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ブックマーク / d.hatena.ne.jp/semi_colon (117)

  • 体細胞クローンにより免疫不全ブタが作られる - 蝉コロン

    科学, 動物農業生物資源研:免疫のないブタできた…新薬研究で活用へ? 毎日jp(毎日新聞)というニュースがあって、どうやって作ったのか興味があって論文を読んでみました。というのもマウス以外の動物では「特定の遺伝子の機能を失わせる」のは難しいのです。マウスだったらES細胞で相同組換えして動物を作ればいいのだけれど、他のは(実質的には)ES細胞がないからね。 雑誌はCell Stem Cell。有名なCellの姉妹誌です。比較的近年に創刊。Cellの姉妹誌にはMolecular CellとかDevelopmental Cellとかあるので「なんかCellが幹細胞関連の雑誌を新しく出すらしい」という情報が出たときは、どんな名前になるのか噂されてたそうです。Stem Cellか?いやでももうStem Cellsという雑誌があるからなあなどと*1。ふたを開けてみたらCell Stem Cellという

  • 世界で唯一の「エイズから回復した」人からまたHIVが"検出"される - 蝉コロン

    科学, ウイルス, ウイルスHIVに対して最初から抵抗性を持つ人たちがいるという話はたまに聞くと思うけれど、この人はエイズから完治した唯一の人間ということで"Berlin patient"の奇跡として報じられていた。CNNのニュースを受けて当ブログでも紹介していました(HIVがいなくなったわけ - 蝉コロン)。 この"Berlin patient"は2006年に急性骨髄性白血病の治療のため、骨髄移植をしたのだけれど、このときのドナーがHIVが細胞内にエントリーするのに必要なCCR5というのの遺伝子を欠損していて、HIV抵抗性を持っていた。その後、HIVがseronegative(ウイルスに対する抗体が作られているという感染の指標で陰性)であることが分かり、2010年12月にcured(回復した)とされた。それが以前のエントリ。論文はN Engl J Med. 2009 Feb 12;360

    gauqui
    gauqui 2012/06/14
  • 「アトピー慢性化の原因たんぱく質を発見」という報道の論文を読んでみました - 蝉コロン

    科学アトピー性皮膚炎慢性化 原因を解明 NHKニュース個人的な事情でこういう脳天気な見出しには反射的に怒りを覚えるのですが論文は面白かったです。とは言っても基的にはまだマウス実験なので、臨床的にはこれからですケド。 論文:Periostin promotes chronic allergic inflammation in response to Th2 cytokines Miho Masuoka, Hiroshi Shiraishi, Shoichiro Ohta, Shoichi Suzuki, Kazuhiko Arima, Shigehisa Aoki, Shuji Toda, Naoki Inagaki, Yuichi Kurihara, Sayaka Hayashida, Satoshi Takeuchi, Kenta Koike, Junya Ono, Hirokazu

  • 手塚治虫の学位論文を読んだよ - 蝉コロン

    研究者@h_hiraiさん経由で知ったtweet 手塚治虫の博士論文がついに誰でも見られるようになった。ありがとう、インターネット。GINMU: Item 10564/1075 URL 異型精子細胞における膜構造の電子顕微鏡的研究 2012-02-01 22:28:14 via web ということで、いつから読めるようになっていたのかは知らないのですが、眺めて見ました。GINMU: Item 10564/10751960年の奈良医学雑誌 Vol.11 No.5 p.719-735『異形精子細胞における膜構造の電子顕微鏡的研究』というタイトルでタニシの精子を電子顕微鏡で観察したのだそうですよ。ファイル名が「手塚治氏原稿(真).pdf」なのだけれど、(真)ってなんだろ。 透過型電子顕微鏡(TEM*1)は細胞内の超微細構造を観察する手段。サンプルを樹脂に埋めて、この樹脂の重合も季節によって配合を

  • 単細胞生物から多細胞生物へたった60日で進化させたぞー!という論文 - 蝉コロン

    科学単細胞生物から多細胞生物になったので、進化の過程でなかなかのビッグイベントだと思うのだけれど、やってみたら結構あっさりいけたよという論文。 Experimental evolution of multicellularity 酵母です。出芽酵母。真核生物で普通は単細胞。それがこんなんになっちゃいました。スノーフレーク状だという。こんなん降ってきたら楽しいね。 どうやったかというと、多細胞になったやつをセレクションする実験系を編み出した。つーかただ液体培養したやつを弱く遠心するだけみたいなんだけど、それで塊になってて重力で早く落ちるやつを選択的に回収、培養を続ける。最初のうちはそれでも単細胞っぽく振る舞うんだけど、それを二ヶ月350世代ほど続けると、みんなお互いくっついたままのになる。10回やってみんなそうなったので、収斂進化とも書かれている。 うーん、どうだろう。血球系の細胞を飼ってい

