というのか | 「百学連環」を読む(山本 貴光) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第221回 新潟の「潟」の略字の今 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    新潟の方はとても熱心で、年に3度もあちこちにお話をしにうかがったこともあり、また毎年のようにお会いするようになっている方々もおいでだ。今回も、新潟市内で、楽しい会と講演会にお呼びくださった。 私は、日海側の血が濃いせいか、風土も人柄もなにやら懐かしく、また近しいものを感じる。山紫水明なところ、人も麗しく、山海のべ物にも恵まれている。一杯一杯復(また)一杯、と進むこともある。 市内に流れる信濃川には、大きな「万代橋」が架かっている。翌日は迫力のある花火大会だとか、後ろ髪を引かれる。地元での呼称はバンダイバシだが、何かに指定されたときに、マンダイバシとも読まれることが生じたそうだ。大阪には、後者のように呉音で読む橋もあり、「よろずよばし」と和語で読ませる橋も各地にある。 女子高生や中年の方などが「万市」(バンシ)と、万代市民会館の略称を用いるそうだ。省略は若者に多いと言われることがあるが、

  • 補遺第16回 きもち欠乏症について | 日本語社会 のぞきキャラくり(定延 利之) | 三省堂 ことばのコラム

    主節末尾のコピュラと従属節末尾のコピュラを見たついでに、調子に乗って接続詞冒頭のコピュラにも視野を広げ、発話キャラクタによるバラエティの多寡を観察してきた。「もうコピュラの話は、いい加減よさないか」というお叱りの声も柳に風と受け流し、さらに調子に乗って、今度はコピュラで始まる「辞の文」を見てみよう。だって、面白いんだもん。 といっても、それには少し、前置きが必要である。 ここで「辞の文」と言うのは、たとえば「明日は雪が降るよね」と問われて答える際の、「らしいな」「みたいだね」「だよね」「かもね」などである。「らしい」「みたい」「かも」「だ」「よ」「な」「ね」すべて助動詞か助詞であり、助動詞と助詞は「辞」とまとめられることがあるので、ここでは「辞の文」とそれらしく呼んでいる。 だが、「辞の文」が日語研究の中で一般的に認知されているというわけではまったくない。そもそもこのようなものは、まとも

    補遺第16回 きもち欠乏症について | 日本語社会 のぞきキャラくり(定延 利之) | 三省堂 ことばのコラム
  • 補遺第13回 役割語らしさについて | 日本語社会 のぞきキャラくり(定延 利之) | 三省堂 ことばのコラム

    前回述べたのは,「発話キャラクタ」や「役割語」という考えは,発話に対する我々の理解を深める上で有益だ,ということである。だが,「発話キャラクタ」や「役割語」が,発話の考察にかぎって有益というわけではない。これらは,文法を考える際にも役立つことがある。やはり前回と同様,断定の助動詞「だ」を例にとってみよう。(読者の混乱を防ぐため,今回はカギカッコ内でも文末に句点「。」を打つ。) たとえば「冷えると心配です。」「寒いと心配です。」などと言うように,条件を表す接続助詞「と」は動詞句(「冷える」)や形容詞句(「寒い」)には直接付く。だが,「雪と心配です。」とは言わず「雪だと心配です。」と言うように,名詞句(「雪」)に付くには助動詞「だ」を介する必要がある。 これは幅広い発話キャラクタについて成り立つことで,これが主節の末尾ならそうはいかない。たとえば『上品』な『女』なら,主節末尾では「雪です。」「

