可愛いだけじゃないんです。落ち込んだり、ふらっと旅に出たり――。森と湖の国、フィンランドのどこかにある谷で暮らすムーミンたちの物語は奥深く広がっている。 フィンランドは第2次世界大戦下、ソ連とドイツという大国に挟まれ、不安定な政情だった。厳しい言論統制の下、20代のヤンソンはいくつかの風刺雑誌でイラストレーターとして活躍。ヒトラーの風刺画を描いたことも。ヤンソンの母語はフィンランド人口の約6%にすぎないスウェーデン語で、少数派ならではの悩みもあった。 ムーミンが出版物に初めて登場したのも、風刺雑誌。妖精でもカバでもない、架空の生き物だ。 目の当たりにした戦争の暗い現実から逃れるように、ヤンソンは童話を書き始めたが、初期のムーミンはちょっと不気味だった。1945年に発表された童話第一作のムーミンは体がやせ、鼻も細かった。54年、当時世界最大の発行部数だったロンドンの夕刊紙でマンガの連載が始ま
![本の記事 : はじめてのムーミン 一家の物語、ユーモア交え奥深く | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/453e30db071d80a131cc281ad9ec6127aec600bb/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fbook.asahi.com%2FS2800%2Fupload%2F2014051400001_1.jpg)