先般、日本振興銀行が実質的に破綻(はたん)し、ペイオフ発動第1号となった。こうした銀行破綻の際、いつも問題になるのはその銀行が保有している不良資産の価値の算定である。 貸し出しなどの銀行保有資産の価値算定は資産査定と呼ばれている。貸出先の企業業績の先行きを見極め、その返済能力を分析し、返済が延滞したり、不能になったりする事態の発生可能性に応じて、貸し倒れ引当金を算定する作業である。 資産査定は、昔は大蔵省検査や日銀考査により確定していたが、1998年以降、各銀行が自ら行う自己査定となった。もっとも、銀行間のばらつきが大きくならないよう金融庁は金融検査マニュアルを定めている。これに依拠し、各行が自己査定基準書を定め、それにのっとって自己査定を行い、会計士のチェックを受ける仕組みになっている。しかしながら、万人に通用するようにマニュアル化されたため、資産査定を行う人が発揮すべきアートの部分