    補遺第13回 役割語らしさについて | 日本語社会 のぞきキャラくり(定延 利之) | 三省堂 ことばのコラム
  • オーガスト・ドボラック(1) | タイプライターに魅せられた男たち・第35回(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    キー配列改良の雄、ドボラック(August Dvorak)は、1894年5月3日、ミネソタ州グレンコーに生まれました。中等教育を終えた後、1911年から1915年にかけて小学校教師を務め、1916年ミネソタ大学に入学、1920年に文学士の学士号を取得しました。その後、ミネソタ大学附属高校の教師を務めながら研究を進め、その間1920年9月21日にハーマイオニー(Hermione Louise Dealey)と結婚、生涯に少なくとも3人の娘をもうけました。ドボラックは『一般科学における達成と主題の研究』(A Study of Achievement and Subject Matter in General Science)で、1923年にミネソタ大学の博士号を取得、その年にワシントン大学(University of Washington)教育学部の助教に就任しています。 ワシントン大学でドボ

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  • 第185回 「勉強」の共通誤字 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    合宿の事時、温泉玉子と千切りのキャベツが並んだ。我が家で、溶いた温泉玉子の容器の中に、キャベツの千切りを箸から落としてしまったことがある。子供にさえ「あ~あ」と言われる始末。仕方ないのでそのままべてみたら、実に美味だ。2品の取り合わせが合うのだ。温泉玉子がキャベツをコートして、触感を滑らかにしておいしくすることにそのようにして気付いていたので、そこでも言ってみる。「悔しいけど旨い」と男子。女子たちも真似して、びっくりしている。チーズや紅茶の起源だって、伝えられるところでは失敗からだそうではないか。 合宿では、勉強のほかに参加者同士の親睦も大切だ。ことばに関するお題を出して、優秀なグループには景品として、懐かしい昭和らしい麩菓子を授与する。工場見学もさせていただいた日最大の「工場」で作られている逸品だ。ここまで崩れないように運ぶのが大変だったが、かぶりついては意外に美味しいと喜び、もら

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  • 日本語版 補遺 | 三省堂 WORD-WISE WEB -Dictionaries & Beyond-

    ニュースを読む 新四字熟語辞典 NEW! 第56回【中堅企業】ちゅうけんきぎょう NEW!新着記事

  • 8-1 法律を襲う言語変化(1) | 社会言語学者の雑記帳(松田 謙次郎) | 三省堂 ことばのコラム

    最近、法律を読みましたか?m9(・∀・)ビシッ!! 六法全書、あるいはネットであの長たらしい条文をじっくりと読むなんていう人は、特殊な仕事をなさっているか、大学で法学を専攻していらっしゃる方ぐらいでしょうか(。´д`) ン? かく言う私も憲法ならまだしも、他の法律の条文を読んでいるとあっという間にまぶたが重くなる口です。難解な哲学書と並ぶ絶好の睡眠薬ですね(;^ω^) 法律の条文がどうして絶好の睡眠薬になるのか。それはあの長たらしい文と難解な法律用語、すぐにはぐれてしまいそうな複雑な構文、そして何より文章全体を包み込むあの堅苦しさでしょう(;´д`)=3トホホ・・ 国を支え、生活を支え、身体や財産の安全を保証し悪から身を守ってくれる、なくてはならない縁の下の力持ちのような存在、だけど面と向かって向き合うには厄介な存在。多くの人にとって法律とはそうしたものではないでしょうか(´ヘ`;)ウー

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  • 補遺第3回 化粧について | 日本語社会 のぞきキャラくり(定延 利之) | 三省堂 ことばのコラム

    先日、会話途中で相手の女性の顔をよく見ると眉が四あった。「これはいくらなんでも教えてあげなければ。いや、それはセクハラでは」と思っているうち、話がメチャクチャになってしまった。 だからというわけではないが、私はいま化粧に凝っている。自分がしようというわけではない。さまざまな化粧法の何たるかを学び、それらを通して世の中の複雑さを少しでも理解したいと思っている。 前回述べたように『のぞきキャラくり』を書いて人品骨柄を問われることもあったわけだが、私たちの日常の発話を「ことばつき」、つまり顔つきや体つきと似たようなものとする考えをなんとか打ち出せたのはよかったと思っている。 顔つきや体つきは人それぞれ、といっても大まかなタイプがある。人は自身の顔つきや体つきをコントロールして或るタイプから別のタイプへと変えることはできない。いや、実はカツラをかぶったり脂肪を吸引したり、コントロールすることは結

