ドラナンダ・ロヒモネ(メルボルン大学学生〔アジア研究・哲学専攻〕)、グラント・ワイエス(政治アナリスト) <大統領退陣要求から「反日」まで、デモが当たり前の日常を生む政府と一般市民の成熟しない関係。デモに揺れ過ぎる韓国の政治的欠陥とは> 韓国の首都ソウルではいつであれ、何らかの抗議行動に遭遇せずに街中を歩くのは無理な相談だ。最近では日本の輸出管理強化への抗議、または朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾訴追につながった2016年の退陣要求デモなど、韓国では大規模な抗議運動がたやすく組織され、社会のあらゆる層から広く参加者が集まる。 ソウルの路上に遍在するデモは、韓国の政治文化に特有のある側面を浮き彫りにする。韓国の一般市民と国家の関係を理解する上で不可欠な側面だ。 1948~87年まで独裁政権が長く続いた時代、抗議活動は国家に苦情を申し立てる唯一の手段と受け止められていた。だが自由民主主義国家