ある著名なコレクターに会ったときの話だ。以前は何を集めていたのか、という話題になった。彼曰く「時計の前は茶器でしたね。しかし贋作が多いし、真贋が分かりにくいので時計収集に切り替えた」とのこと。中国の某コレクターも、趣味は複雑時計と現代美術だ。彼はその理由をこう述べた。「複雑時計は偽物を作ることができないし、現代美術も同様だ」。彼は中国の昔の美術品もコレクションするが、「入手するのはヨーロッパか日本からのみですね。中国国内から出てきた物は贋作が多いから、怖くて買えない」と話した。 しかし彼らには申し訳ないが、アンティーク・ウォッチとなると話は変わってくる。実は贋作が少なくないのだ。10年ほど前、1930年代に製造されたIWCオリジナルの「ポルトギーゼ」の新同品が市場に出たことがある。愛好家たちはこれに大騒ぎしたわけだが、仔細に見てみるとどうも作りが良すぎるという話になった。ディテールも含めて
![時計の真贋の話。](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/0a4b1e48509136f8eeec71c67122b5bf4dfc54d6/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fmedia.gqjapan.jp%2Fphotos%2F5d27a291d1446e0008c1ef07%2F16%3A9%2Fw_1280%2Cc_limit%2F166-masayuki-hirota-ec.jpg)