夕陽の美しい日だった。夕焼けにはまだ少し間がある。まっすぐに西に向かう歩道を夕陽が鋭く照らしていて、まるでその先が天国だか浄土だかに続いているような気がした。 そんな気がしたのは、その道を歩いているのが僕一人だったせいもある。連休で多数の人々はどこかに出かけてしまったからだろうか。たまたま偶然、その時間帯、その歩道を西へと、とぼとぼと歩く人なんていなかったというだけのことかもしれない。いつもは、そんなに閑散とした小道ではないのだ。 まぶしい夕陽が目に痛くも感じられて僕はどちらかというと下を向いて歩いていた。下を向いて歩こうよ。そんな歌があったっけ。心が沈んでいたわけでもないけど、そんな格好で歩いていると、心はちょっと沈んでくるのものだ。とはいえ真下を見ていたわけではない。3メートル先を見ていてたわけでもない。10メートルくらいは先を見ていただろう。もう少し先だろうか。きらーんと100円玉で