  • 恋は錯覚 - 蝉コロン

    動物ニンニンニーン!Science論文:Illusions Promote Mating Success in Great Bowerbirds 以前紹介した東屋を作るニワシドリの視覚トリック - 蝉コロンの続きです。庭師鳥。オスが立派な東屋を作ってメスに求婚する不思議な生態。東屋の周りは石が敷き詰められているのだけど、その石の大きさがメスの方向から見て「手前ほど小さく奥ほど大きく」なっているというのが前回のCurrent Biology論文でした。これで実際より奥行きが無いように見せているらしい。実際より高くみせようとするディズニーランドのシンデレラ城とは逆。 奥行きが分からないと手前の物が大きく見えます。いや元々手前の物は大きく見えるのが当たり前なんだけど、距離情報にトリックがあると当に大きいのだと錯覚してしまいます。特に写真みたいに視界が制限されている場合では。Forced Per

  • 男装して世界を旅した18世紀の女性植物学者ジャンヌ・バレ - 蝉コロン

    研究者女性として初めて世界一周した人である。 Late Bloomer: Trailblazing 18th-Century Woman Botanist Finally Honored with Namesake | Observations, Scientific American Blog Networkより。遅咲きの花というタイトルがこじゃれている。 ナポレオンが出てくるちょっと前くらいのフランス。コメルソン(Philibert Commerçon)という博物学者*1の恋人でジャンヌ・バレという女性がおりました。二人の関係は、wikipedia見ても何だか複雑そうだったので良く分からないけれど、とにかくバレはハウスキーパーで恋人で植物学者だったそうです。 1766年、フランスの軍人かつ探検家であるルイ・アントワーヌ・ド・ブーガンヴィルが、世界一周の航海をするぞ!科学者集まれい!(あ

  • サルのキメラが作られる - 蝉コロン

    科学Cell - Generation of Chimeric Rhesus Monkeys Cell論文。アメリカのチームだけど1stは日人だ。 アカゲザルで凝集キメラ。受精卵から2回分裂した4細胞期の細胞をバラして混ぜる方法です。結果、三匹のキメラサルが生まれました。その名はRokuとHex。日語とギリシャ語の6。キメラ1匹に6つの胚を使っているからですね。そしてChimero。キメ郎? キメラについて細胞の多能性(巷で万能細胞とか言われているやつの"万能")というのを考えた場合、まず受精卵は発生すると一個体になれるので多能性を持っています(特にこの場合は全能性という)。発生が進んで二分裂した細胞の場合はどうでしょう。一卵性双生児の例があるように、それぞれの細胞が受精卵のときと同じように発生します。4細胞期でもそれぞれが独立して発生できたと思います。8ではもう一個ずつとしては発生で

  • 僕が最新科学ニュースをチェックしているサイトのご紹介です - 蝉コロン

    科学明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。せっかくなので僕が普段チェックしているサイトをご紹介したいと思います。簡単に言うとこのブログのネタ元です。並べてみるとメジャーどころばかりだけど、こういう紹介すらあんまり日語では見かけないので。 というのも、こないだ「Scientific Americanを読む*1習慣をつけて英語力を鍛えよ」みたいな話を聞いたのです。讃えよ鉄兜!ただScientific Americanは情報が多いと言うか興味のない分野も充実しているので、いくつかのサイトから好きな分野だけ取ってくると良いのではと考えた次第。そして私どものように、ブログ更新をモチベーションにいろんな科学記事の英文読んだらいいんじゃないかなとというご提案です。当に英語力が上がるのかは分かりませんが、まあ馴染みは持てるだろう。 以下、よく見ている順です。僕が興味を持ってい

  • 英国ではホームレスの平均寿命が47歳 - 蝉コロン

    医療BBC News - Homeless people die 30 years younger, study suggestsCrisisという慈善団体の支援でシェフィールド大学が行った調査。英国では一般的な平均寿命は77歳なので30歳早く死ぬとある。これはコンゴ共和国の平均寿命に匹敵するそうなのだけれど、それはそれでどういう感想を持ったらいいのかちょっと分からない。 レポートはこちら(PDF):Homelessness: A silent killer2001年から2009年までに死亡したホームレス1,731人に基づくデータ。路上生活者のみではなく、保護施設等に寝泊まりする人も含んでいる。平均余命47歳。女性のみでは43歳。ホームレスの死亡の三分の一はドラッグとアルコールが原因。自殺率は9倍。交通事故死は3倍。 Crisisは、イギリスの国営医療サービスであるNHSに対応の改善を求め

