筆者は,これまでほぼ30年,ソフトハウスのSEとして,基幹業務や会計システムなどの開発を経験してきた。納入先は銀行,信販,生保/損保,製造業,と多岐にわたるが,既存の業務の効率化が本質的な目的であった点は変わらない。現行業務に詳しいお客様の担当者から要望を聞き出し,先輩たちの経験をなぞりながら,メインフレームのアーキテクチャにその時々の実装技術をマッピングすることの繰り返しであったとも言える。 しかし,昨今のインターネットをはじめとする情報通信技術の進歩は,この状況を大幅に変えてしまった。一つは,システムにアクセスするエンドユーザーの数が飛躍的に増加したこと。さらに重要なのは,システムに期待されていることが単なる人手による作業の置き換えではなく,全く新たな価値の創造となってきたことである。つまり,ITシステムのパワーを利用することで「新しい仕事のやり方」を考えなければならなくなったのである
![ベテランSEの語る「要求開発」エピソード(1)---業界本を読んだだけでは分からないクレジット業務の特殊事情](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/bed39b5962a5d552c95b6d796db8f55e72d32943/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fxtech.nikkei.com%2Fimages%2Fn%2Fxtech%2F2020%2Fogp_nikkeixtech_hexagon.jpg%3F20220512)