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ブックマーク / honz.jp (168)

  • 「神保町」へ、ブラHONZしてきました - HONZ

    はーい、こんにちは。好評だった箱根箱に続く、2回目のブラHONZは、の街・神保町です! 神保町といえば、世界最大の古書街で、たくさんの出版社が集まる、まさに好きの聖地。第1回の箱根箱に続き、私・塩田春香と足立真穂が、神保町散策&マンガアートホテル宿泊をレポートします! ――というわけで、やってきました、神保町(私、会社が神保町にあるので、 わざわざ「やってきた」わけではないのですが……)。 足立とは宿泊するマンガアートホテルで落ち合う予定。それまで一人でぶらぶらと、神保町を歩くことにします。 神保町の歴史をひもとくと、皇居のすぐ北側にあるこの地域は江戸時代、武家屋敷が立ち並んでいたそうです。神保町の名は、この地に屋敷をかまえた旗・神保家に由来しています。 古書店が集まり始めたのは、明治になってから。現在、書店の数は古書店と新刊書店合わせて200店舗ほど、出版社の数も大小合わせて5

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    hanemimi
    hanemimi 2019/11/24
  • ジャレド・ダイアモンドが導き出す、危機の枠組み──『危機と人類』 - HONZ

    『銃・病原菌・鉄』で一世を風靡したジャレド・ダイアモンドの最新刊がこの『危機と人類』である。主に七カ国を対象として、それぞれの国が陥ってきた危機と、それをどのようにして乗り越えてきたのか。また、今現在まさに危機にある国を取り上げ、比較しながら「国家的危機」についての枠組みについて考察しよう、という一冊だ。書刊行時の著者はすでに80を超えているが、なおパワーのある筆致でぐいぐい読ませ続けるので、心底たまげてしまった。 「危機」にもいくつもの種類があるが、書で取り上げられるのは、国家を揺るがすほど大きな危機、また現代の国家で起こったことについて限定されている。対象とされる七カ国は次のとおり。フィンランド、日、チリ、インドネシア、ドイツ、オーストラリア、アメリカ。日だったら、たとえば明治維新の頃何が起こったのか、どのように日人は適応してきたのか──が危機の枠組みを通して語られるわけだ。

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    hanemimi 2019/11/10
  • 『お砂糖とスパイスと爆発的な何か 不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門』私にもあった女性差別の驚き - HONZ

    第161回の直木賞候補作は全員女性であった。賞創設84年の歴史で初のことだと話題になったが文学の世界で性差を論じることは陳腐なことだと私は感じていた。 『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』は一般向けフェミニズム評論だ。著者の北村紗衣の専門はシェイクスピアのフェミニスト批評。東京大学で学士、修士を、キングズ・カレッジ・ロンドンで博士号を取得している。 北村は年に百映画映画館で観て、百くらい舞台も劇場で観る。そのうえ260冊くらいも読むという。仕事の上とはいえこれだけのものを観たり聞いたり読んだりするのは楽しくなくては続けられない。その楽しむ方法が「批評」であると語る。 「面白かった」だけでなくそこから一歩踏み込むのが批評。それを読んだことで作品や作者に対し、もっと興味を持ってもらうのが批評の仕事。良いことだけでなく、悪いこともきちんと分析して観劇した人や読者に伝える使命がある。書で

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    hanemimi 2019/10/17
  • これが実話だなんて!『大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件』 - HONZ

    ロンドンの王立学院に通う20歳の音大生が、あの大英自然史博物館から、死んだ鳥の羽を盗んだ――なぜ、前途有望な若者が300羽近い鳥の美しい羽根を? 世にも不可思議な盗難事件の顛末を追った犯罪ルポ。ページをめくる手が止まらない、思いがけない快作登場! 世界でも有数の音楽院にアメリカから入学したフルート奏者。裕福で、整った品のいい顔立ちの20歳の青年。その青年が、世界に冠たる大英自然史博物館の分館に、夜間に忍び込み、約300羽分の鳥の羽を盗んでスーツケースに詰め込み、誰に追われることもなく電車に乗って帰宅した。 これが事件の顛末だ。 ニューヨーク、マンハッタンから、10歳の頃、北方200キロの街に移り住んだエドウィン・リストは、家の中で勉強したりフルートを演奏したり、弟と遊んだりするのが好きだった。両親はアイビーリーグ大卒で、フリーランスで執筆業に携わり、子供たちに自宅教育(ホームスクーリング、

