今から87年前の1929年10月24日といえば、経済の歴史で最も重要な日付のひとつである。「暗黒の木曜日」と呼ばれるこの日、ニューヨーク市場で株式相場が暴落し、史上最大規模の世界恐慌(大恐慌)の始まりを告げたからだ。 一般に流布する説によれば、大恐慌発生時の米大統領フーバー(共和党、任期1929年3月〜33年3月)は自由放任主義を信じ、経済対策をやらなかったため不況を深刻にしたといわれる。 しかし、それは嘘である。これから述べるように、フーバーは政府による経済介入を積極的に行い、それが裏目に出て、不況を大恐慌に悪化させてしまったのだ。 積極的な公共投資 たとえばフーバーは公共事業に消極的だったといわれるが、それは事実に反する。むしろすばやく行動した。 フーバーは暴落翌月の11月23日、州知事全員に電報を打ち、州の公共事業計画を拡大するよう協力を求めた。知事らは協力を誓い、同24日、商務省は