印刷 産卵するアゲハチョウ=JT生命誌研究館提供 アゲハチョウの母親は、ミカンなどの葉しか食べない幼虫のため、ミカンを見分けて産卵する。その際に働く遺伝子を、JT生命誌研究館と大阪大、九州大などが明らかにした。幼虫の食べ物選びをふまえて産卵するという昆虫の本能を、遺伝子レベルで解明したのは初めて。環境の変化に合わせて昆虫がどう食べ物を変え、進化してきたかについて理解が深まりそうだ。 アゲハは卵を産む葉の味を前脚にある毛で感じている。JTの尾崎克久研究員らは、ミカンの葉が出す物質に反応する遺伝子をコンピューター解析で推測した。この遺伝子を働きにくくすると、ミカンの葉が出す物質を味見しても2割しか産まなくなった。普通のアゲハは7割が産卵した。 一方、遺伝子がよく似たキアゲハはセリ科の植物に卵を産む。尾崎研究員は「数百万年前に突然変異で分かれたらしい。環境の変化に合わせて食べ物を変え、進化