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    gauqui
    gauqui 2012/03/05
  • 補遺第1回 アイドルについて | 日本語社会 のぞきキャラくり(定延 利之) | 三省堂 ことばのコラム

    おかげさまで拙著『日語社会 のぞきキャラくり』は売れに売れた。私も印税だけで余生を送れる見通しが立ち、勤めはすっぱりやめてしまった。いまは会議もなく雑用もなく、悠々自適の引退生活である。 しかしながら、同書に書き漏らしたこともないわけではない。また、読者から頂いたご意見に対しても、述べておきたいことがないわけではない。外国語版の連載も終了しないうちではあるが、年も改まったことだし、ここらで若干の付け足しをさせていただく。(あっ、このあたりから現実です。) まず述べておきたいと思うのは「アイドル」のことである。 アイドルの情報は常にマスコミを賑わせている。「のぞきキャラくり」の連載中も、アイドルが関与した「事件」が次々と報道され、その中にはキャラクタの観点から興味をそそられるものが少なくなかった。だがこれまでは、熱狂的なファンが何をしてくるかわからないということで、担当の方と相談の上、基

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    gauqui
    gauqui 2012/02/06
  • 第10回 Last Christmas(1984, 全英No.2)/ ワム!(1981-1986) | 歴史を彩った洋楽ナンバー ~キーワードから読み解く歌物語~(泉山 真奈美) | 三省堂 ことばのコラム

    HOMEコラム一覧第10回 Last Christmas(1984, 全英No.2)/ ワム!(1981-1986) 歴史を彩った洋楽ナンバー ~キーワードから読み解く歌物語~ 第10回 Last Christmas(1984, 全英No.2)/ ワム!(1981-1986) ●歌詞はこちら //lyrics.wikia.com/Wham:Last_Christmas 曲のエピソード 洋楽の定番クリスマス・ソングはいろいろあるが、これはその筆頭に挙げられる一曲。クリスマス・ソングを大まかに分けると、(1)『聖書』におけるイエス・キリストの誕生シーンに基づいた「讃美歌」、(2)昔から伝統的に歌い継がれてきたいわゆる“Traditional”の部類に入るもの、(3)全くの書き下ろしのオリジナル・ソング、の三種類。「Last Christmas」やマライア・キャリーの「All I Want Fo

    第10回 Last Christmas(1984, 全英No.2)/ ワム!(1981-1986) | 歴史を彩った洋楽ナンバー ~キーワードから読み解く歌物語~(泉山 真奈美) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第34回 「アート」を巡る大いなる伝言ゲーム | 「百学連環」を読む(山本 貴光) | 三省堂 ことばのコラム

    西先生が、「術(art)」の定義を示した英文を、どこから引用してきたのかという問題を追跡しているところでした。 前回は、”(Art is )A system of rules, serving to facilitate the performance of certain actions”という文が、ウェブスターの『アメリカ英語辞典(American Dictionary of English Language)』(1828)に掲載されていることを確認しました(以下『ウェブスター英語辞典』と記します)。 この手がかりを踏まえて、もう少し見てみることにしましょう。前回は省略しましたが、『ウェブスター英語辞典』のARTの項目全体を眺めてみると、面白いことが見えてくるのです。 まず、項目の冒頭にこう見えます。 ART, n. [L. ars, artis; (以下略) これ、どこかで見覚えがな

