西先生は、ミルの新しい論理学のポイントを、このように説明します。 其改革の法たる如何となれは induction なるあり。此の歸納の法を知るを要せんには、先つ以前の deduction なるものを知らさるへからす。演繹とは猶字義の如く、演はのふる意、繹は糸口より糸を引キ出すの意にして、其一ツの重なる所ありて種々に及ほすを云ふなり。 (「百學連環」第37段落第4文~第6文) induction、deductionの左側には、それぞれ「歸納の法」「演繹の法」と添えられています。では、訳してみましょう。 その改革の方法とはどのようなものかといえば、induction というものがある。この帰納という方法を知ろうと思えば、まずそれ以前の deduction というものを知らなければならない。演繹とは、その字義のように、「演」は「のべる」という意味、「繹」は「糸口から糸を引き出す」という意味であり
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