唐津市内の寺で、庫裏の新築費負担をめぐり、「高額で耐えきれない」として檀徒(だんと)が集団で脱退した。離脱した檀徒に対し、寺側は墓地の明け渡しを求め、元檀徒側も寺院に積立金の返還を請求、裁判で対立する事態にまでなっている。檀徒減少で存続に腐心する寺院と、負担増で身近な信教のよりどころを離れざるを得ない檀徒という構図は、高齢化や世帯減少という社会共通の悩みを背景に、宗教と地域の在り方について重い問いを投げ掛ける。 寺はもともと檀徒が42軒。寺院会費と後継者の給料として月5千円を支払い、年末には最高3万円程度の供米料を払ってきた。そこに、寺の後継者の住居として庫裏新築の計画が浮上。檀徒は新たに1軒年4万円の負担が10年間続くことになり、建築をめぐる2009年3月の総会で16軒が集団脱退した。 寺院の周辺は公共下水道が12年度に完成予定で、住民は1軒当たり100万円近いトイレ改修費が必要。脱退し