ジョン・ウェルス(John R. Wells)氏 英オックスフォード大学で物理学を専攻し、卒業後に欧州原子核研究機構(CERN)、英蘭ユニリーバを経た後1979年、ハーバード大学経営大学院修士号(MBA)取得。ボストンコンサルティンググループで2年働いた後、同大学院の教授陣に加わり、1984年、経営学博士号(DBA)を取得、同大学院助教授に就任。86年米モニターグループの欧州子会社代表取締役、94年ペプシコ・ヨーロッパのスナック菓子部門最高財務責任者(CFO)など主に財務部門で数々の要職を歴任し、2002年からハーバード大学経営大学院教授。2008年春、スイスの経営開発国際研究所(IMD)学長に就任。 (写真:花井 智子) スイス・ローザンヌにあるビジネススクールのIMDは、年に1度、「世界競争力ランキング」を発表しています。55カ国・地域における4分野、331項目の統計や聞き取り調査を集
今は新卒一括採用ゲームでの勝利が人材価値を保証しない。叩き上げで獲得した専門性が人材価値をもたらす時代だ。なのに教育界や親がいまだに『いい学校・いい会社・いい人生』である。教育界はこの「勘違い」で飯を食う利害当事者だし、親はかつての常識から抜けられない。 これが某全国紙に載らなかったことは残念だ。 というのは、私は中学生くらいの子供を持つ母親と話す機会がけっこうあるのだけど、30代くらいのお母さんたちは、ここで言う『いい学校・いい会社・いい人生』という価値観を固く信じている。 その信念をどれくらい自分の子供に押しつけるかということには大きな個人差、バラツキがあるけど、彼女たち自身はこれを固く信じていることがかなり多い。『いい学校・いい会社・いい人生』つまり自分の子が「ブランドつきのいい子」のまま育てば、幸せが約束されているという信念はまだまだ根強い。 日本の中である時期までそれは確かな真実
「ネットカフェ難民」という言葉が初めて使われたのは、2007年1月に放映された「NNNドキュメント」(日本テレビ)だった。たまたま深夜にこの番組を観た私は、暗澹たる気持ちを抱えたまま、布団にもぐりこんだことを鮮明に覚えている。 番組では、10代、20代の男女が昼は日雇い派遣で働き、夜はネットカフェの椅子で眠りながら、100円200円を必死で切り詰めて生活している姿が映し出されていた。ある18歳の女の子の手帳には、「強くなる」「責任感を持つ」の言葉の後に「夜ご飯食べない」という文字が書かれていた。 どうしてそういう生活に陥ってしまったのか。誰も頼る人はいなかったのか。這い上がるチャンスはどこにもないのか──「夜ご飯食べない」という言葉が放つ切実さに衝撃を受け、疑問が次から次へとわいた。以降気がつけば、私は貧困やワーキングプアを取り上げたドキュメンタリーをチェックするようになっていた。 この手
休日の歩行者天国で賑わう秋葉原は複数の人が刺され騒然となった。 =8日午後、 東京都千代田区外神田 (鈴木健児撮影) 路上や繁華街で刃物を振り回し無差別に通行人などを襲う連続通り魔事件が全国で多発している。また、子供や女性を次々と狙う事件も頻発。模倣犯による犯行も起きるなど、社会に大きな衝撃を与えた事件が相次いでいる。 ちょうど7年前の平成13年6月8日、大阪教育大付属池田小(大阪府池田市)に包丁を持った男が侵入、次々と児童、教師を襲う事件が起きた。小2女児7人と小1男児1人が死亡。児童と教師計15人が重軽傷を負った。事件を起こした宅間守死刑囚=16年に死刑執行=は「大量殺人して死刑になりたい」と自暴自棄な動機を口にしていた。 また、学校の安全管理などの対応も大きな問題になった事件だった。 今年3月には茨城県土浦市のJR荒川沖駅構内で、男女8人が包丁で刺され、1人が死亡した事件が起き
アメリカでは、街角に新聞の自動販売機があるのは見慣れた風景。しかし、首都・ワシントンDCでは、世界的に有名な「ワシントン・ポスト」の自販機横に、同紙が2003年から発行している無料紙「エクスプレス」のラックが並んでいる光景を見かける。有料のワシントン・ポストの部数をむざむざ落としているようにも思われるが、在米経験の長い日本人ジャーナリストは、「ワシントン・ポストの部数に影響はない」と一笑に付す。 というのも、両紙では読者層が異なるのだ。ワシントン・ポストは、政界関係者やビジネスマンが購読層だが、一方のエクスプレスは、一般労働者や主婦、学生など、新聞を積極的に読まない層が中心。内容も、前者は筆力のある専属記者が書いた長文記事が多いのに対し、後者はAP通信が配信した記事を短く掲載しているのみ。 「エクスプレスは、英語が苦手な私でも読みやすい(笑)。しかし、充実した情報を手に入れたい人は、50セ
