第5回や第6回のコラムでは、社会保障費(年金・医療・介護)の抑制が困難である場合、世代間格差の改善を図るためには事前積立を導入する必要があり、消費税率換算で20%の増税が不可避であることを説明した。 この場合、政府は「大きな政府」になってしまい、非効率となる可能性がある。従って、社会保障(年金・医療・介護)の効率向上を追求する制度設計も重要なテーマとなる。 その際、期待されるのが、一橋大学の佐藤主光教授や拙著『2020年、日本が破綻する日』(日経プレミアシリーズ)などが提言する「管理競争」という考え方である。 管理競争とは? 「管理競争」という概念をご存じの読者もいると思うが、簡単に説明しておこう。管理競争とは、その名の通り、政府が管理する競争を言う。「各個人の社会保障サービスへのアクセスを保証しつつ、健康保険組合などの各保険者や、医療機関など社会保障サービスの供給主体への財政的規律づけ(