東京都美術館で年末に「メトロポリタン美術館」展を見てきた。僕が改めて認識したのが、「自然」こそアメリカにとって重要なアイディンティティだったのだな、ということだ。広大な大地、空、荒々しい気候、野生動物、森林、海洋、湖沼といったモチーフは「アメリカ」における精神で、こういう事は日本に居ながら実感する機会はなかなかなない。自然=世界、とされた「世界」が、メソポタミアなども含みながら幅広く西欧であることも押さえられるべきで、要はヨーロッパの数千年の芸術文化の発展のゴールにアメリカを置くという構成だ。 第1章「理想化された自然」では最初クロード・ロラン「日の出」をお手本に、トマス・コールやアッシャー・B・デュランドがアメリカ人としてアメリカの大地を捉えている。なんで17世紀の絵画を19世紀に反復せねばいけないんだ、と言ってもせんない事で、歴史がない場所で歴史は再構成されなければならない。冒頭のクロ