政府の教育未来創造会議が理系分野を専攻する大学生の割合を現在の35%から50%に増やす目標を掲げたのを受けて、関係省庁は理系学部設置や理系学生への奨学金充実を目指す具体的行動に移った。IMD「世界競争力年鑑」によると、日本は1989年から1992年まで1位を維持していたものの2022年には34位まで順位を下げたことを見ても、技術立国日本の将来を憂える一人として政府の方針を支持したい。 1980年代から1990年代にかけて、「(技術立国として)経済成長をとげた日本は、これからは文化だ」という発言が大手を振って歩き、「ゆとり教育」に突入した当時とは一変した空気を感じる。イソップ童話の「ウサギと亀」で、余裕から昼寝をしたウサギが目を覚ましたときを想像したほどである。 現在の日本版「ウサギと亀」では逆転は十分に可能だと考えるが、そのためには最重要課題として、理系分野の基礎として必須の数学に関する「