カナダ、サスカチワン州にあったマリバル先住民寄宿学校の元生徒ディーディー・レラットさんは、「自分に注意が向くのが怖くて、トイレへ行きたいと申し出ることすらできませんでした」と語る。写真家のダニエラ・ザルクマン氏は、学校跡地に生えていた草を撮影し、レラットさんの横顔に重ねて、この写真を作成した。(PHOTOGRAPH BY DANIELLA ZALCMAN) カナダ先住民のディーディー・レラットさん(60歳)が、サスカチワン州カウエセスのマリバル寄宿学校に入れられていたのは、51年も前のことだ。しかし、そこで経験した虐待の記憶は、今もレラットさんに付きまとって消えることはない。「あの場所は、恐怖に満ちていました」 2021年6月23日、カウエセス・ファースト・ネーションが居留地内のマリバル寄宿学校跡地で751もの墓標のない墓を発見したと発表すると、レラットさんのなかで再びその恐ろしい記憶がよ