今週のお題「あんこ」 亡くなってずいぶん経つ、青森の祖母。 雪深い地方の家は、一つ目の扉を開けるとちょっとしたスペースがあり、家に上がる際、もう一つの扉がある。 そこはスパイクの付いたブーツや中が毛布のようになっているコートをかけておく場所になっていた。 私の記憶は30年以上前のものだから、もしかすると正確ではない。 だけど祖母はそこに石油ストーブをおいて、上に大きな鍋をおいて、小豆を煮てくれた。 水に浸った小豆は食べ物には見えなくて、「危ないから近づくな」と言われたけど、言われなくても興味なんて湧かなかった。 ところがしばらく経つと、甘くていい匂いが玄関からしてきた。 祖母が砂糖を入れてかき混ぜたあんこは美味しそうだった。 「熱くて食べられないから冷めるまで待て」と言われたような気がする。 だけどあまりにも美味しそうだったから、私は人差し指を突っ込んだんだ。 味見をしようと思ったんだろう