ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って小さな肝臓を作り、肝不全のマウスに移植して生存率を大幅に向上させることに横浜市立大の谷口英樹教授らのチームが成功し、3日付の英科学誌ネイチャーに発表した。ヒトのiPS細胞から機能的な臓器を作製したのは世界初。10年以内の臨床応用を目指しており、肝臓移植を代替する新たな再生医療として実用化が期待される。 ◇ iPS細胞から肝臓の細胞はすでに作られていたが、臓器として機能する立体的な構造を作るのは難しかった。 肝臓移植は臓器提供者(ドナー)の不足などの課題を抱えており、この技術を使って治療できれば意義は大きい。大人と比べて細胞が少なくてすむ子供の治療に向けた研究から取り組み、大人の治療にも応用を目指す。 チームはヒトのiPS細胞から、肝細胞に変わる手前の前駆細胞を作った後、細胞同士をつなぐ働きを持つ「間葉系細胞」や