    第34回 「アート」を巡る大いなる伝言ゲーム | 「百学連環」を読む(山本 貴光) | 三省堂 ことばのコラム
    gauqui
    gauqui 2011/11/25
  • 第143回 2種類の「竜」と「龍」 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    中学生たちに、「烏龍茶」を、簡体字で「乌龙茶」と板書してみせたところ、「「茶」だけまともだ」と笑う。恐竜の骨のように見えるのかも知れない。「竜」の字体も、中国産であるはずだが、大学で中国人留学生たちに聞くと、中国にいるときにはふだん見たことがなかったそうだ。繁体字とされた「龍」は、まだドラマなどで、筆字として見て知っていたとのことだ。 台湾人留学生は、逆に台湾にいたときに「龍」だけを知っていて、日のメディアの影響でたまに見かける「竜」については、「日の字」だと認識していたそうだ。日では、現在、名前として案外「龍」のほうが人気がある。教え子にも、自分の名にあるのは「竜」だが、弟の名に使われている「龍」のほうがよかった、と語る者がいて、筆記の経済性を超えた要求がそこにはあった。ベトナムでも、かつての版では「竜」やそれに近い字体をよく目にする。あるいは、好みに時代差や地域差があるのだろう

    第143回 2種類の「竜」と「龍」 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム
  • Sanseido Word-Wise Web [三省堂辞書サイト] » Lovin’ You (1975, 全米No.1)/ミニー・リパートン (1948-79)

    HOMEコラム一覧第4回 Lovin’ You(1975, 全米No.1)/ ミニー・リパートン(1948-79) 歴史を彩った洋楽ナンバー ~キーワードから読み解く歌物語~ 第4回 Lovin’ You(1975, 全米No.1)/ ミニー・リパートン(1948-79) ●歌詞はこちら //lyrics.wikia.com/Minnie_Riperton:Lovin_You 曲のエピソード ここ日で最も人気の高い洋楽ナンバーのひとつで、作者はミニー・リパートン自身と夫のリチャード・J・ルドルフ。2000年に欧米でファストフード店とクレジットカード会社のCMソングに起用され、再び脚光を浴びた。女性の視点から愛する男性(この曲の場合は明らかに夫)への尽きせぬ思いを美しい言葉で綴った歌詞は、“詩”と呼ぶに相応しい。夫婦合作という事実から、ミニーと夫がどれほど深く愛し合っていたかがうかがい知れ

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  • 第1回 What's Going On(1971/全米No.2)/ マーヴィン・ゲイ(1939-1984) | 歴史を彩った洋楽ナンバー ~キーワードから読み解く歌物語~(泉山 真奈美) | 三省堂 ことばのコラム

    歴史を彩った洋楽ナンバー ~キーワードから読み解く歌物語~ 第1回 What’s Going On(1971/全米No.2)/ マーヴィン・ゲイ(1939-1984) ●歌詞はこちら//lyrics.wikia.com/Marvin_Gaye:What%27s_Going_On 曲のエピソード R&B/ソウル・ミュージック界において1960~1980年代に活躍したマーヴィン・ゲイは、兵士としてヴェトナム戦争に派遣されていた弟フランキーからの手紙によって、想像を絶する戦場の悲惨な状況を知る。そのことに触発されて作ったのが「What’s Going On」。歌詞のどこにも“the Vietnam War”が出てはこないものの、この曲は1960年代後期からアメリカ全土で沸き起こったヴェトナム戦争(1954-73)への反戦運動を意識して作られたもの、というのは厳然たる事実。共作者のひとりが、「当時

    第1回 What's Going On(1971/全米No.2)/ マーヴィン・ゲイ(1939-1984) | 歴史を彩った洋楽ナンバー ~キーワードから読み解く歌物語~(泉山 真奈美) | 三省堂 ことばのコラム
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    gauqui
    gauqui 2011/08/28
    役割語、キャラ
  • 第10回 『ハリー・ポッター』の呪文 | 談話研究室にようこそ(山口 治彦) | 三省堂 ことばのコラム

