「ホワット、ミート?」と外国人の男―白でも黒でも黄でもない―がレジのおばちゃんに尋ねる。片言の英語で尋ねる。手にしているのは、レジ横に置いてあるビーフジャーキーのようなもの。レジのおばちゃん、しげしげと商品を見て「ウシ」と答える。外国人、よくわからないという表情を浮かべる。「……ウシ、ビーフ、ビーフ!」とおばちゃん。そのやりとりを見て、隣のレジの俺は思わずこう言いそうになる。 「ホース、ホース!」と。 が、念のためか原材料表示を見るおばちゃん、「ウマ、ホース、ホース」と言う。言われた外国人、先にレジを終わらせていた連れの男に、何語かわからない言葉で声をかける。声をかけられた男が何語かわからない言葉で返す。おばちゃん「ベリー、デリシャス、オイシイ」と営業する。外国人は、結局、ビーフジャーキーのようなものを買う。 ――― 以上、俺が数日前にスーパーのレジで見たやりとりである。ビーフならオーケー