日経ヴェリタスで今度の「新前川レポート」作成メンバーに選ばれた冨山和彦氏がいろいろいいことを述べている。メモ。 抜粋: 「前川レポート」の21世紀版作成を目指す「構造変化と日本経済」専門調査会のメンバーに選ばれた。既成概念にとらわれず議論して行きたい。 経済のグローバル化が進む中で日本の国富をどう増やすのかが最大の議題だ。幕末のような攘夷思想では国富の流出は止まらない。 格差問題には「反市場的な慣行・慣習がもたらす格差」と「市場経済化がもたらす格差」と二つがある。圧倒的に「反市場的な慣行・慣習がもたらす格差」の方が多く存在する。無理して所得再配分で問題を解決しようとすれば日本の国際競争力はますます低下する。 都市と地方の格差も議論が必要。日本は都市化が進んでいると見られているが,実は都市部人口は6割。英国は9割超だ。日本は人口が拡散しているため,サービス業の効率が悪く,農業も兼業が多く大規
僕のように30代も半ばになってくると、周りの友人がみんな35年ローンとかでマンションなどを買い始める。「家賃払うより、後で自分のモノになるんだから得でしょ」「転勤すれば、そこを賃貸にすればいいし」などと言う。だけど、35年も(基本的に)解約できないモノに、何千万円もよく投資できるなと感心してしまう。キー局に勤めてる友人なら分かるのだが、僕らのような10年もてば御の字というような制作会社の連中でもそういうのが結構いるから不思議だ。もちろん公務員のように安い社宅が無いという理由は大きいのだが。公務員は都心でも月1万円くらいだそうだから。 東京に住んでて映像ディレクターなどというヤクザな稼業をしていると、自分の人生がこれから先35年も変わらないとはとても考えられない。だからそういう自分をしばるようなものは極力買いたくない。車もそうだ。もちろん維持費が高いとか、無くても交通網が発達してるので生活で
地上デジタルやBSデジタルの無料放送のコピー制御を現行のコピーワンスからダビング10へ切り替える予定日が2008年6月2日である。刻々と近づいているにも関わらず,予定が「確定」に変わらない。このため,チューナー内蔵録画機のメーカーなどから,「このままでは準備が間に合わない」という悲鳴の声が上がっている(関連記事「6月2日の「ダビング10」放送開始,予定が確定に変わるのはいつか」)。 ダビング10への切り替え日を確定できない理由は,補償金問題で著作権者とメーカーの間で意見が鋭く対立したままだからだ。著作権者は,ダビング10への切り替えの前提として,無料放送の録画を私的録音録画補償金制度の対象に含めることを求めている。これに対して,メーカー側(JEITA)の主張は,DRM(デジタル著作権管理)でコピー制御されている以上は,無料放送は補償の対象外というものだ。著作権者側が主張を引っ込める状況には
日本経済の長期低落に歯止めをかける上で重要なのは、資本と人材だ。このうち資本については「鎖国派」も根強く残っているが、少なくとも福田首相がダボス会議で「対日投資」の促進を呼びかけるなど、政府として「開国」の姿勢はみせている。 問題は人材である。日本の労働生産性がG7諸国で最低、OECD30ヶ国中20位と低いことはよく知られているが、これは日本の労働者個人の能力が低いからではない。労働市場の流動性が低いためだ。特に官庁・銀行などの衰退産業に偏差値の高い人材がロックインされ、前向きの仕事がないため既得権を守ることが最大の仕事になっており、これがさらに新しい産業の成長を阻害している。 こうした労働鎖国の象徴が、本書の主題であるシリコンバレーへの留学生だ。中国やインドや台湾のハイテク産業を支えているのは、シリコンバレーに自費留学し、そこでPh.Dをとって帰国して起業した現代のアルゴノーツ(ゴー