  • 不登校の多くは慢性疲労症候群が原因か - 蝉コロン

    医療via ’1 in 100 children may have chronic fatigue syndrome’ - NHS Choices - Health News 慢性疲労症候群(CFS)、原因不明の強い疲労が長期にわたって続く疾患です。気分障害や不安障害とは分けられます。筋痛性脳脊髄炎(ME)とも呼ばれます。ウイルスとの関連も指摘されていたのですが、今年ちょっといろいろあって(当ブログでも取り上げました「疲労ウイルス」の否定 - 蝉コロン)、ウイルス性なのかという点ではコンセンサスが今どうなっているのかよくわかりません。CFSという疾患自体は間違いなく存在します。 オープンアクセス誌BMJ Openの論文:Unidentified Chronic Fatigue Syndrome/myalgic encephalomyelitis (CFS/ME) is a major ca

  • DNAを介さずに100世代以上に渡って遺伝する獲得形質 - 蝉コロン

    科学近年、獲得形質の遺伝の事例がいくつか報告されているのですけれども、その影響はせいぜい数世代(もしくは次世代しか確認してない)だったと思います。最近のNatureハイライト:長寿のエピジェネティックな遺伝(要会員登録かも)では3世代だそうです。クロマチンの変化が初期化しきれないというのは、なんかiPS細胞に元の細胞のエピジェネな痕跡が見つかるようなもので、凄いんだか凄くないんだかはお話の作り方次第じゃないかなとも思うのですが、まあそれは置いといて。 今回紹介する論文は少なくとも100世代は遺伝する獲得形質についてです。筆者らもOur results therefore support the Lamarckian concept of the inheritance of an acquired trait.と言ってます。一体どういうことなのでしょうか、詳細は続きを読むから。 線虫とRN

  • カンブリア紀最強生物アノマロカリスは高性能の複眼を備えていた - 蝉コロン

    Nature論文。進化:カンブリア紀の巨大捕者アノマロカリスの鋭敏な視覚と複眼の起源 南オーストラリアのエミュ・ベイ頁岩(約5億1,500万年前、カンブリア紀前期)というところで、アノマロカリスのものと思われる眼の化石が見つかった。論文のFigure見ると、ホントに眼だけの化石って感じで、素人的にはカニじゃね?と言いそうになるんだけど、専門家がアノマロカリスとゆうのだからアノマロカリスなのである。 走査型電子顕微鏡エネルギー分散型X線分光法(SEM-EDS)解析によって眼一個当たり16,000個の六角形のレンズで構成されていることがわかったそうだ。5号館先生(5号館のつぶやき : アノマロカリスの複眼化石)経由の情報では以前から複眼という想像もあったそうだ。 個眼の多さは画素数の多さみたいに多いほど画像が鮮明なのかな。あとは造りにもよくかもだけど視野が広くなる。ハエやホタルが2,000~

  • ネズミは仲間を助けるか - 蝉コロン

    動物ネズミは仲間見捨てない…米大学チーム確認 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)より。「共感」と「困っている仲間を助ける」との間には、結構なミゾがあるように思うけれども。  人以外では、これまでサルでしか確認されていなかったという。9日付の米科学誌サイエンスで発表した。Rats Feel Each Other’s Pain - ScienceNOWの記事によると、「共感」については、2006年にマウスでも報告されていた。no title。empathyが共感。二匹のマウスを薬で痛がらせる。お互いが知り合いの場合とそうじゃない場合とで比べると、知り合いのときにその痛がりぶりに影響があるという実験。詳しくはとある昆虫研究者のメモ : マウスにもあるエンパシー。 んでここから一歩進んで「共感」からの〜「仲間を助ける」があるかどうかをラットで調べた。この場合の仲間は二週間一緒の

  • ヨーグルトに効果はあるのか - 蝉コロン

    ブログ更新お休み中だけど、ちょっと気になったので。 ヨーグルトに整腸効果が無い事がワシントン大学の研究より発表される:ハムスター速報及び ヨーグルトに効果なし? 双子の検討で腸内細菌に差なし | あなたの健康百科 by メディカルトリビューン これ10月頃の論文だったけど今さら話題になるのか。整腸効果がないと書かれているけれど、論文ではそんなところは調べていません。 と言いつつ、いまちょっと論文フルテキスト読めないのでこっちを引用。http://www.nature.com/news/2011/111026/full/news.2011.614.html Nature News、"Friendly bacteria move in mysterious ways"という記事。関係ないけどU2のShe moves in mysterious wayってどういう動きなんだろうと思ったりしたよね