    『ハリー・ポッターと賢者の石』ではじまるJ. K. ローリングの7作のシリーズは,言わずと知れた魔法使いの少年,ハリー・ポッターを主人公とするファンタジー小説です。この『ハリー・ポッター』シリーズでは,設定上,作品のそこここに魔法の呪文が出てきます。 そこで,問題です。 (問題その1)あなたが作者なら,呪文をどのようなものにしますか? 第8回と9回では,呪文にはふたつのパタンがあることを見ました。真正型と普及型です。真正型呪文は,たいてい聞き手には理解できない難解なものです。「オン・アボキャ・ベイロシャノウ」ではじまる光明真言がその代表例でした。他方,普及型呪文は,[呪術的前付け+効能説明]のかたちをとり,呪文ではありながらも何の呪文か分かるようになっています。たとえば,「テクマクマヤコン,テクマクマヤコン,沢穂希選手になーれ」がその例です。 子供向けのアニメなどでは,この普及型呪文が幅を

    第10回 『ハリー・ポッター』の呪文 | 談話研究室にようこそ(山口 治彦) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第9回 普及型呪文にまつわる必然 | 談話研究室にようこそ(山口 治彦) | 三省堂 ことばのコラム

    前回,呪文を真正型と普及型のふたつに分け,「イタイのイタイの」や「テクマクマヤコン」が普及型の呪文であることを見ました。普及型はフィクションの世界でたびたび登場します。たとえば,英語ではよく知られているabracadabraとhocus pocusは,こんなふうに使われています。 (10) a. Hocus pocus! Turn your best friend into a frog!(ホーカスポーカス! おまえの親友はカエルになーれ!) b. Abracadabra! Your wife is home waiting for you with love in her heart.(アブラカダブラ! 嫁はおまえのことを愛おしく思いながら家で待っておるじゃろう。) abracadabraやhocus pocusといった魔法呪文は,魔法をかけるにあたって最初に発せられ,その後にどのような

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  • 第18回 哲学のエンチクロペディー | 「百学連環」を読む(山本 貴光) | 三省堂 ことばのコラム

    ちょっとオオゲサな言い方をすると、日で最もよく知られている「エンチクロペディー」といえば、それはたぶんヘーゲル(Georg Wilhelm Friedrich Hegel, 1770-1831)によるものだと思います。 試しに書籍データベースや検索エンジンで、「エンチクロペディー」を検索すると、多くの場合、ヘーゲルの名前とセットになって出てきます。 実際、ヘーゲルは、ハイデルベルクやベルリンの大学で、「エンチクロペディー」という語を冠した講義を行っており、その講義の手引きを刊行しています。『哲学的諸学のエンチクロペディー 綱要(Enzyklopädie der philosophischen Wissenschaften im Grundrisse)』というタイトルですが、しばしば『エンチクロペディー』と略した形で呼ばれています。 この講義は何度か行われ、また、書籍版のほうも、1817年

    第18回 哲学のエンチクロペディー | 「百学連環」を読む(山本 貴光) | 三省堂 ことばのコラム
    gauqui
    gauqui 2011/08/05
  • 第17回 文献学のエンチクロペディー | 「百学連環」を読む(山本 貴光) | 三省堂 ことばのコラム

    エンサイクロペディア/エンチクロペディーという名前を冠した講義について調べているうちに、18世紀後半から19世紀のドイツの大学で、実際にそうした講義が行われていたという手がかりを得たのでした。 なるほど、そのつもりで文献やネット上のアーカイヴを検索してみると、たしかにいろいろな領域で「エンチクロペディー」なる講義が開催されていた痕跡が見えてきます。そうした文献から分かることを総覧・整理できるとよいのですが、量も量なので、これは別の機会に譲りたいと思います。ここでは「百学連環」を読むことに資する「エンチクロペディー」講義をご紹介してみましょう。 まず一つめは文献学(Philologie)です。この学術もまた、もっぱら18世紀から19世紀のドイツにおいて鍛え上げられた領域の一つで、日でもよく知られている人物で言えば、ニーチェ(Friedrich Wilhelm Nietzsche, 1844

    第17回 文献学のエンチクロペディー | 「百学連環」を読む(山本 貴光) | 三省堂 ことばのコラム