3月1日、アダルトビデオやDVDの自主審査機関「日本ビデオ倫理協会」(ビデ倫)の審査部門責任者らがわいせつ図画頒布幇助容疑で、同時に、AVメーカーの役員ら5人も同頒布容疑で警視庁に逮捕された。大手メディアの報道は、この事件を「インターネットの普及やAVソフト販売競争が激化する中で、モザイクを薄くする必要に迫られたメーカーが、ビデ倫を抱き込み、過激な作品を流布させた」という文脈で解説。 だが、今回摘発の対象となった作品は、逮捕されたメーカー代表自身が、逮捕以前に「ほかに摘発するものは、いくらでもあるでしょう?」と語っている通り、昨今の市場動向からすると、決して度を超したものではないという見方が業界内では強い。 「過激化する一方のAV業界全体に対する見せしめ的な逮捕であったことは、間違いないでしょう。ただ、警察の思惑は、それだけではないと思いますよ」 そう語るのは、今回逮捕されたメーカーA社の
京都府警初の女性警視誕生 ハイテク犯罪対策室長に。 「ハイテク捜査の知識はないが、一生懸命やるだけです」 京都府警は19日、ハイテク犯罪対策室長(警視職)に生活環境課次席の小山雅子警部 (52)を充てる21日付の人事異動を発表した。対策室は、ファイル交換ソフト「ウィニー」 作成者逮捕、国内初となるコンピューターウイルス作成者の逮捕など数々の成果を挙げ ている花形部署。府警では女性初の警視、同室長の誕生となる。 小山新室長は78年に採用され、93年に七条署七条堀川派出所で全国初の女性所長 となり、98年には府警初の警部に昇進。主に生活安全(防犯)畑を歩んだ。「ハイテク捜 査の知識はないが、明るく、楽しく、一生懸命やるだけです」と話している。 http://mainichi.jp/select/today/news/20080319k0000e040079000c.html
人間の行動を規制するために、さまざまな法が存在する。法は、不特定多数の人の行動に社会が立ち入る大変な権力である。だが社会的権力を持った人というのはその力を試したいのか、あるいは規制するのは簡単だと思っているフシがあるのか、次々にへんてこな規制を持ち出してくる例が後を絶たない。 すでにネット上の有識者の間で問題の指摘が始まっているところだが、3月11日から始まった「なくそう!子どもポルノ」キャンペーン(アニメ・漫画・ゲームも「準児童ポルノ」として違法化訴えるキャンペーン MSとヤフーが賛同)も、そんな匂いのする動きである。この運動を通して「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」、いわゆる「児童ポルノ法」が改正されようとしている。 改正のポイントは2つ。 1 現行法が禁じていない単純所持も違法化・処罰の対象にすること 2 被写体が実在するか否かを問わず、児童の性的
読売新聞の報道によると、国内のプロバイダ各社が加盟する4つの業界団体が、ファイル共有ソフトを使って違法なファイルを常習的にダウンロード・アップロードしている利用者に対して、インターネット接続を強制的に切断することで合意したそうです。 今回の方針について、一体どのような経緯でこのような結果になり、そしてどういったことが予想されるのかを考えてみました。 詳細は以下。 違法コピー常習者はネット切断、プロバイダー業界が合意 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) これによると、この4団体で国内の主要プロバイダ約1000社を網羅しており、具体的な方針作りを既に始める予定で、2008年中には実施する予定。 方法としては、「社団法人日本音楽著作権協会 JASRAC」や「ACCS 社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会」が専用のソフトを使ってファイル共有ソフト利用者のIPアドレスを特定
身も蓋もないんだけれども、不動産バブルがヤバい。これはちょっとねえ、普通に働いている人がちょこまか株いじってる状況だとワケワカな感じかも知れないけど。自己破産のアジャクスだの第一住創だの東洋ホームだの、まあ何とかやってきたところがバタバタと。で、スルガが直接影響しているわけでもないのに解体屋さんで何件か微妙なところが出て、うちら周辺の産廃屋さんでもいろいろ話が飛び交ってる。郊外で戸建てやマンションやってるところが軒並み叩き売りみたいになってて、まとめて引き取ってくれというような話もあるようだし、どうなってもおかしくない。 中古マンションなんかだと、投機用のワンルームなんかが新宿でも400万普通に切ってたり。投売りみたいな感じだね。自分で住むんでもなければ、金利考えたら大火傷だろ。この前株を損切りしたので、不動産にでもと思って見てたら凄い勢いで下がってて買う気がしない。ピーク超えたのは分かる
