警察では「検挙に勝る防犯なし」と言われる。もちろん一面の真実ではあるものの、何事も過度な信奉はよくない。 たとえば制服姿で駐輪場に立っていても、自転車盗の摘発はできない。警察官の目の前で、鍵を壊す不届き者はいない。 同時にそれは完璧な防犯でもある。警察官が「そこにいる」ことがいかに大切か。効率的なパトロールには心から感謝したい。 ところが「検挙に勝る-」に忠実であろうとすると「制服が目立たぬよう隠れて駐輪場を見張る」という発想になる。本末転倒の喜劇であり悲劇でもある。 都島署では先日、民間人が容疑者を取り押さえた窃盗事件をめぐり、警部補が「署員が検挙した」と捜査書類を捏造(ねつぞう)する不正が発覚した。動機の調べはこれからだが、検挙主義の呪縛はなかったか。 数字を残せない警察官は減点されないことに腐心する。最近の府警の不祥事を見ると、きっかけは単なるミスや行き違いでしかないのに、処分を恐れ