1956年(昭和31年)6月14日朝7時30分頃、東京・武蔵野市にある井の頭公園のなかにある動物園「井の頭自然文化園」で、施設内の見回りをしていた飼育係が、象舎にある深さ約2メートルの溝の中で男性が死亡しているのを発見した。 通報によって駆けつけた武蔵野署の調べで、男性は近くに住む45歳の会社員と判明した。また遺体の状態はひどく、着ていた服は無残に引き裂かれており、ほぼ全裸に近い状態だった。検死の結果、肋骨がすべてメチャメチャに折れていた。そして胸には押しつぶされたような跡があり、さらに全身には強い打撲痕もあった。このことから、死因は象舎で飼われていたインドゾウの花子(9歳)に踏まれたことと分かった。 つまり、会社員の男性は、夜間に象舎へと忍び込み、花子に踏みつけられて死亡したのである。では、なぜ夜間の動物園になど侵入していたのか。 報道では、この会社員は「これまでも度々夜半動物の小屋にし