松尾匡のページ16年10月23日 お知らせ二点+ラフォンテーヌさん「中銀は財政ファイナンスを」 ※ 当初、Oskar Lafontaineを、「ラフォンティーヌ」と表記しておりましたが、津田塾大学の網谷龍介さんからメールにて、「ラフォンテーヌ」が正しいとのご指摘をいただきました。どうもありがとうございます。たしかにそのとおりで、早速修正いたしました。読者のみなさんにはおわびもうしあげます。 また一月半以上エッセー更新があきましたが、はいまたバタバタしてました。 9月の下旬は、原稿の締め切りが三つと、神戸と久留米で講演したのと、学務のひとしごとがイッキに重なって目がまわりました。学務のは、「これは学務なんやぁ」と大手を振って学術文献を読むことができる貴重な機会で、ありがたいことになかなかおもしろいのが多くて助かったのですが、それでも英語の本まるまる一冊を読み込んで報告書を書くのは、英語の不自
日本は外貨準備が莫大(米債を大量保有=貸し手)なのに、借り手(米国)が偉そう、という不平等関係。
についてCEA委員長のジェイソン・ファーマンが書いている(H/T Economist's View)。 以下はその7項目の概要。 より長期のトレンドを見る 経済データを平滑化する高度な統計技法は数多あるが、トレンドを見るには特に加重しない単純な移動平均で十分。 改訂に注意する 毎月の雇用統計は過去2ヶ月を改訂。 GDP統計は四半期ごとの推計値を3回発表するほか、7月に過去数年分を改訂する。 概念的に同じ統計を組み合わせる GDPとGDI(gross domestic income)は同一値であるべきだが、実際には乖離が生じる。経済分析局は両者の平均としてGDO(gross domestic output)を公表するようになったが、これはGDPもしくはGDI単独よりも安定した経済の指標となっている。 概念的に似た統計を組み合わせる 概念的に違っていて完全に測定しても差が必ず残る統計同士でも、
を経済学史家のBeatrice Cherrier*1が自ブログでウィッシュリストとしてリストアップしている(H/T Mostly Economics)。 以下はその6つのテーマ*2。 「基礎的な」論文と本の歴史 そうした基礎的な文献がどのように作成され、受け入れられ、広まってきたか、に注目すべき。個人的には、そうした仕事が著者の大枠の研究の中でどのように位置付けられるか、その成功は結論によるものかそれともモデル化のスタイルによるものか、それらのモデルが後に様々な形で使われるようになったのは著者の元々の意図にどの程度即しているのか、といった点に興味がある。 ジョージ・アカロフ(Georges Akerlof)のレモン論文(1970) 経済学の歴史において最も引用された論文(2.5万回)の一つだが、引用パターンは要研究。 3回リジェクトされたことは、著者の粘り強さを喧伝する材料になるとともに、
というエントリがBOEブログに上がっている(H/T Economist's View)。以下はそこで示された月次リターンの10年の後方移動相関の図(データソース)。 これについて記事の著者のMatt Roberts-Sklarは以下の点を指摘している。 18-20世紀の大半において、国債は危険資産のように振る舞うことが多く、株式と正の相関を見せていた。 しかし、2000年代半ば以降は、相関は負に転じ、債券はリスクヘッジとなった。 それ以前に相関が長期間ゼロ近くまで下がったのは19世紀末の長期不況時。 これは、需要ショックの方が供給ショックよりも支配的となったことが、インフレ目標政策でインフレ期待が落ち着き高インフレリスクの可能性が後退したことと相俟って、投資家のインフレリスク懸念を薄めたことが一因。その代わり、投資家は世界の災害などの状況に目を向けるようになった。 そのほか、安全資産を求め
10/17に消費総合指数がようやく更新され、8月は前月比-1.2の大幅減だった。ここまで落ちるとは思わなかったよ。結果として、7,8月平均は、前期比-0.1であり、9月がV字で戻しても、7-9月期の消費は前期比で若干のプラスにとどまる。「一気に景気回復の様相」には、なかなか行かないね。いずれにせよ、今週金曜には、9月の結果も出てくる。 ……… 消費はフラついたが、生産活動は順調に伸びている。10/19発表の8月全産業活動指数は、前月に続き上昇し、7,8月の平均は前期比+0.5となった。10-12月期の前期比-0.1から、1-3月期+0.1、4-6月期+0.3と歩んできたので、徐々に加速していることが分かる。なかでも、景気の牽引役である住宅、公共、輸出の動きは、もっと明確で、三つを合成した指数を下図で示すと、この3か月の回復ぶりは顕著だ。消費も7月は良かったので、8月の不調は残念であった。
慶応義塾大学と野村ホールディングスは、高齢者の資産運用の課題を取り上げる「老年金融学」の産学共同研究を始めた。高齢者に向く個人資産管理や運用の手法を調査研究する。行動経済学の中で高齢者のケースを取り上げ、老年心理学と融合させるといった切り口で取り組む。 老年金融学は米国など海外では老後資産のほか、転居、医療などの対象を広くとらえられており、支援人材育成のコースや資格が整備されつつある。日本では少子高齢化社会の切り口での金融の議論はあるが、認知能力が低下した高齢者の資産管理の課題把握や、それに基づく助言といった取り組みは遅れている。 慶大は6月に経済学部付属の経済研究所の下に「フィナンシャル・ジェロントロジー研究センター」を設立した。ここが中心となり、野村ホールディングスと長寿・加齢が経済や金融行動に与える影響についての共同研究プロジェクトを立ち上げた。同社では高齢者を顧客とするグループ社員
今から87年前の1929年10月24日といえば、経済の歴史で最も重要な日付のひとつである。「暗黒の木曜日」と呼ばれるこの日、ニューヨーク市場で株式相場が暴落し、史上最大規模の世界恐慌(大恐慌)の始まりを告げたからだ。 一般に流布する説によれば、大恐慌発生時の米大統領フーバー(共和党、任期1929年3月〜33年3月)は自由放任主義を信じ、経済対策をやらなかったため不況を深刻にしたといわれる。 しかし、それは嘘である。これから述べるように、フーバーは政府による経済介入を積極的に行い、それが裏目に出て、不況を大恐慌に悪化させてしまったのだ。 積極的な公共投資 たとえばフーバーは公共事業に消極的だったといわれるが、それは事実に反する。むしろすばやく行動した。 フーバーは暴落翌月の11月23日、州知事全員に電報を打ち、州の公共事業計画を拡大するよう協力を求めた。知事らは協力を誓い、同24日、商務省は
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