◇大震災で飼育が困難に 古里思い出し復興の力に 国指定重要無形民俗文化財「相馬野馬追」のため福島県南相馬市で飼育されていた希少種「木曽馬」の雄・松風(まつかぜ)号が東日本大震災後、長野県木曽町開田高原にある「木曽馬の里乗馬センター」に避難。元気な姿を見せている。【大島英吾】 松風号は98年5月、旧中条村(現長野市)で誕生。毎年7月23~25日に南相馬市で開かれる相馬野馬追で使うため、生後まもなく同市の菅野大作さん(43)が引き取った。信州生まれ福島育ちの松風号は10年以上にわたり、武士の格好をした参加者を乗せ出陣してきた。 菅野さん宅と厩舎(きゅうしゃ)は東京電力福島第1原発から30キロ圏のわずかに外側。津波や倒壊の難も逃れた。しかし、原発事故の影響で飼料の確保が難しくなるなど、飼育が困難になっていった。震災1週間後、木曽馬の里に松風号を預かってもらえるよう頼んだ。 同センターの飼育・調教