    これが実話だなんて!『大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件』 - HONZ
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    hanemimi 2019/09/22
  • 『チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学』緩くつながり、ときに裏切り、香港で見たアングラ経済の姿 - HONZ

    『チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学』緩くつながり、ときに裏切り、香港で見たアングラ経済の姿 香港の中心街に立地するチョンキンマンション。安宿が密集するこの建物は、沢木耕太郎の『深夜特急』に登場したこともあり、今でも日からの旅行客を引きつけている。 2016年に香港の大学に客員教授として所属した著者は、ひとりのタンザニア人、カラマと知り合う。彼は「チョンキンマンションのボス」と名乗った。 「ボス」の日常は怪しさに満ちあふれていた。毎日、昼ぐらいに起き、夜な夜な仲間とたむろ。仕事は中古車ブローカー。インターネットを使って母国と香港の業者の取引を仲介している。大して働いている様子はないものの、月に数万ドル稼ぐこともある。 経済人類学者の著者が彼らの商慣行や起業家としての側面に関心を寄せるようになったのは自然の流れだった。書は国家の制度などに守られない彼らがいかに自

    『チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学』緩くつながり、ときに裏切り、香港で見たアングラ経済の姿 - HONZ
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    hanemimi 2019/09/21
  • 『僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた』誘惑に勝てないのは意志が弱いせいじゃない - HONZ

    スティーブ・ジョブズは自分の子供たちにiPadを使わせていなかった――彼はその影響力をもって世界中に自社のテクノロジーを広める一方で、プライベートでは極端なほどテクノロジーを避ける生活をしていた。デジタルデバイスの危険性を知っていたから。彼だけでなく、IT業界の大物の多くが似たようなルールを守っている。まるで自分の商売道具でハイにならぬよう立ち回る薬物売人みたいではないか……。 そんなツッコミで幕を開ける書は、フェイスブックやツイッター、インスタグラム、ソーシャルゲームといったデジタルテクノロジーが持つ薬物のような依存性をわかりやすく噛み砕いて分析した一冊である。ネット依存を題材としたは他にもあるが、書が類書とちょっと違うのは、こうした依存症ビジネスを否定・糾弾するのではなく、人間心理への深い理解を促すことに重心が置かれている点だ。著者はニューヨーク大学の行動経済学や意思決定の心理学

    『僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた』誘惑に勝てないのは意志が弱いせいじゃない - HONZ
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    hanemimi 2019/09/07
  • 『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』 不都合な真実から目を背ける人たち - HONZ

    具体的な数字やデータを示してもダメ。明晰な論理で説いてもムダ。そんなとき、あなたはきっとこう思ってしまうのではないか。「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」。 実際問題、日々の生活でそんな思いを抱いてしまう場面は少なくないだろう。失敗例がすでにいくつもあるのに、それでもまだ無理筋を通そうとする社内のプレゼンター。子育てのあり方をめぐって、何を言っても聞く耳を持ってくれないパートナーなど。また不思議なことに、たとえ高学歴の人であっても、「事実に説得されない」という点ではどうやらほかの人と変わらないようだ。 さて書は、冒頭の問いを切り口としながら、人が他人に対して及ぼす「影響力」について考えようとするものである。心理学と神経科学の知見を織り交ぜつつ、著者は早々に厳しい診断を下す。 多くの人が「こうすれば他人の考えや行動を変えることができる」と信じている方法が、実は間違っていた…。 数字や統

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    hanemimi 2019/09/02
  • 『日本の異国』「共に生きる」とは、どんな社会なのか? - HONZ

    現在日に在留する外国人の数は約264万人。日の総人口が約1億2659万人で、在留外国人数はその約2%ということになるそうだ。ちなみに統計の取り方や外国人の定義に若干の違いはあるが、フランスは約12%、イギリスが約13%、ドイツが約9%というから先進国の中では日はやはりまだまだ外国人が少ない国だろう。 だが一方で入国管理法が改正され新たに外国人労働者の受け入れを拡大する政策がとられることで、これからはますます外国人は増えていく。少子高齢化社会の打開策として外国人労働者を受け入れることの是非や、受け入れるにしても十分な体制が整っているかどうかといった問題について、議論は尽きない。が、今日にいる人たちはすでに、たゆまぬ日常を営んでいる。書はそうした在日外国人の日常を訪ね歩いたルポである。 高田馬場にはミャンマー人、西葛西にはインド人、西川口は新たなチャイナタウンが、神奈川県の大和周辺に