読んだ。 前作『若者はなぜ3年で辞めるのか』の続編。前作では、状況分析ばかりしていて、じゃあ若者たちはどうすればよいのかというのが提示されていなかった。本作はそれを補う内容となっており、著者の言う「平成的価値観」を体現した若者たちを取り上げて、その生き方や考え方を紹介している。話題を広げすぎてとっちらかってる感があるが、なかなか面白かった。 基本的な内容は前作と同じ。曰く。新卒で大企業に入って定年まで、というのは高度成長期だから成り立っていたのであって、これからはもう通用しないよ。会社にキャリアを支配され、無能な中高年管理職を養うため、滅私奉公で転勤地獄やサービス残業に堪え忍ぶというのはもう止めたほうがいいよ。云々。前作にも増して、若者を諭し導こうという意志を感じた。最後のほうなどほとんどアジテーションのような調子で書かれている。筆者の主張には概ね首肯するし、実際、僕が日立製作所を辞めたの
きのうの記事には、予想どおりアップル・ファンからたくさん批判が来たが、多くの人がしゃれだとわかってくれたようだ。「まぐれ」は誰にでもあるが、それを「当たり」として実現するには大変な才能と努力が必要だ。ジョブズの成功は、単なる偶然ではない。 ただジョブズをほめる話の多くが、生存バイアスの強い結果論であることは否めない。本書もその域を出ないが、いまだに「ものづくり」や「すり合わせ」にこだわっている財界や役所の人々には読んでほしいものだ。 以前の記事でも書いたように、ITの世界では株主資本主義には限界がある。奴隷制が禁止されているので、株主はもっとも重要な人的資本をコントロールできないからだ (*)。したがって「企業は従業員のものだ」という日本的経営にも一理あるが、そこで大事にしているのは個人ではなく、会社に忠実な「従業員」だ。そして従業員も、その会社が好きで一生いるわけではなく、やめても他
「お宅は何階の部屋?」 ママカースト制の終わらぬ地獄 週刊朝日 2008年2月11日号 会った瞬間、ママバッグやベビーカーにさっと目を光らせる。私より上? 下? まずは立ち位置を見極めることが大切。身の丈でない階層に紛れ込むと、強烈な劣等感に見舞われるから。 ◇ 近所のママ友たちの訪問を受ける日、ユミさん(31)は早朝から大騒ぎだ。 人気パティシエのお菓子を用意し、2歳の息子をせかして有名ブランド服に着替えさせる。キャラクター人形を隠し、お蔵入りになっていた知育玩具を引っ張り出す。「友達・買い物・夫」はNGだから、「お友達・お買い物・主人」と頭の中で「復習」する。相手は純正セレブ。この無理してる感、きっとお見通しだろうけど――。 ●偽お受験情報でいじり 夫の転勤で大阪から東京都心の会社借り上げのマンションに移ったら、高所得者が多い地域だった。息子が小さいうちは見よう見まねでブランド服を買っ
ヨーロッパ人が忙しくない3つの理由 2008年2月25日 社会ワークスタイル コメント: トラックバック (6) (これまでの 藤井敏彦の「CSRの本質」はこちら) 前回、マクドナルドの裁判を足がかりにして、管理職の範囲の問題や忙しさなどについて浅知恵を巡らしてみました。それにしてもですね、なんで日本人はこんなに疲れているのでしょうね。ワタシの勤め先はかつて通常残業省などと揶揄されたりしたところですが、今もあんまり状況は変わっていないです。 しかし、ブラッセルに赴任して欧州委員会の官僚を相手に仕事するようになった時、いや驚いたのなんのって。彼らの優雅なこと!昼は2時間かけてランチ。6時にはオフィスは無人状態。夏は一ヶ月間バカンス。おまけに給料ははるかに多い。ワタシ心に誓いました。来世も役人やるとしたらヨーロッパ人に生まれて欧州委員会に勤めようって。 ということで、当然のこととして何が彼我の
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