彼女は生まれてから今までずっと住んでいる家と、そこから徒歩十分のところにあるペットショップを往復して暮らしている。ペットショップは彼女の両親が所有する建物の一階に入っている。住宅街にある小さい店だ。 小さいから犬や猫やハムスターのほかに少しの熱帯魚も置いてある。家庭用の水槽がひとつきり、彼女がアルバイトのようなかたちで店番を始めた十五年前から数えて十匹しか売れていない。私が飼ってるペットみたいだと彼女は思う。 犬や猫は彼女のペットみたいではない。それらはいつも子どもで、いつもいなくなる。いなくなる時期が遅くなればなれば値引きに値引きを重ねて、ゼロになる。 彼女は大学を出てすぐにペットショップで働きはじめた。母親と交代だ。父親は会社員で、ペットショップには興味がないように見える。彼女は毎朝六時三十分までにベッドを出る。母親と分担している家事を済ませ、八時四十分までに自宅を出て九時前にペットシ