7年前に店内レイアウトを変更してから、レジに一番近い場所が児童書コーナーになった。そうしたい、というよりは「全体の配置のバランスをとったらこうなった」が近い。 あるとき、レジで作業をしていると児童書コーナーの方から「クシャッ」と紙をまるめるような音がした。見ると5~6歳くらいの男の子が、人気キャラクターをページの中から探すA4サイズの絵本を開いていて、ページをめくるところだった。 書店員はこの手の音にひときわ敏感になる。本は普通に開いていればそんなに音はしない。音がするときは何かしら『普通と違う動作』が起きている。男の子は「ページをめくる」というより「ページを押しつぶす」ような本の読み方をしていた。 近くに母親と思われる女性が立っていた。スマホをいじったまま「リュウくんー、決まったー?」と聞いている。買うのだろうか。買うのであれば、ページが折れようが何しようがかまわない。「会計前の商品は店