最悪といわれる日韓関係がここまで悪化しているのは、慰安婦問題や徴用工問題など歴史にかかわる韓国側の執拗な要求、対日非難が背景にある。日本側は過去についてはすでに1965年の国交正常化の際「清算され解決済み」と主張しているのに対し、韓国側は「いや個人補償の権利はある」といって韓国内の日本企業の資産を差し押さえし、売却を強行しようとしている。 日本が朝鮮半島に残した資産は数千億ドル 実は歴史的に日本は敗戦後、朝鮮半島からの撤収に際して膨大な資産を彼の地に残しているのだ。これによって韓国経済は発展した。その実態を多くの資料を駆使し、実証的に分析・研究した本が、韓国で2015年に出版された李大根氏の著書『帰属財産研究』だ。 本書は、戦前の朝鮮半島における日本資産の形成過程と戦後のその行方を追求したものだが、われわれには「戦後の行方」のほうが興味深い。1945年の終戦当時、朝鮮半島には約100万人の