    『日本の異国』「共に生きる」とは、どんな社会なのか? - HONZ
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    hanemimi 2019/07/26
  • 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ヒップでポップで、最高にかっこいいパンクなかあちゃんにインタビューしてきた!(その1) - HONZ

    ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』が話題になっている。イギリス在住の保育士でライターであり、前作『子供たちの階級闘争』で新潮ドキュメント賞を受賞した、いま注目の書き手である。 書はアイルランド人の夫と自分の間に生まれた息子の目から見た、公立学校の様子や白人と移民との軋轢などが淡々と描かれている。時には日の未来ではないか、と思う場面が出てきて、多くの人が関心を寄せている。5月に上梓された『女たちのテロル』とともに『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』のプロモーションで来日したブレイディみかこさんにインタビューをお願いした。とてもクールでチャーミングな人だった。 その2 その3 元底辺中学校の生活って? ―このを読み終わって思ったのは「こんな息子、欲しいなあ」でした。聡明で、ちょっとシャイで、彼の成長や事件を、近所のおばちゃんみたいにハラハラしながら読

    『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ヒップでポップで、最高にかっこいいパンクなかあちゃんにインタビューしてきた!(その1) - HONZ
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    hanemimi 2019/07/25
  • 『ハイエンドトラベル』 発想と創造を生む新しい旅の形 - HONZ

    コンサルティング会社キャップジェミニの「World Wealth Report」によると、投資資産を100万ドル以上保有する世界の個人富裕層の資産総額は、7年連続で増加して2017年に70兆ドルを上回った。 国際NGOオックスファムは、2016年の報告書「1%のための経済」で、2015年に世界の上位1%の富裕層が保有する資産が残りの99%の人々の資産を上回り、上位62人の富豪の資産が世界の下位36億人分と同じになったことを明らかにした。2010年には上位388人だったのが、この5年間で急速に集中が進んだことになる。 日銀統計によると、日の個人金融資産は2017年には1,800兆円(名目GDP550兆円)を超えたが、絶対額がより大きい9,000兆円(同2,100兆円)のアメリカ、3,100兆円(同1,400兆円)のユーロ圏においては、日より遥かに速いスピードで富の蓄積が進んでいる。 初っ

    『ハイエンドトラベル』 発想と創造を生む新しい旅の形 - HONZ
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    hanemimi 2019/07/25
  • 信じられないけれど奇跡ではない ”みんなの学校” 『「ふつうの子」なんて、どこにもいない』 - HONZ

    『みんなの学校』をご存じだろうか?「ふつう」の公立小学校、大阪市立大空小学校のユニークな取り組みを紹介したドキュメンタリーのタイトルである。最初は2013年に関西テレビのドキュメンタリーとして放送され、2年後には同名の映画にもなった。 2006年に設立された大空小学校の初代校長・木村泰子は「すべての子どもの学習権を保障する学校をつくる」ことに全力を尽くす。文字通りの「すべて」である。発達障害、不登校、問題児など、どのような子どもも受け入れる。 特別支援学級を充実させる、などというのではない。一般の子どもと同じように、同じ教室で育てていくという方針だ。はたしてそんなことができるのか。受け入れたとしても、きちんと教育ができるのか。それを実践してきたのが、この学校だ。校則などない。あるのはただひとつの約束だけ。 自分がされて嫌なことはしない。いわない いくつものエピソードが綴られている。どのエピ

    信じられないけれど奇跡ではない ”みんなの学校” 『「ふつうの子」なんて、どこにもいない』 - HONZ
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    hanemimi 2019/07/25
  • 祝 直木賞受賞!!『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』書店で周りに並べてほしい文楽関係本 - HONZ

    2019年7月17日、 第161回芥川・直木賞選考会が行われ、直木賞に文楽の浄瑠璃作家、近松半二を主人公に据えた『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』が選ばれた。(禁を破ってHONZに仲野徹が書いたレビューはこちら ちなみに仲野は浄瑠璃を習っており、著者の兄弟子に当たる) 私はこの15年ほど文楽に嵌りまくっている。関連を読みあさっていたのだが、まさかこの知識が日の目をみる時がこようとは、思ってもみなかった。 ユネスコの無形世界遺産になっている文楽・人形浄瑠璃だが、歌舞伎や落語などに較べて知られているとは言い難い。この『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』を書店で展開するときに、関連書として並べてほしいを一覧にしてみた。 なにはともあれ「文楽って何?」のガイドブック

    祝 直木賞受賞!!『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』書店で周りに並べてほしい文楽関係本 - HONZ
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    hanemimi 2019/07/25
  • 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』無類に面白い!少年の成長物語 - HONZ