  • 脳内で自らをコピペしまくる遺伝子と人間の個性 - 蝉コロン

    科学, ゲノム遺伝子組み換え、脳細胞でも高頻度…初の実証 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) 確かに組み換えなんだけどなんかレトロトランスポゾンのinsertionを免疫系と同等の組み換えっぽく言うのは個人的に違和感。興味深いけど。 ニューロンとレトロトランスポゾンL1レトロトランスポゾンというのがある。jumping geneとか呼ばれたりしてゲノムのあちこちに自らのコピーを増やしている。ヒトゲノムの17%を占めている(大部分は不活性である)。こいつらが跳びまわると、大事な情報がコードされている所に余計な配列がコピペコピペされていくわけで、これはまあ大変よろしくない。通常、細胞はあの手この手でこの飛び回る配列(transposable element:TE)を押さえ込んでいるわけだけれども、ニューロンの前駆細胞では、なぜかこのL1に好き勝手させており、他の体細胞に比べ

  • PLoS ONE論文で「自閉症患者」の表記を撤回 - 蝉コロン

    Concerns over language in PLoS One autism paper lead to brief withdrawal and correction « Retraction Watch Retraction Watchという論文取り下げを紹介するブログから。たいていのretractionは著者側に問題があるんだけど、今回はジャーナル側が「反倫理的」だったために一時論文がNot Foundになり、その後に訂正版が出るという事態になった。 論文はこれ PLoS ONE: The Level and Nature of Autistic Intelligence II: What about Asperger Syndrome? 9月にpublishされた。内容そのものは詳しく読めていないけれど、アスペルガー症候群の子どもに対してレーヴン漸進的マトリックスというテスト

  • 前立腺がんだったミイラ - 蝉コロン

    古代Mummy Has Oldest Case of Prostate Cancer in Ancient Egypt - ScienceNOW 論文:ScienceDirect - International Journal of Paleopathology : Prostate metastatic bone cancer in an Egyptian Ptolemaic mummy, a proposed radiological diagnosis ポルトガルの国立考古学博物館Museu Nacional de Arqueologiaが所蔵している2250年前の古代エジプト(プトレマイオス朝時代)のミイラ3体を高解像度のCT(Multi-Detector CT; MDCT)でスキャンしたところ、骨盤・腰椎・上腕骨・脚骨で腫瘍が見つかった。これは前立腺がんの骨転移でよく見られるパタ

    gauqui
    gauqui 2011/10/27
    「マミる」大体あってる
  • アンチモテキフェロモン - 蝉コロン

    動物, 生殖ScienceShot: An Anti-Aphrodisiac - ScienceNOW ScienceDirect - Animal Behaviour : Female attractiveness modulated by a male-derived antiaphrodisiac pheromone in a plant bug Animal Behaviorって雑誌です。超暇なときに隅々まで読んでみたい気もしますね。タイトルにantiaphrodisiacとありますが、aphrodisiacは催淫剤とか媚薬って意味。 Lygus hesperusで、和名は無いのかも。カスミカメムシの仲間だそうです。こいつらのオスは精包というのを交尾のときにメスへ渡します。精子がいっぱい入っているカプセル。無脊椎動物にはよくあるパターン。で、その交尾なんですけど、この虫のオスは、え

  • 「未熟児の自閉症リスクは一般的な新生児の5倍」の論文にはコントロール群がない。 - 蝉コロン

    医療日語の報道:未熟児の自閉症リスク、正常な新生児の5倍 国際ニュース : AFPBB News論文:Prevalence of Autism Spectrum Disorder in Adolescents Born Weighing NHS:Very low birthweights linked to autism - Health News - NHS Choices 「一般的な新生児では1%なんだけど未熟児では5%だった」と言いたい論文。AFP記事では「出生時の低体重と自閉症の関連性を明らかにした研究は今回が初めて」とある。でもコントロール群がない。さらにスタンダードな診断方法を用いていないので、「一般的な新生児」と比べるわけにはいかない。 論文の内容、体重2000グラム以下で生まれた子ども1105人を追跡調査。うち623人が16歳のときに診断を受けた。AFPニュースに862人