『ゼロ年代の論点』発売から約1ヵ月が経過した。一方、1年前の4月には共著『バンド臨終図巻』が刊行されたわけである。この2冊は、扱っている題材は批評とバンドだし、まるで関係がないのだけれど、今思えば自分の書きかたは、けっこう共通していると思う。 『バンド臨終図巻』で僕が担当した項目は、60〜70年代に活躍したプログレ、ハード・ロックのバンドが多かった。それについては、ディープ・パープルとレインボーとブラック・サバス、キング・クリムゾンとイエスとエマーソン・レイク&パーマー――といったぐあいに人的交流のあるバンド個々の項目をあわせて読むと、プログレ、ハード・ロックといったジャンルの生態系や空気が自然と浮かび上がるような、そんな書きかたを心がけた。 これに対し、『ゼロ年代の論点』も、批評本を一冊一冊、あるいは批評家を一人一人紹介するというより、それぞれの相関関係、複数人がかかわった議論やテーマの