    今年もっとも感情を揺さぶられた一冊だ。 なにしろこのを読んでいる間、いい歳して中学生かよ!というくらい落ち着きがなかった。世の中の不条理に憤って汚い言葉を口にしたかと思えば、声をあげてギャハハと笑い、気がつけば目を真っ赤にして洟をかんでいた。 ノンフィクション好きで著者の名前を知らない人はいないだろう。ブレイディみかこさんは地元福岡の進学校を卒業後、音楽好きが高じてアルバイトと渡英を繰り返し、英国で保育士資格を取得、「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始し、2017年に『子どもたちの階級闘争−ブロークン・ブリテンの無料託児所から』で新潮ドキュメント賞を受賞した。ここ数年、注目を集める書き手である。 書は彼女がこれまで書いたものの中で、もっともプライベートな色合いの濃い一冊といっていいだろう。彼女は英国南部のブライトンという街で、アイルランド出身で大型ダンプの運転手をしている配偶

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    hanemimi 2019/06/26
  • 『世界の辺境とハードボイルド室町時代 』歴史学者と探検家の目 - HONZ

    歴史学者と探検家は同じ目をしている。といってもインディアナ・ジョーンズの話ではない。安楽椅子探偵とハードボイルド探偵ほど違う存在がともに事件の解決を追い求めるように、古文書を掘り起こして歴史の細部から埃を払う歴史学者と、命をかける大冒険で世界の辺境に旅をするノンフィクション作家とは、実は同じものを求め、同じところを見ている。彼らは異世界を見て、異世界に旅することを知っている人たちなのである。 このは、中世社会史を専門にする歴史学者と探検旅行を旨とするノンフィクション作家の出会いから生まれた。清水克行は『喧嘩両成敗の誕生』(講談社選書メチエ、2006年)で中世における紛争解決から当時の社会のありかたを浮き彫りにした。一方で高野秀行は『謎の独立国家ソマリランド』(の雑誌社、2013年)において、崩壊国家ソマリアの中に奇跡のように生まれたソマリランドという未承認国家を訪れる。はるか過去の史実

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    hanemimi 2019/06/24
  • 『「うつ」は炎症で起きる』 「それは体の問題」という新たな視点 - HONZ

    若い医師はあるとき、リウマチ性関節炎と診断されていた女性患者がうつ病をも患っていることに気づいた。そのささやかな発見に気をよくした彼は、上機嫌で先輩医師にその旨を伝える。だが、先輩医師から返ってきた反応はきわめて淡白なものであった。「うつ病? そりゃ、君だってそうなるだろうよ」。 以上は、書の著者エドワード・ブルモアが内科の研修医時代に実際に経験したことである。そしてそのエピソードは、うつ病がこれまでどのように扱われてきたのかをよく物語っている。それはすなわち、「うつ病のような精神疾患はすべて心の問題だ」という扱われ方である。「そりゃ、君だって関節炎のことで悩むだろうし、そうしたらうつ病にでもなるだろうよ」というわけだ。 しかし、著者はいまやまったく別様に事態を見ている。その見方は、かつては自分でも「いかれている」と思えたようなものだ。著者曰く、先の女性患者は「リウマチ性疾患のことを思い

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    hanemimi 2019/06/12
  • とまどわないペリカン 『ハシビロコウのすべて』 - HONZ

    「動かない鳥」として、大人から子どもまで人気があるハシビロコウ。しかし、意外にも、そのは世に少ない。書は待ちに待った「一冊まるごとハシビロコウ」である。日の動物園で会える13羽の性格や名前の由来などを写真とともに紹介。『ざんねんないきもの事典』の今泉先生監修のもと、謎に満ちたその生態をイラストで徹底解説している。 ハシビロコウという鳥は、眺めているだけで想像力をかきたてられる鳥だ。書もまた然りである。を開いて、最初に目に入った写真(下)では、その個体差に陶然となった。様々な顔つきの人がいるように、彼らも個体ごとに顔つきが相当違うのだ。その顔つきを見比べるのは、ことのほか楽しい。 その後に続く章では、野生のハシビロコウの写真をもとに、出会いから巣立ちまでをストーリー仕立てで紹介している。ジッとして動かない写真はもちろん、大空をはばたく貴重な写真や、お辞儀して求愛している写真などが

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    hanemimi 2019/06/09
  • 本のない原初の図書館から空想上の図書館まで──『図書館巡礼 「限りなき知の館」への招待』 - HONZ

