宇宙的な渡り廊下に目を奪われる 近年、昭和レトロがブームになっている。若者にとっては新鮮に映り、その時代を生きてきた者にとっては懐かしさに惹かれる。ただ古いだけでなく、特にそれらのデザイン性や佇まいは人々を魅了し、雑誌では取り上げられ、SNSでは拡散されている。 私をハトヤへと向かわせたのは、レトロなホテルを特集する雑誌の記事だった。登録有形文化財に指定されたクラシカルなホテル、温泉街の老舗旅館、ドライブインに併設された渋い宿など、いつか訪れてみたいとぼんやり眺めていると、すこぶるかっこいい誌面が目に飛び込んできた。 ハトヤホテルの渡り廊下を見てみたい一心で… 写真=あさみん なんだこれ? どこだここ? それはハトヤホテルの渡り廊下だった。 腰の高さまで敷き詰められたストライプの赤い絨毯と、アーモンドのような形の連続した窓。ここを渡れば時空を越えられそうな、どこか宇宙的で近未来のような、不