    図書館巡礼という名の通り、書は世界各地の図書館について、のない時代からボルヘスによって想像されたバベルの図書館のような空想上の図書館まで、幅広く取り扱っていく一冊である。原題は『THE LIBRARY A CATALOGUE OF WONDERS』。『何にもまして私たちが痛感したことは、図書館は物語にあふれているという事実だ。生と死の、渇望と喪失の、信念を貫く、あるいは枉げる物語。考えうるありとあらゆる人間ドラマの物語だ。そして、複雑でフラクタルな、世代を超えた道筋を介して、すべての物語は相互に繋がっているのだ。』 の構成としておもしろいのは、1から10まで図書館の話というわけではなく、章の合間に数ページほどの「」にまつわる短いエッセイやエピソードのようなものが挟まれていること。なので、図書館についてのであると同時に、一種の書物狂いたちの物語でもあるのだ。たとえば、「愉悦」と題さ

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    hanemimi 2019/04/14
  • 『山口晃 親鸞 全挿画集』五木寛之「親鸞」連載で全開になった山口晃ワールド - HONZ

    厚さは約4.5cm、総ぺージ数696の大型だ。重さは1kg以上。我が家のキッチンスケールの針が振り切れたので計測不能だった。 2008年9月から2014年7月まで1052回にわたって地方紙に連載された五木寛之の長編小説『親鸞』に添えられていた挿画の総集である。もちろん1052点の挿画は原画通りフルカラーで収録されている。 若い世代には、五木寛之の小説を読んだことはないが、山口晃の絵は好きだという人も多いかもしれない。私もその口で、この挿画集は楽しみにしていた。 山口晃の絵の魅力は見る側の想像力をかならず超えることだ。代表的な作品イメージとしては、狩野派のような金雲を使った画面構成で現代と近代が融合した繁華街を俯瞰し、さらに機械仕掛けの馬に乗った戦国武士まで登場させるという、時間と空間を横断した作品だ。その筆致は精密で、画家の奇想をそこかしこに見つけ出す楽しみもある。下手をすると絵の前に3

    『山口晃 親鸞 全挿画集』五木寛之「親鸞」連載で全開になった山口晃ワールド - HONZ
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    hanemimi 2019/03/16
  • 『天才を殺す凡人』会社を舞台装置にした物語論としての面白さ - HONZ

    天才について書かれたを読むことにはもどかしさが伴う。天才とは何かがわかるという理解と引き換えに、自分が天才ではないという事実も受け入れなければならないからだ。 しかし書はセンセーショナルなタイトルとはうらはらに、このセンシティブな部分のさばき方が非常にうまい。 この世界は天才と秀才と凡人で出来ているという語り口から始まるのだが、その3つの「人格」を、「創造性」「再現性」「共感性」という才能に置換し、最終的には誰の中にも潜む1つの成分として着地させていくのだ。 著者は、「凡人が、天才を殺すことがある理由。」のブログ記事を昨年2月に公開。その深い洞察で、公開後に大きな話題を呼んだ。書はその論考をさらに深め、誰もが才能を活かせる状態を作るためには何が必要であるかを、ストーリー形式で解説した一冊である。 天才は創造性を、秀才は再現性を、凡人は共感性を武器にする。そして、この3者間に、感情のジ

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    hanemimi 2019/02/23
  • 『NHKラジオ深夜便 絶望名言』明けない夜もある - HONZ

    書は、NHKの『ラジオ深夜便』の人気コーナーである、『絶望名言』を書籍化したものである。 著者の頭木弘樹氏は、大学3年の時に難病にかかり、その後13年間の入退院生活を余儀なくされ、宮古島に住むようになった今でも完治はしていない。ベッドに寝ているだけの状態になり、完璧に無能な存在になった時に出会った、「ぼくは人生に必要な能力を、なにひとつ備えておらず、ただ人間的な弱みしか持っていない。無能、あらゆる点で、しかも完璧に。」というカフカの言葉が救いとなった経験から、『絶望名人カフカの人生論』というを出版し、それがきっかけで、このラジオ番組を始めることになったという。 「自殺を考えたことはありますか?」という質問から始まった、NHKラジオのディレクターとの対話の中で、著者の口から、「いくら生きたいと思っていても、死が救いに思われるほどつらい現実がある」という言葉が出た時に、この番組の軸がしっか

    『NHKラジオ深夜便 絶望名言』明けない夜もある - HONZ
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    hanemimi 2019/02/11